看護師の資格を取得して一度は病院に就職はしたものの、人間関係やイメージが違い辞めていく人も少なくありません。また、病院で働いているうちに、スキルを上げたい、目指すものや考え方が変わってきたという人もいます。私自身も数年間、救急という現場で働き、さらなるスキルを目指して転職した経験があります。働いていくうちに技術や知識が備わり、高みを目指すことは、医療においても決して悪いことではありません。
看護師専門転職サービス「CLIUS看護」
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救急の現場
救急の現場では、急性疾患や外傷、また、慢性疾患からの急性増悪などでさまざまな患者さんが運ばれてきます。生や死を分ける救急の現場では、医師、看護師の判断や観察力、技術が左右されてくるため、現場にはいつも緊張感が走っています。そんな中でも先輩看護師は力を発揮することが多く、観察力はもちろんのこと、迅速な対応、アセスメント能力は後輩看護師と比べて差は歴然と言えるでしょう。しかし、いくら先輩看護師の能力が優れていたとしても、いつまでも同じように働けるわけではありません。年齢を重ね、頭の回転が悪くなり、体力も落ちてきます。後輩看護師に任せなくていけない時期が出てくるのです。
救急科に配属されて看護師
毎年、救急に配属される新人看護師はいますが、過酷な現場から部署を移動したいと申し出る新人看護師も少なくありせん。救急の患者さんはさまざまな疾患で運ばれてくるため、たくさんの処置を覚えなくてはなりません。どんな患者さんにも対応できる知識が必要となってきます。そのため、ある程度業務についていけるようになるには、数年かかることもあります。
ある年、配属された新人看護師は、小柄で声も小さく、見た目もパッとしない感じで、出勤しても髪はいつもボサボサですっぴんでした。しかし、自分から救急を志願して配属となりました。「なぜ、救急を選んだの?」と聞いたことがありましたが、純粋に「命が左右される現場で勉強して、何にでも対応できるようになりたい」と話していました。その言葉通り、新人看護師は見かけとは裏腹に、自分から積極的に行動をしていきました。失敗することもありますが、着実に成長していく姿は見られていました。
後輩看護師に悩む先輩看護師
その後輩看護師は、自分から積極的に動きますが、いつも声が小さく、表情もあまり変わることなく、常にテンションも一定でした。私はこれまでたくさんの新人看護師と関わってきましたが、特別珍しいタイプだと感じました。周りの看護師や医師も「不思議な子」と感じてはいましたが、仕事には真面目に取り組んでいるため、あまり気にはしていませんでした。
しかし、私たち先輩看護師は後輩看護師を育てることも仕事です。心身ともに疲れていないか、悩んでいなか目を配ることも大切です。後輩看護師の表情や動きから察知し、声をかけたり、身体を気遣ったりします。ですが、この後輩看護師は、表情があまり変わることなく、一定のテンションであるため、察知しづらい感じはありました。
疲れた表情、動き、言動などに変化があれば、声をかけて気遣うこともできますが、そういった目に見えて感じられることが一切なかったのです。しかし、新人で入職し救急に配属されているため、疲労はあるでしょう。ですが、声をかけても「大丈夫です」と返されるだけでした。私たち先輩看護師も、「本人が大丈夫というのであれば、大丈夫なのだろう」と思っていましたが、ある日、他病棟で働いている後輩看護師と同期の子に話を聞くことがありました。
同期と食事に行ってもあまり話す方でなく、お酒を飲んだとしても、やはりテンションは一定でのようでした。「仕事が辛いとか言っていなかった?」と聞いてみましたが、「大変は、大変」と答えていたそうです。しかし、同期にも「何でも対応できるように経験を積みたい」と私たちに話していたのと同じことを言っていたそうです。
また、その新人看護師は働くうえで何か大きな目標がありそうでしたが、それについては同期にも教えてはくれなかったそうです。とにかく今は経験を積むことだけに集中している様子であったと聞くことができました。
後輩看護師の変化
後輩看護師が3年目に入った頃、少しずつ変化が見られました。3年経験したため、知識や技術も身に付き即戦力として働くことはできます。それ以上に驚いたことが、身だしなみが変わってきたことです。いつもボサボサ頭ですっぴんだったのが、髪の毛をバッサリ切り、カラーリングとパーマをあて、薄く化粧していたのです。救急のスタッフにとっても衝撃的で、医師にいたっては、誰だかわからなかったと言ったぐらいです。同期も何も聞かされておらず、急な変貌ぶりに驚いたそうです。
どうしたのか理由を聞くと「イメチェンです」の一言。後はいつもと変わらず黙々と仕事をしていました。イメチェンをしてから、何となくですが、以前より明るくなった様子は周りのスタッフも気が付いていました。「3年目になって余裕がでてきたのかもしれないね」と話はしていましたが、それが悪い方向に向かうのではなく良い方向へ向かっていったのでみんな喜んでいました。
5年目のさらなる変化
その後輩が就職して5年が経過しました。5年経てば、リーダーや指導も経験してもう立派な看護師です。しかしある日、退職したいと申し出がありました。そのころ私は救急から部署を移動していたのですが、本人が直接来て話を聞きました。退職に関しては同期も聞いておらず驚いていましたが、病院が嫌になった、人間関係が辛くなったといった理由ではないとのことでした。
本人からは「ある程度、救急を経験して自信もついてきたから、違うことを勉強したい」とのことでした。「違うこと」が気になりながらも、勉強して高みを目指すことは素晴らしいことなので、残念ではありましたが快く見送ることにしました。そして、救急科で送別会をすることになり、すでに他部署ではありましたが、私にもお誘いがあり、参加することにしまいた。
そこでその後輩看護師が来て大変驚きました。なぜかというと、バッチリメイクで来られたのです。みんなもそれを見て「おおー」と大歓声。ものすごく綺麗な女性に変身していたのです。「何だ。寿退社か」「彼氏でもできたか」などいろいろ言われていましたが、3年目の頃イメチェンをしてから、外出先ではバッチリメイクをするようになったそうです。そんなこととは誰も知らず、噂でも聞いたことがなかったので、とにかく周りはすごい反応でした。確かに新人の頃から振り返って考えてみると、ベースは悪くなかったかもしれません。
後輩看護師が退職からの変化
後輩が退職して半年が経った頃、夜勤明けでラーメン屋に行くと、偶然その後輩と会い一緒に食事しました。そして、お互いに夜も時間があったため、飲みに行くことにしました。
飲みに行けば、やはり仕事の話となり、今は何をしているのか聞くと美容クリニックで働いていると聞き驚きました。救急でバリバリ働いていた人が、全く違う分野で働いていたので大変驚きましたが、元々美容の方に興味はあったと話を聞いてそれに対しても驚きました。
同期にも話さなかったもう1つの目標とはこのことだったのかと線が結びついた感じでした。しかし、そんな美容に興味があった人が、入職当時、なぜ頭はボサボサですっぴんで出勤していたのか不思議に思い聞いてみました。その当時から1人の女として興味はあったそうですが、考えも漠然としていたうえ、忙しくてそれどころではなかったようです。
そんななか、ある日、化粧人売り場で試しにメイクをしてもらったとき、変わった自分に驚いたようです。それから、ファッションやメイクなどのアドバイスをもらい、「こんな自分でも変われる」と知ってから、美容の仕事をしながら勉強をしたいと変わってきたと話していました。全く別の分野にはなりましたが、経験したことは決してゼロになったわけではなく、活かされているようなので、目標を持ち前に進んでいることは、私自身も喜ばしいことではありました。
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実際に美容クリニックで働いて感じていたこと
美容クリニックで働き始めてからは、病院とは全く異なった技術が必要なうえ、接客も重要となってくるため、違った意味で難しさを感じているようでした。ですが、病院とは違い、夜勤がなく、残業も少ない、その割には給料もいいみたいなので身体的にはだいぶ楽になったようです。
救急のようにいつ来るかわからないといったこともなく、すべては予約制であり、仕事自体もゆっくりで焦って何かをやるようなこともないことから、精神的にも楽になっているようでした。しかし、美容クリニックくる患者さんは美意識が高く、高い診療代を払って通ってきているため、結果がすべてであり、ミスが許されず、患者さんからのクレームもダイレクトに来ることもあるそうです。また、美容クリニックでは売り上げが重要となってくるため、営業をおこなうコミュニケーションスキルも求められるようでした。元々、口下手であるその後輩にとってそのコミュニケーションが一番辛いところではあると話していました。
辛くなったらいつでも戻ってきてもよいことを話しましたが、その後輩も5年間救急で働いた経験から、時々点滴を刺したり、介助についたりしたくなることもあり、医療系ドラマやドキュメンタリーを見ていると血が騒ぐそうです。
今は日勤帯の身体に慣れつつあり、夜勤は辛く、疾患を扱うことから離れているため、何となく病院に戻ることは躊躇してしまうとのこと。まだ救急の現場から離れて半年程度で、身体に染みついてはいますが、年月とともに経験したことを忘れてしまう怖さはあるようでした。どんな分野に進んだにしろ、一緒に働いていた後輩が看護師として働き続けていることはうれしいことです。今は自分で見つけた道を納得いくまで突き進んでもらえたらと思います。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2021年8月時点の情報を元に作成しています。
執筆 男性看護師ライター | ベル
看護師歴14年目。救急、ICU、外科、内科を経験トラブルも多い看護の世界でいろいろいあってもこの仕事が好きな男性看護師。 現在、管理職として働きながらブログなどでも経験を活かしたノウハウを執筆しています。
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