
看護師として日々働いているみなさんにとって1番の悩みは何ですか?
職場の人間関係や、残業が当たり前化していることなどさまざまあると思います。
中でもわたしの1番の悩みは、医師とのコミュニケーションでした。
そこで今回は、わたしが新人ナース時代に医師との関わるなかで起きた出来事と、さらには、その後の医師とのコミュニケーションにおけるエピソードについてご紹介していきたいと思います。
医師と看護師の仲は?
医師と関係性が良い看護師はほとんどいない
これはわたしの経験上のデータですので、どこの病院もそうとはかぎりませんが、医師と良好な関係を築いている看護師はほとんどいません。
わたしはは新卒で就職した病院で4年程働かさせていただきましたが、その病院でも、わたし自身、医師と良好な関係を築くことはできませんでした。
では、ここからはなぜ看護師が医師と良好な関係になりづらいのかについて、看護師側の目線で、
「●●な医師は嫌だ」と感じる医師がどんな医師かを紹介していきます。
ナースの話を聞かない医師
わたしの勤めていた病院では、ナースの話を聞かない医師が非常に多かった印象があります。
わたしが新人ナースだったときのことです。
患者の状況を説明して、今後の治療方法の相談をしている最中、わたしの言葉をさえぎって
「わかりました。後は〇〇さん(薬剤師)と話して決めるから、薬が届いたら飲ませといて」
とだけ言われ医師は帰っていきました。
医師から見たらわたしは経験や勤務年数が浅いかもしれませんが、日々の患者の状態も聞こうともせず、薬を変えればいいと思っている医師の発言にさすがに驚きました。
その後も、その医師に何度か患者についての相談や報告をする機会がありましたが、毎度のように、
「そんなことでいちいち相談して来ないで」と言われているような返答ばかりで、その医師の患者の受け持ちになったときは憂鬱な気持ちになるようになってしまいました。
幽霊医師
ある患者の受け持ちになったときの話です。
比較的落ち着いている方だったので、その日もノーマークで業務にあたっていました。
ところが、夕方になって看護助手から、
「〇〇さん呼吸浅くて声かけにもあまり返答がないんですけど」
と報告されました。
ここ数日の記録を見ても原因と思しきことは見当たらず、急な出来事に困惑しました。
バイタル測定後、すぐに心電図モニターを付け医師に連絡をしたところ、
「なんでそうなったの? そんな予兆があったの?」
となぜかが逆に医師から質問攻めにあったのです。
当時、わたしは病棟に来て1年未満の新人。医師たちに顔と名前を覚えてもらうのでやっとでした。
その連絡した医師とはお会いしたことがなかったため、顔も知らない状態でした。
次の日、その医師が患者の様子を診に病棟にやってきました。
やって来るや否やカルテも見ずにわたしに、
「どんな患者なの? 日ごろはどういう対応をしてるの?」
と聞いてきたのです。
担当医なのに患者の情報を把握していないだけでなく、看護師に尋ねてくることに驚きました。
聞くところによると、その医師はほとんど病棟には顔をださない方のようで、いわゆる「幽霊部員」ならぬ「幽霊医師」だったのです。
そのためか、彼が受け持つ患者は急に症状が変化する可能性の低い患者ばかりのようでした。
連絡が取れない、病棟に来てくれない医師
「当直の医師あるある」と感じるナースも多いのがこのタイプの医師ではないでしょうか。
病院からの電話にはもちろん、出なくてはいけないにも関わらずなかなか連絡のとれない医師。
やっと連絡が取れたと思ったら、「痛み止め」や「経過観察」などの指示を出すだけでなかなか病棟にきてくれない医師。
TVドラマなどでは、病院から電話があったら医師はすぐに駆けつけるという描写がよくありますが、実際はそんなことはほとんどありません。
わたしも実際、夜勤中に何度も医師に連絡したことがありました。
ですが、ほとんどの医師は1度目の電話には出ません。
よくある医師とのやりとりをご紹介します。
医師「なに?」
私「〇〇さんが日ごろから飲んでいる薬が効かないようで、ご指示お願いします」
医師「もう少し様子見て、それでも変わらなかったらまた電話して」
~2時間後~
時刻は深夜2時。何度電話しても出る気配はなし。
患者は苦しがっているため、痛み止めを投与。
1時間後、ようやく折り返しの電話。
私「夜分に何度もお電話すみません。
30分ほど前に痛み止めを飲んでいただき今は落ち着いています」
医師「そう。また何かあったら連絡して」
驚かれる方もいあると思いますがこれがリアルです。
服薬に関しては、もちろん医師や薬剤師の指示を仰ぐのが基本ですが、苦しんでいる患者を野放しにはできないので、看護師の判断で軽度の痛み止めなどは投与しているところが実際多いです。
医師と先輩看護師の喧嘩勃発?
続いては、わたしが新人ナース時代の夜勤中に起こった、医師と先輩ナースとの喧嘩勃発事件についてご紹介していきます。
医師も新人?
事件が起きた当日は、はわたしの夜勤独り立ちデビューの日。ペアの相手は、50代のベテランナースでした。
独り立ちしたばかりということもあり、比較的症状が落ち着いている患者を担当させていただくことになりました。
異変が起きたのは21時をまわり、ラウンドをしていたとき。
患者の呼吸や目つき、脈も乱れていて、これはすぐに担当医に指示を仰がなくてはと思い連絡をしました。
すると、
「とりあえず心電図モニターを付けて様子をみてみてください」
とのことで指示通りに動きました。
ところが、0時をまわったころ、脈が明らかにおかしく急変したのです。
私は再度医師に連絡をしました。
すると、
「もう少し様子を見てみてください」
と言われたのです。
明らかに様子のおかしい患者を目の前にして、これ以上様子を見るだけでは危ないとわたしもペアの先輩ナースも思っていました。
なんでそのような指示しかださないのか疑問に思っていたところ、先輩ナースから、
「この先生、最近来た新人さんだよね。
あまり下手なことはできないと思っているのかな」
と言われました。
わたしも新人、担当医も新人。
少し不安を感じはじめていました。
具体的な指示を出さない
しかしとりあえず、担当医の指示通り様子を見ることにしました。
わたしが先に仮眠することになり、先輩ナース1人になったときのことです。
その後もその患者のバイタルは安定せず、これ以上経過観察だけでは危険と判断した先輩は担当医に再度連絡をしました。
すると、
「その状態で他の処置をするのは余計に危険です。
とりあえず朝になるまで待ってみてください」
と言われたそうです。
わたしが仮眠から戻ると先輩から一連の流れを説明されました。
先輩は煮え切らない医師の態度に苛立っている様子で、
「今度〇〇さんに何かあったらわたしが連絡するから言って」
と言われそうすることにしました。
いよいよ喧嘩勃発
日付をまたぎ、なんとか朝を迎え時刻は7時をまわろうとしていました。
このまま何事もなく終わればいいなと思っていたところ、患者の様態が急変したのです。
急いで担当医と家族に連絡しました。
その後、30分ほど経った頃にようやく担当医が病棟に来たのです。
その時点で先輩の怒りはピークに達しており、医師を見かけるや否や
「何もかも遅すぎますよね!?
先生がもっと早く来て指示を出してくれていれば朝まで待つ必要もなかったですし、
ご家族にも連絡するこもできたんですよ!?」
と医師に向かって叱責しました。
すると医師からは驚きの言葉が返って来ました。
「今の僕にはその指示しか思いつかなかったんですよ!
そんなに不安だったんなら他のベテランの先生に連絡すれば良かったでしょう!」
と言われたのです。
先輩はあきれ果て、担当医の上司にあたる医師に連絡しました。
患者は一命をとりとめたものの、ご家族からはクレームを言われ、先輩は担当医に激怒。
波乱の夜勤独り立ちデビューは幕を閉じました。
その後、その新人医師は先輩医師からナースステーション内でこっぴどく叱られ、患者の担当を外されることになったそうです。
まとめ
紹介した内容は特例だと思いますが、医師と看護師が良好な関係を築くことが大事だということは再確認していただけたと思います。
看護師のみなさんは、日ごろからできるだけ医師とコミュニケーションをとり、患者の情報を共有していただくことでよりよい看護ができると思いますので、ぜひ実践されていただきたいと思います。
この記事は、2021年6月時点の情報を元に作成しています。