認知症の患者さんと交わした約束、あなたが忘れてしまっても

みなさんは医療従事者として認知症のことはよく理解していると思いますし、関わりが難しいことも身に沁みてご存知かと思います。正解のないことですし、人によっても対応が変わってきます。傾聴したり寄り添ったりすることが大切と分かっていても、忙しいときなどは丁寧に接することができなくて、申し訳なく感じることも多々あるかと思います。
そこで今回は、ある認知症の患者さんのエピソードと、その方と交わした約束についてお話していきたいと思います。

目次
  1. 認知症の症状があるおじいちゃん、Aさん
  2. とても優しく、気遣い上手なAさん
  3. Aさんと交わした約束
  4. 患者さんとの関わりを楽しんで

認知症の症状があるおじいちゃん、Aさん

認知症の症状があるおじいちゃんのAさんは、足を骨折して手術のために入院していたものの、長引く入院生活の影響からか、平時より認知症が進んでしまっていました。

足を骨折しているため自分で歩くことはできないのですが、骨折したことを忘れてしまっているので立ち上がろうとしてしまいます。立ち上がってから足が痛いことに気付きます。危険なので車いすに座ってもらいベルトを着け、ナースステーションで見守ったりもしていたのですが、手の届く範囲の引き出しや物をひっくり返してしまったり、ハサミを見つけ出してはベルトを切ってしまったり、と他にも目を離せない行動がたくさんでした。

ある日、私はそんなAさんと長時間お話する機会を得ました。

私はAさんが入院されていた病棟の所属ではなかったのですが、その日は別病棟からの応援としてその病棟を訪れていました。そして、担当者からAさんについて説明を受け、見守りを依頼されました。

とても優しく、気遣い上手なAさん

実際にAさんと会ってみて驚きました。とても穏やかにお話をしてくれるのです。お話好きな方だったようで、自分の昔の話や、仕事の話、奥様との結婚の経緯や孫のことまで、たくさんのことを話してくれました。そして、私にも椅子を勧めてくれたりととても気を遣ってくれました。

そこで気付いたのですが、Aさんは決して看護師の邪魔をしたくて物をひっくり返したりしていたのではなく、みんなが働いている中で自分だけがゆっくりとしか行動できないことに 焦って、急いで行動しようとするあまり、物をひっくり返したりベルトを切ってしまったりしていたようです。

自分が骨折して入院していることはすっかり忘れているので仕方がないのですが、根がとても真面目で優しい人なんだなと感じました。

仕事をしていく中では、ついつい起こっていることそのものに目を向けてしまいがちではあるのですが、行動の原因を探ることもとても大切であることを、Aさんは気付かせてくれました。

Aさんと交わした約束

Aさんはずっと、料理人としてお店を経営していたそうです。なので料理のことにとても詳しく、おいしいトンカツの作り方やトロトロ卵のオムライスの作り方などを繰り返し教えてくれました。そして、何度も何度も私にこう言ってくれました。

「今度おいしいビフテキ焼くから食べにおいで、約束だよ」

私はAさんのこの気持ちが本当に嬉しかったです。認知症で数分後には自分が言った言葉を忘れてしまうのですが、それでも繰り返し私に言ってくれました。嬉しくて嬉しくて、その優しさのこもった約束だけで、お腹が満たされたような気持ちになりました。

Aさんが忘れてしまっていることは分かっていても、この約束は私の中で今でも生き続けています。

患者さんとの関わりを楽しんで

病院での仕事は毎日時間との闘いなので、患者さん一人ひとりとじっくり関われる機会はあまり多くありません。とはいえ、人と関わる仕事ですし、、そこに楽しみを見出して仕事をしている方も少なくないのではないでしょうか。

時間がなくても、丁寧に関わることができるように心がけていきたいと思いました。

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渡邉りら

執筆 元看護師 | 渡邉りら

患者さんの思いに寄り添うことのできる看護師に憧れ、急性期病院の看護師として勤務していた。現在は臨床を離れてCROの査読業務に携わっている。


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