クリニックの開業資金の目安は? 診療科別、地域別、自己資金割合も解説

クリニックを開業したいと考えているドクターにとっての大きな課題が、開業資金の準備です。診療科によっては億を超える開業資金が必要な場合もあるため、開業資金を集めるための方法も考えなければなりません。

そこで今回は、必要な開業資金の目安のほか、開業資金の調達方法や、自己資金の割合などを解説していきます。

目次
  1. 診療科別開業資金
    1. 内科の開業資金の目安
    2. 整形外科の開業資金の目安
    3. 泌尿器科の開業資金の目安
    4. 皮膚科の開業資金の目安
    5. 小児科の開業資金の目安
    6. 眼科の開業資金の目安
    7. 耳鼻咽喉科の開業資金の目安
    8. 産婦人科の開業資金の目安
    9. 精神科の開業資金の目安
  2. 開業資金は開業地域によってどのくらい違う?
    1. 2023年4月時点の公示地価が高いランキング
    2. 2023年4月時点の公示地価が安いランキング
    3. 開業資金のうち自己資金の割合の目安は?
  3. クリニックの開業資金を抑えるためにできることは?
    1. テナント開業にする
    2. リースを利用する
    3. 値下げ交渉する
    4. 継承開業する
  4. スムーズに融資を受けるために覚えておきたいこと

診療科別開業資金

まずは、主な診療科別の開業資金をみていきましょう。

内科の開業資金の目安

内科の開業資金の目安は6,000万円です。もちろん、土地や建物代は場所によって異なるため、都心に近いエリアであればさらに高くなりますし、反対に都心から遠ければ費用を抑えることができるでしょう。

ただし、内科といっても、X線撮影装置や超音波診断装置などが不要な心療内科であれば、1,000万円以上のコストダウンとなると考えていいでしょう。反対に、内視鏡や内視鏡洗浄機が必要な消化器内科なら、6,000万円よりも高くなります。

整形外科の開業資金の目安

整形外科の開業資金の目安は5,000万円です。画像診断装置をはじめ、そろえなければいけないものが多いぶん、初期投資は必要ですが、年収3,000万円台を十分に狙えることを考えると、融資の額が大きかったとしても、返済に困る可能性は低いでしょう。

泌尿器科の開業資金の目安

泌尿器科の開業資金の目安は3,000万円です。膀胱鏡、膀胱用超音波画像診断装置、尿流量測定装置、尿分析装置などの設備導入にある程度の費用がかかりますが、泌尿器科クリニックはテナント開業が多いことから、目安の金額が低くなっています。

皮膚科の開業資金の目安

皮膚科の開業資金の目安は3,000万円です。泌尿器科同様、テナント開業が多いことから、内科などに比べて少ない資金で開業可能です。ただし、美容皮膚科の場合、開業資金が1,000万円単位で上がる可能性が高いでしょう。患者から選ばれやすいのが、最先端の機器を導入した、ラグジュアリーな内装のクリニックになる傾向にあるためです。

小児科の開業資金の目安

小児科の開業資金の目安は5,500万円です。小児科はキッズルームを確保していることが望ましいですし、ほぼ100%の患者が保護者とともに来院することもあり、ほかの診療科に比べてスペースにゆとりがあることが理想とされます。

また、子どもが騒ぐと近所の人から煙たがられる可能性が高いことから、テナント開業より戸建て開業のほうが理想的です。子どもが体調の悪さから不機嫌なときなどには特に、公共交通機関を使いたくないと考える保護者が多いことから、駐車場も完備することが望ましいといえます。

眼科の開業資金の目安

眼科の開業資金の目安は、4,500万円です。花粉症患者の診療やコンタクトレンズの処方箋発行などを行う一般眼科であれば、テナント開業でも十分ですが、レーシックや緑内障の手術などを専門的にやっていく場合、1,000万円単位で開業資金が跳ね上がります。高額な治療器具が必要となるためです。

耳鼻咽喉科の開業資金の目安

耳鼻咽喉科の開業資金の目安は4,500万円です。高度な手術などがほとんどないため、設備投資が少なくて済みます。そのぶん年収も他の診療科と比べて低いですが、アレルギー患者をリピート患者として獲得できれば経営が安定しやすいでしょう。

産婦人科の開業資金の目安

産婦人科の開業資金の目安は6,000万円です。ただし、不妊治療も行う場合、設備投資にお金がかかるため、この金額を大きく上回ります。また、自院で出産できるよう有床とするかどうかによっても、金額が大きく変わってきます。

精神科の開業資金の目安

精神科の開業資金の目安は3,500万円です。身体の細部まで診療したり外科的処置を行ったりすることがないため、診療用ベッド、電子カルテ、レジスター程度の設備しか必要ないことから、費用を安く抑えられます。

 

開業資金は開業地域によってどのくらい違う?

開業資金は、クリニックを開業する地域によっても大きく異なります。しかし、土地の値段はさまざまな条件で決まるものですし、エリア別の開業資金の目安などはデータが存在しません。

ただし、公示地価の都道府県ランキングは毎年発表されているので、参考のために、公示地価ベスト5とワースト5を紹介します。

2023年4月時点の公示地価が高いランキング

ランキング都道府県公示地価平均坪単価平均
1位東京都115万9,668円/平米383万3,615円/坪
2位大阪府31万8,991円/平米105万4,516円/坪
3位京都府28万4,908円/平米94万1,847円/坪
4位神奈川県26万9,925円/平米89万2,316円/坪
5位愛知県22万3,247平米73万8,007円/坪

2023年4月時点の公示地価が安いランキング

ランキング都道府県公示地価平均坪単価平均
1位秋田県2万5,462円/平米8万4,172円/坪
2位青森県2万9,938円/平米9万8,917円/坪
3位山形県3万3,715円/平米11万1,456円/坪
4位鳥取県3万3,880円/平米11万2,001円/坪
5位茨城県3万6,658円/平米12万1,184円/坪

坪単価がもっとも高い東京都ともっとも低い秋田県では、実に370万円以上のひらきがあります。そのため、少ない資金で開業できるばかりか、地域の医療機関と協力しながら、うまく地域医療に貢献できたら、都市部での開業より儲かる場合もあります。

 

開業資金のうち自己資金の割合の目安は?

クリニックの開業資金は、全額自分で用意しなくてはならないというわけではありません。もちろん、開業までに必要な資金を貯めることができたなら、全額自分で支払うのもアリですが、多くのクリニックは融資や補助金などを活用します。

一般的に、開業資金の総額のうち、自己資金の割合は「運転資金を含めた開業資金の総額の1~2割」程度が理想とされています。ただし、これはあくまでも目安。

早期に返済できる可能性が高いことを立証できるなら、より大きな額を融資してもらえる場合もありますし、思うように融資が集まらず、自己負担の割合を増やさなければならない場合もあります。

自己資金については、こちらの記事もご覧ください。>>医院開業の自己資金はどのくらい必要?

 

クリニックの開業資金を抑えるためにできることは?

続いては、クリニックの開業資金を抑える方法を考えていきましょう。

テナント開業にする

当たり前ですが、戸建て開業は、建物と土地の両方が必要になるぶん高くつきます。テナントなら必ずしも安いというわけではありませんが、戸建てと比べたら安く抑えられる場合が多いので、気になる物件をいくつか当たってみるといいでしょう。

リースを利用する

診療に必要な機器や設備をすべて新品でそろえようと思ったらそれなりにお金がかかります。その点、リースであれば安く抑えることも可能です。ただし、何年間は使わなければならないなどの縛りがある場合もあるので、事前に条件をよく確認しましょう。

値下げ交渉する

土地代、建物の建設費、テナントの回送費、家賃から設備まで、すべてが値下げ交渉の対象です。相場や適正価格より高い場合は交渉の余地が大いにあるので、交渉しないともったいないです。

また、複数の機器をまとめて購入する場合なども、交渉に応じてもらいやすいでしょう。

継承開業する

クリニックを継承することのメリットは、運転資金を大幅に削減できることにあります。場合によっては、改装費もほとんどかからないこともあります。

 

スムーズに融資を受けるために覚えておきたいこと

前半で述べた通り、クリニックを開業するにあたっては、自己資金で賄えない分を融資に頼る必要があります。融資を受けるためには、事業計画書で返済計画などをきちんと示して、信頼してもらうことが必要です。事業を継続できること、十分な利益を出せることを、金融機関の融資担当者に示すことが鉄則です。

しかし、事業計画書を作成するのが初めてであれば「どんなポイントに気を付けて作成すれば説得力あるのか」が、わからないこともあるかと思います。

その場合、税理士をはじめとした専門家に力を借りるのが一番。理想的な書き方について丁寧に教えてもらうことができるだけでなく、「専門家から指導を受けている」と報告することで融資する側にも安心してもらえます。

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経理・税務顧問 経営分析 継承案件紹介

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、
クリニック開業から医業経営・資金調達計画・償還計画・事業承継までワンストップでサポート提供

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診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、

執筆 CLIUS(クリアス )

クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。


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