
これから看護師になろうとしている人も、現在、看護師として働いている人も、「看護師以外の仕事も経験してみたい」と思ったことが、一度や二度はあるのではないでしょうか。
しかしその一方で、「とはいえ看護師の経験しかなければ転職なんて難しいよな……」とも思うかもしれません。しかし実際のところ、看護師が他職種に転職することも珍しくはないのです。
そこで今回は、看護師が他業種に転職することのメリットやデメリット、おすすめの業種などを紹介していきます。
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看護師の離職率はどのくらい?
「日本看護協会」が公表している「2023年病院看護実態調査報告書」によると、2022年度の正規雇用看護職員の離職率は11.8%です。
また、同調査では、離職者本人が述べる退職理由については調査されていませんが、「看護管理者が考える新卒看護師の退職理由」としては、以下の結果が報告されています。
【採用年度末までに退職した新卒採用看護師について看護管理者が考える主な退職理由】
第1位 | 健康上の理由(精神的疾患) | 49.4% |
第2位 | 自分の看護職員としての適性への不安 | 45.5% |
第3位 | 自分の看護実践能力への不安 | 40.5% |
第4位 | 上司・同僚との人間関係 | 27.6% |
第5位 | 他施設への関心・転職 | 23.4% |
第6位 | 健康上の理由(身体的疾患) | 16.3% |
第6位 | 他分野(看護以外)への関心・転職 | 16.3% |
第8位 | 転居 | 9.4% |
第9位 | 家族の健康問題・介護 | 9.0% |
第10位 | 医療事故への不安 | 7.3% |
上記ランキングは、あくまでも看護管理者が考える理由であって、かつ新卒採用の看護師のみの分析したデータですが、入職から1年以内に、「他分野(看護以外)への関心・転職」を理由に離職したとみられる看護師が16.3%もいるということになります。
また、第1位「健康上の理由(精神的疾患)」第2位「自分の看護職員としての適性への不安」第3位「自分の看護実践能力への不安」第10位「医療事故への不安」に関しては、実際にこの通りの理由であるなら、離職後に再び看護師として職を探す可能性は低いといえます。
そうなると、現実問題として、結婚して主婦になるか、もしくは看護師以外の職を探すほかありません。
看護師を辞めて違う仕事に就くメリット、デメリットは?
続いては、看護師を辞めて違う仕事に就くメリット、デメリットをみていきましょう。
看護師を辞めて違う仕事に就くメリット
- 責任やプレッシャーから解放される
- 自分の好きなこと、興味のあることを追求できる
- 規則正しい生活が送れる
- 新しい挑戦ができる
責任やプレッシャーから解放される
看護師を辞めて違う仕事に就くメリットとしてまず考えられるのは、「責任やプレッシャーから解放される」ということです。看護師としてのスキルに自信がなかった人や、医療事故に対する不安が大きかった人にとっては、このメリットはかなり大きいものです。
自分の好きなこと、興味のあることを追求できる
看護師の職に就いてみたものの、「自分には向いていない」「もっとやりたい仕事がある」と感じている人にとっては、自分が本当にやりたいことをやれる環境に身を置けるのは大きな魅力となるはずです。
規則正しい生活が送れる
夜勤やオンコール対応などで規則正しい生活を送れないことにストレスを感じていた人にとっては、毎晩きちんと眠れることはとても大きなメリットとなるでしょう。
新しい挑戦ができる
新卒採用後すぐに辞めた看護師などには当てはまることではありませんが、看護師としてある程度の経験を積んだ人であれば、「そろそろ新しい経験をしたい」と考えることもあるかもしれません。そのような考えが芽生えたとき、まったく新しい業界に飛び込むという選択肢ももちろんありますが、看護師としての経験を活かして活躍できる場所を探すのも楽しみのひとつとなります。
看護師を辞めて違う仕事に就くデメリットは?
続いてはデメリットです。
- 転職志望先から理由を確認される
- これまでの経験や貯えてきた知識を活かせない場合がある
- 収入が減る場合がある
- 安定した雇用を失うリスクがある
- 仕事にやりがいを感じられない場合がある
- 看護師に戻りづらくなる
転職志望先から理由を確認される
転職志望先から、「せっかく看護師の資格をとったのになぜ医療の仕事を辞めたの?」といぶかしまれる可能性が高いです。
転職志望先を納得させられる理由があるならいいですが、そうではない場合、なかなか次の雇用が決まらない可能性も考えられます。
これまでの経験や貯えてきた知識を活かせない場合がある
志望する業界によっては、これまでの経験や貯えてきた知識を活かせない場合があります。ゼロからのスタートとなれば、昔からその業界を志望していた人や長年働いている人との差を感じて辛くなることもあるでしょう。
収入が減る場合がある
看護師は、残業手当や休日出勤手当などがつくことが多いため、給与が高くなる傾向にあります。そのため、他業界に転職すると、生活リズムが整うのと引き換えに、収入が減ってしまうことがあります。
安定した雇用を失うリスクがある
看護師の資格があれば一生安泰であるといわれます。その理由は、医療業界の仕事がなくなることがないうえ、常に看護師が不足しているからです。
そのため、万が一勤め先が倒産することがあったとしても、看護師として転職すれば食い扶持に困ることはありません。
しかし、看護師の資格を活かさずに生きる道を歩むとなると、安定した雇用を失うことになりかねません。
仕事にやりがいを感じられない場合がある
他分野に興味を持って転職したものの、いざ働いてみると、思っていたほど楽しい仕事ではなかった、看護師の仕事のほうがまだよかったと感じる可能性もゼロではありません。
看護師に戻りづらくなる
「やっぱり看護師として働くほうがいいや」と思って再度看護師として働こうとしても、知識やスキルがアップデートされていないことから、すぐには戻れないことが考えられます。
他業種に転職していた期間が長ければ長いだけ、すんなりと看護師に戻ることは難しくなります。
看護師を辞めて違う仕事をしたい人におすすめの仕事は?
看護師を辞めて違う仕事をしたい人におすすめの仕事は、大きく以下の4パターンにわけられます。
- 興味のある仕事
- 看護師の資格や経験を活かせる仕事
- 理想のライフスタイル実現に役立つ仕事
- 未経験OKの仕事
それぞれ具体的にみていきます。
興味のある仕事
まずはなんといってもこれ。正確にいうと、「おすすめ」にはカテゴライズできませんが、他にやりたいことがあって看護師を辞めるのであれば、自分がやりたいことを追求すべきです。一度きりの人生、後悔の内容に生きましょう。
看護師の資格や経験を活かせる仕事
看護師の資格をとっているということは、少なからず看護師の仕事や医療業界に興味があったというケースが多いはず。そのため、看護師の資格や経験を活かせる仕事であれば、やりがいを感じやすいでしょう。
理想のライフスタイル実現に役立つ仕事
看護師の仕事は、夜勤も多い不規則な仕事であるため、ワークライフバランスをとることが難しい側面があります。
それがイヤで看護師を辞めたいと考えるようになったなら、「理想のライフスタイルを実現しやすいかどうか」という観点から仕事を選ぶと、納得のいく転職になりやすいでしょう。
未経験OKの仕事
看護師を辞めたいという気持ちはあるものの、辞めてそのあと何をするかまでは考えていないなら、ひとまずは「自分にできることは?」という視点で仕事を探してみるといいでしょう。未経験でもチャレンジできる仕事は意外と多いです。
看護師の資格や経験を活かして、新しいチャレンジをしたい人におすすめの仕事は?
上記4つのパターンのうち、①③④に関しては、何を理想とするかは一人ひとりまったく異なりますが、②に関しては、看護師の資格や経験を活かせる仕事はある程度限られてきます。そのなかの主なものをみていきましょう。
看護師免許を活用したい場合
看護師免許を活かしたい場合、以下の仕事がおすすめです。ただし、看護師免許に加えて新たな免許を取得する必要があります。
助産師
助産師は、看護師同様、医療機関で働きますが、必要な資格も担当する業務も異なります。
まず、看護師免許を有している人が、助産師の国家試験受験資格を得るためには、大学院の修士課程で2年、もしくは助産師養成学校で2年、もしくは大学専攻科または専修科で1年学ぶことが必須です。その後、助産師国家試験にパスしたら、助産師の免許を得られます。
看護師よりも免許取得に時間がかかることもあって、平均年収は助産師のほうが高いとされているので、助産師の仕事に興味がある人や、収入UPを目指したい人には向いているかもしれません。
保健師
保健師も、看護師、助産師同様、看護系の国家資格の1つです。
看護師免許を有している人が保健師を目指す場合、1年制の保健師養成学校か看護系の大学に編入して、必要な単位を修得することが不可欠です。その後、保健師国家試験に合格すれば保健師の免許を得られます。
保健師の主な働き方としては、
- 保健センターや保健所などの行政機関で働く「行政保健師」
- 企業に勤める社員の健康管理を担う「産業保健師」、学校に通う生徒や教職員の健康管理を行う「学校保健師」
- 病院に併設されている健診センターでの保健指導や病院スタッフの健康管理を担う「病院保健師」
があります。いずれの場合も基本的に夜勤がないため、規則正しい生活リズムをキープできます。
看護師として培った知識を活かしたい場合
看護師として培った知識を活かしたい場合、以下の仕事がおすすめです。
臨床開発モニター(CRA)
臨床開発モニターとは、新薬の有効性や安全性を確認するための治験開始の準備、医療機関などとの調整、治験実施中のモニタリングや報告書の作成などを行う仕事です。
就業先としては、製薬会社または医療品開発業務受託機関があります。臨床開発モニターの仕事に就くために必要な資格はありませんが、医学や薬学に関する知識が不可欠であるため、看護師出身者も多いとされています。
治験コーディネーター(CRC)
治験コーディネーターは、治験が円滑に行われるよう、準備や調整、運営の支援を担う職業です。
前述の「臨床開発モニター」の仕事内容と似ているように思う人が多いかもしれませんが、CRAは製薬会社または医療品を開発する企業の立場から治験のスケジュール管理や治験実施計画書の確認を行うのに対して、CRCは主に医療機関で働き、医療チームとともに被験者に寄り添いながら治験をサポートするのが主な業務です。
看護師として培ったコミュニケーション力や知識を活かしたい場合
看護師として培ったコミュニケーション力や知識を活かしたい場合、医薬品や医療機器の営業や、医療機器の使い方のデモンストレーションを行う仕事などが向いているでしょう。
医療機器メーカーなどの営業職
医療機器などを扱う企業では、自社の製品に詳しく、上手に説明できる医療従事者出身者は重宝されるでしょう。コミュニケーションに自信がある人にも向いている職業であるといえます。
MR(医薬情報担当者)
医者薬剤師に医薬品状況を提供する「MR(医薬情報担当者)」も、営業職の一種です。MRは、医薬品の適正使用を推進して、医療に貢献することが不可欠ですが、看護師としての経験があると、そのぶん医療知識が豊富なため、MRを目指しやすいでしょう。
クリニカルスペシャリスト/フィールドナース
クリニカルスペシャリストとは、看護師や臨床工学技士、放射線技師、臨床検査技師、視能訓練士などの医療従事者に向けて、クライアントとなる医療機関において、医療機器の使用方法を説明したり、デモンストレーションを行ったりする仕事です。
また、説明会や研究会を企画・実施したり、臨床経験を活かして営業サポートをしたりこともあります。
看護師の経験があれば、看護師時代に使っていた医療機器の説明などは問題なく行えるでしょう。出勤はないため、ワークライフバランスが整いやすいのも魅力です。
看護師としての経験を活かして高齢者や子どもたちの役に立ちたい場合
看護師としての経験を活かして、とりわけ高齢者や子どもたちの役に立ちたい場合、地域医療に携わったり、保育園で働いたりすることが向いているかもしれません。
介護福祉士
地域医療にもっと貢献したいと考えているなら、看護師という職業は変えず、訪問看護師として仕事に従事するという手もあります。ただ、決められた時間内だけではなく、より長い時間を利用者と共有したいという思いがあるなら、介護福祉士として働くという手もあります。
ただし、介護福祉士の仕事内容は「利用者が自分らしく生活できるようサポートすること」であって、そのために医療のスキルを駆使できるということはありません。
参照:職業情報提供jobtag「訪問介護員/ホームヘルパー(別名:介護福祉士、在宅介護員、在宅ケアワーカー、訪問介護サービス員)
保育士
子どもが好きで保育園に勤める看護師もいますが、保育士の資格を取得すれば、看護師を募集していない保育園の求人への応募も可能です。ただし、保育士の資格を取得するためには、養成課程のある学校や施設を卒業した後、保育士試験に合格する必要があります。
ベビーシッター
ベビーシッターには、特に必要な学歴や資格はなく、子育て経験者などが入職するケースも多いです。
小児科で働いた経験がある場合、「もしものときもすぐに異変に気付いてもらえそう」との理由から使命が多く入る可能性も高いでしょう。
看護師として学んだことを誰かに教えたい場合
看護師として学んだことを誰かに教えたい場合は、教職が向いているでしょう。養護教諭に関しては、授業を行う機会は頻繁にはありませんが、性教育などの指導に携わることがあります。
看護学校や看護大学の教員や講師
看護師として自分が学んできたことを後輩に教えることにやりがいを感じるタイプなら、看護大学や看護学校の教員、講師の仕事がしっくりくるかもしれません。
ただし、看護教員になるためには5年以上の臨床看護経験に加えて、約1年間、看護教員としての研修や口数を受ける必要があります。
参照:看護医療進学ネット「看護学校の先生(教員)になる方法を教えてください」
養護教諭
養護教諭とは、小学校、中学校、高等学校に配属されている、いわゆる“保健室の先生”です。
養護教諭の免許には、「養護教諭一種免許状」「養護教諭二種免許状」「養護教諭専修免許状」の3種類があります。
看護師の場合、文部科学大臣指定の大学などに1年以上在籍して所定の単位を修得していれば、「看護教諭一種免許状」の取得が可能です。
病院やクリニックで働くのが好きな場合
病院やクリニックで働くのが好きなら、看護師以外の職種での入職を検討するのもいいかもしれません。
医療事務
医療事務と看護師は勤務先が被るので、ほとんどの看護師は医療事務の仕事内容までしっかり把握しているかと思います。
看護師に比べると医療事務は、夜勤がないことや、立ち仕事が少ないことから、体力的な負担が少ないといえるでしょう。
ただし、レセプト点検のためのソフトを導入するなどの体制を整えていない医療機関であれば、レセプトチェックのために残業が発生することはあるかもしれません。
また、パソコンは医療事務にとって欠かせない仕事道具なので、ある程度のPCスキルは必須です。最初のうちは慣れなくても、仕事をしているうちにスキルが身についてくるでしょう。
看護師としての知識やスキルを活かしつつ美容分野で働きたい場合
美容分野には、看護師の知識やスキルを活かせる職種が多いです。
エステティシャン
美容クリニック勤務の看護師がエステティシャンを目指す場合、新たに覚えなくてはならないことも少なく、すぐ仕事に慣れるでしょう。
美容部員
美容皮膚科や美容外科に勤務経験があり、美容への関心が高いなら、美容部員もおすすめです。
店頭でスキンケアの方法をレクチャーしたり商品アドバイスを行ったりもきっと得意なはず。自分が好きな化粧品の販売に携われたら、仕事に大きなやりがいを感じられそうです。
アートメイクアーティスト
アートメイクを施術するためには、医師または看護師・准看護師の免許が必要です。
アートメイクは針を皮膚に通して色素をいれるもののため、医療行為に該当します。そのため、看護師免許があるだけでは、利用者にアートメイクを施すことはできません。必ず「医師の指示のもとでアートメイクを行う」必要があります。
上記のことからアートメイクアーティストとして独立はできませんが、アートメイクのメニューを提供しているクリニックで働くことは可能です。
その他
その他、下記のような仕事も、看護師としての知識やスキルを活かしやすいでしょう。
医療系コールセンター
病院やクリニックなどが運営するコールセンターなら、病気やケガに関する問い合わせを受けて、医師に変わって説明するのが仕事なので、看護師経験者は適任であるといえます。
衛生管理者
衛生管理者は、労働安全衛生法によって定められた国家資格です。仕事内容は、職場で働く人の健康障害や労働災害を防ぐための快適な職場作りです。
具体的には、健康診断の実施や結果の処理、定期的な作業場の巡視などを行います。
医療系専門制作会社・広告会社
制作会社や広告会社の社員に限らず、ライターや編集者など言葉を扱う制作物を手掛ける職種は、専門性が武器になるもの。
たとえば元医療従事者で医療に関する知識が豊富だと、「どういう言い回しをすると医療法における規制に引っ掛かるか?」などを熟知しているため、制作したものが原因のトラブルを避けることもできます。
結果的にクライアントからの信頼も厚くなり、仕事の幅も拡がっていくのではないでしょうか。
看護師を辞めず、働く場所を変えることも視野に
夜勤がある病院で働くのも辛いけど、ひとりで利用者宅を訪れる訪問看護師もきつい……など、看護師として仕事を続けたい思いはあるものの、勤務形態などに不満を抱いているのなら、看護師という職種は変えず、より理想に近い働き方を叶える方法を模索することもおすすめです。
たとえば、基本的に夜勤がなく土日祝日はほぼ休みの保育園看護師、社員のメンタルヘルスに関する相談などが主な仕事で体力的には楽な企業内看護師、怪我や病気の人と関わることはほとんどない献血ルームの看護師など、選択肢はいくつかあります。
また、フリーランスのナースとなって、修学旅行や社員旅行などに尽きそうツアーナース、イベントナースの仕事を日給で受けることなどもおもしろいかもしれませんよ!
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この記事は、2024年7月時点の情報を元に作成しています。