電話診療、オンライン診療を導入する条件は? 電話のみでも診療できる?

コロナ渦を経て、オンライン診療を導入している医療機関は増えていますが、ひとことに「オンライン診療」といっても、使っているシステムなどは医療機関によって異なりますし、診療の流れなどにも決まりはありません。また、「電話診療」という言葉もありますが、そもそも電話診療はオンライン診療と同じように認められているのでしょうか? 詳しくみていきましょう。

目次
  1. 電話診療とオンライン診療の違い・共通点
  2. オンライン診療が普及した背景と現状は?
  3. そもそも電話での診療は認められているのか?
  4. 電話診療の対象外・診療不可のケースとは?
  5. オンライン診療、電話診療を導入するための条件は?
    1. オンライン診療研修を受講する
    2. 都道府県の窓口に届出をおこなう
    3. ホームページなどに、オンライン診療、電話診療をおこなっていることを明記する
  6. オンライン診療、電話診療の流れは?
    1. オンライン診療の流れは
    2. 電話診療の流れは
  7. オンライン診療、電話診療の注意点は?
    1. オンライン診療の初診料は、対面診療より診療報酬点数が低い
    2. 通信トラブルが起きる可能性がある
    3. 耳が遠い患者などには、ゆっくり・はっきりしゃべる必要がある
    4. 患者の認識に間違いがないかをしっかり確認する必要がある
    5. 患者情報が盗まれる可能性がある
    6. クレーム対応やリスクの可能性を理解しておくことが大切
  8. 電話診療に関するよくある質問
  9. オンライン診療、電話診療は上手に活用することで患者にも医療機関にも大きなメリットをもたらす

電話診療とオンライン診療の違い・共通点

オンライン診療とは、医師と患者が物理的に離れた場所にいる場合に、スマホやタブレット、パソコンなどの通信機器を使うことで、インターネット上のビデオ通話によって診療をおこなうことを意味します。

では、電話診療はオンライン診療に含まれるかというと、答えとしては含まれません。ZOOMやGoogle meetなどのオンライン会議のツールはカメラをオフにできることを考えると、「音声のみでつながっていてもオンラインというのだから、電話でつながっていても同じなのでは?」と思えますが 、詳しくは後述しますが、厚生労働省が公表している「オンライン診療の適切な実施に関する指針」において、「オンライン診療をおこなうには、リアルタイムの視覚(映像)および聴覚(音声)の情報を含む情報通信手段を採用することが必須」とされています 。

参照:厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」

オンライン診療が普及した背景と現状は?

冒頭で述べた通り、オンライン診療が一気に普及したのはコロナ渦です。院内感染を予防するためには、医療従事者と患者が直接対面する必要のない診察スタイルは得策であると考えられたからです。

では、それ以前には、オンライン診療はどのように活用されていたかというと、遠隔診療の対象とされていた離島やへき地に在住する患者を診察する際に活用されていました。しかし、2015年には、離島やへき地の患者のオンライン診療はあくまで例示であり、全国どこでも遠隔診療を実施できることが確認され、さらに2018年度の診療報酬改定では、オンライン診療料等が創設されています 。

また、コロナ渦を経てオンライン診療が定着した現在では、内科や小児科、精神科、眼科などの医療機関で導入されているケースが多いです 。

参照:日本医師会総合政策研究機構「オンライン診療についての現状整理」

そもそも電話での診療は認められているのか?

続いては本題の、「そもそも電話診療は認められているのか?」について解説していきます。

まず、結論からいうと、電話などの“音声のみでの診療”は、「再診に限って」認められています。ただし、「患者の求めがあった場合」という条件がつきます 。

なお、このルールが適用されたのは2023(令和5)年8月1日からで、その前日の7月31日までは、初診であっても電話のみでの診療が認められていました。どういうことかというと、2020(令和2)年4月10日から2023(令和5)年7月31日にかけては、新型コロナウイルスの院内感染を防ぐ感染防止対策として、時限的・特例的な取り扱いとして、厚生労働省によって電話診療が認められていたのです。このことをまとめた「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」が4月10日に公布されていることから、この取り扱いは「0140対応」と呼ばれています 。

つまり、現在における診療方法の選択肢としては、

  • 対面診療
  • オンライン診療
  • 電話診療
  • となりますが、オンライン診療は処置や検査ができないことなどから対象疾患・症状が限られており、電話診療は、オンライン診療と同じく、処置や検査ができないことから対象疾患・症状が限られており、かつ初診の患者はNGということになります。

    参照:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」

    電話診療の対象外・診療不可のケースとは?

    前述の通り、電話診療は処置や検査ができないことから対象疾患・症状が限られており、かつ初診の患者は対象外とされています。

    では、どのような場合であれば電話診療が認められるかというと、「患者が定期通院中である場合」です。つまり、慢性疾患などで定期的に通院していて、医師が患者の状態をある程度把握している場合であるといえます。ただし、定期通院中であっても、容態が急変した場合などは電話での診療は難しいと考えられます。

    まとめると、電話診療が対象外・診療不可のケースは、

  • 初診
  • 当該疾患での来院歴がない
  • 当該疾患での来院歴があるが、いつも通りの容態ではない
  • ということになります。

    オンライン診療、電話診療を導入するための条件は?

    続いては、オンライン診療、電話診療を導入するための条件を解説します。オンライン診療、電話診療をおこなうためには以下の条件を満たしている必要があります。

  • オンライン診療研修を受講する
  • 都道府県の窓口に届出をおこなう
  • ホームページなどに、オンライン診療、電話診療をおこなっていることを明記する
  • それぞれ詳しく解説していきます。

    オンライン診療研修を受講する

    オンライン診療および電話診療をおこなうためには、オンライン診療研修を受ける必要があります。オンライン診療研修はe-ラーニングで提供されているため、都合がいいときに自宅などから受講することができます。オンライン診療研修には、「オンライン診療とセキュリティ」「オンライン診療の提供体制」などいくつかの科目が用意されています。産婦人科以外の医師で、緊急避妊薬の処方をおこなう可能性がある場合は、緊急避妊薬の処方に関する研修も受ける必要があります。

    参照:厚生労働省 オンライン診療研修・緊急避妊薬の処方に関する研修

    都道府県の窓口に届出をおこなう

    オンライン診療または電話診療をおこなう場合、都道府県の窓口に届出をおこなう必要があります。その際、対面診療が必要となった場合に紹介する予定の医療機関がある場合は、当該医療機関に事前に了承を得たうえで、所定の欄に記入します。

    なお、オンライン診療または電話診療をおこなうためには、厚生労働省が指定する施設基準を満たしている必要があるため、届出の手続きをおこなう前に、施設基準を満たしていることを確認しましょう。

    参照:厚生労働省「医療機関が電話やオンラインによる診療を行う場合の手順と留意事項」

    ホームページなどに、オンライン診療、電話診療をおこなっていることを明記する

    オンライン診療または電話診療をおこなう場合は、その旨および対応可能な時間帯、予約方法などをホームページ上に明記します。併せて、診療が困難な症状や対面診療が必要になる場合があることを明記しておけば、トラブルを未然に防ぐことにつながります。また、顔が見えるオンライン診療に関しては、担当する医師の顔写真などもホームページに記載しておくと患者が安心できます。

    参照:厚生労働省「医療機関が電話やオンラインによる診療を行う場合の手順と留意事項」

    オンライン診療、電話診療の流れは?

    続いては、オンライン診療、電話診療の流れを解説していきます。

    オンライン診療の流れは

    まずはオンライン診療の流れから。

    【事前予約】
    ①予約システムなど予約管理機能を有している場合、そこから予約を受け付けます。予約管理機能を有していない場合、電話で予約を受け付けます。
    ②患者に対して、症状によってはオンラインによる診療では診断や処方とならず、対面診療や受診勧奨となることを伝えます。予約管理機能を活用する場合、システムの画面上や、予約確認のメールなどに、その旨を記すので構いません。
    ③当該患者の被保険者情報を入力してもらうことなどにより、受給資格を事前に確認しておきます。
    ④患者の利用する支払方法を確認します。銀行振込、クレジットカード決済、その他電子決済などの支払方法により実施して差し支えありません。

    【診療】
    ①オンライン診療アプリやスマホのテレビ電話機能などを用いて、患者のデバイスに医師側から接続します。
    ②(患者と面識がない場合などは)顔写真付きの身分証明書や医師免許証を提示し、本人であることと医師であることを証明すると丁寧です。
    ③患者に被保険者証を提示してもらい、受給資格を確認して、確認できたら診察を開始します。ただし、電話での予約ではなく、予約システムを活用している場合や、患者が初診ではない場合などは、この工程は省いても構いません。
    ④診療を実施します。その結果として、オンラインによる診療では診断や処方が困難な場合だと判断した場合は、患者に対して対面での受診を推奨します。なお、受診勧奨のみで終了した場合については、診療報酬は算定できません。

    【診療後】
    ①患者が電話などによる服薬指導等を希望する場合は、患者が希望する薬局に処方箋
    情報をファクシミリなどで送付します(処方箋原本は可能な時期に薬局に郵送などによって送付します)。
    ②精算手続きをおこないます。領収証と明細書をファクシミリ、電子メールまたは
    郵送などによって無償で患者に交付します。
    ③初診の患者を診療した場合は、所定の調査票に必要事項を記入して、月
    に一度取りまとめて都道府県庁へ報告します。

    電話診療の流れは

    続いては電話診療の流れです。

    【事前予約】
    ①患者から電話で診療の求めがあった場合、予約スケジュールを調整します。
    ②患者に対して、症状によっては電話では診断や処方とならず、対面診療や
    受診勧奨になることを伝えます。
    ③電話診療は、【再診】の場合のみしかおこなえないため、患者の連絡先などは基本的に医療機関でも把握しているはずですが、本人であるかを確認するためにも、患者から口頭で伝えてもらいます。また、前回の受診から月が替わっている場合は、保険証の情報に関しても確認が必要です。
    ④患者の利用する支払方法を確認します。銀行振込、クレジットカード決済、その他電子決済などの支払方法によって実施して差し支えありません。

    【診療】
    ①予約時に患者から聞き取った電話番号に電話をかけます。
    ②電話による診療では診断や処方が困難な場合は、対面での受診を推奨します。なお、受診勧奨のみで終了した場合については、診療報酬は算定できません。

    【診療後】
    ①処方箋を発行する際に、患者が電話などによる服薬指導等を希望する場合は、患者が希望する薬局に処方箋情報をファクシミリなどで送付します。処方箋原本は可能な時期に薬局に郵送などにより送付します。
    ②精算手続きをおこないます。領収証と明細書をファクシミリ、電子メールまたは郵送などによって無償で患者に交付します。

    オンライン診療、電話診療の注意点は?

    続いては、オンライン診療、電話診療の注意点を解説していきます。オンライン診療および電話診療を導入するにあたっての主な注意点は次の通りです。

  • オンライン診療の初診料は、対面診療より診療報酬点数が低い
  • 通信トラブルが起きる可能性がある
  • 耳が遠い患者などには、ゆっくり・はっきりしゃべる必要がある
  • 患者の認識に間違いがないかをしっかり確認する必要がある
  • 患者情報が盗まれる可能性がある
  • クレーム対応やリスクの可能性を理解しておくことが大切
  • それぞれ詳しく解説していきます。

    オンライン診療の初診料は、対面診療より診療報酬点数が低い

    オンライン診療の初診料は251点ですが、対面診療の初診料は288点です。そのため、初診患者の診療に同じ時間をかけるなら対面診療のほうが多く稼げるということになります。ただし、特に医師がひとりしかいない個人経営の医療機関は、対面診療の診療時間外をオンライン診療の対応可能時間としているため、効率よく稼ぐためにも、オンライン診療を導入することは得策だと考えられます。なお、再診料に関しては、対面診療、オンライン診療ともに73点と差がありません。

    参照:厚生労働省「令和4年度診療報酬改定の概要」より「情報通信機器を用いた初診に係る評価の新設」

    通信トラブルが起きる可能性がある

    オンライン診療および電話診療は、通信トラブルが起きる可能性がゼロではありません。スマホやPC、タブレットを使うことに慣れていない患者の場合、オンライン診療の開始時間になってもログインできないということがあり得るでしょう。また単純に、患者もしくは医師が電波の悪い場所にいるため、通信トラブルが発生することもあり得ます。

    耳が遠い患者などには、ゆっくり・はっきりしゃべる必要がある

    患者の耳が遠い場合、対面での診療時の会話のスピードよりさらにスピードを落として、一言一言はっきりとしゃべることを意識することが大切です。そうでないと、患者が医師の言葉を聞き間違える可能性があります。

    患者の認識に間違いがないかをしっかり確認する必要がある

    医師がゆっくり・はっきり発話したとしても、また、患者がそれに対して「わかりました」と返事をしていたとしても、患者が間違った認識をしている可能性がゼロとはいえません。そのため、とりわけ療養上気を付けてほしいことなどの重要な点については、確認を重ねることが望ましいといえます。

    患者情報が盗まれる可能性がある

    セキュリティが強固でなければ、患者とのやりとりが外部に漏れてしまう可能性があります。そうなると医療機関としての信用を失いかねないため、セキュリティ対策に力を入れることは不可欠です。予約システムから入力した個人情報が流出するようなことがないよう、導入するシステム選びも慎重に!

    クレーム対応やリスクの可能性を理解しておくことが大切

    定期的に通院している患者の再診であるとはいえ、顔が見えない相手を診療するとなると、いつもとは状態が異なることに気づけない可能性も否めません。患者が無理をして「大丈夫です」と言っている場合もありえますし、特に高齢の患者であれば、突如認知症の症状が出始めるとも限りません。その結果、患者本人またはその家族からクレームが入ることなども考えられます。そうしたリスクがあることを十分理解したうえで、対策を考えておくことも大切です。

    電話診療に関するよくある質問

    続いては、電話診療に関するよくある質問とその答えを解説していきます。

    Q:患者の声が聴き取りにくいときはどうすればいい?
    A:患者が電波状況がよくない場所にいることなどが原因で、相手の声が聴き取りにくいことはあり得ます。その場合は、「恐れ入りますが、お電話が遠いようです」「電波の状況が悪いようですが、お電話が聴き取りやすい場所に移動していただくことは可能ですか?」などの言葉で、声が聴き取りにくいことを伝えましょう。

    Q:電話が途中で切れてしまった場合はどうすればいい?
    A:診療中に電話が切れてしまった場合は、医療機関側からかけなおします。患者側も慌てて電話をしてくる可能性があることから、スムーズにつながらない場合もありますが、その場合は間隔をあけてかけなおします。つながったら、たとえ電話が切れた原因が患者側の電波状況などであっても、「先ほどは失礼しました」とお詫びの一言を添えましょう。

    Q:自宅の電話にかけたら、患者の家族が出て、患者の現在の症状などについて質問された場合はどうすればいい?
    A:患者が自分の症状について家族に話したくないと考えている場合なども考えられるので、家族からの質問に患者の了解を得ることなく答えることは避けましょう。そのうえで、患者本人と電話診療の約束をしていること、本人に代わってほしいことを家族に伝えます。

    Q:約束の時間に電話をしても患者が出ない場合はどうすればいい?
    A:約束の時間ぴったりに出られなくても、1、2分おいてかけなおすと出てくれる場合がほとんどだと考えられます。また、たまたま同じ時間に他の人から電話がかかっていて出られなかった可能性もゼロではありません。何度かけてもつながらない場合、ひとまずは患者からの再度の連絡を待ちましょう。

    オンライン診療、電話診療は上手に活用することで患者にも医療機関にも大きなメリットをもたらす

    オンライン診療および電話診療には、メリットもあればデメリットもあります。先に解説した通り、診療報酬点数が低いことや、通信トラブルの可能性、患者情報が盗まれる可能性はありますが、診療時間外に自宅などからでも診療できることから、医療機関側にとっては収入アップの可能性が高く、また、外出しにくいなどの事情がある患者のニーズに応えられることから、患者満足度の向上が考えられることはお互いにとって大きなメリットです。そうした点を踏まえて、医療機関-患者ともに「win-winの関係だ」と思えるよう、オンライン診療および電話診療の体制を整えていくことはとても大切ですよ。

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    1.使いやすさを追求したUI・UX ・ゲーム事業で培って来た視認性・操作性を追求したシンプルな画面設計 ・必要な情報のみ瞬時に呼び出すことが出来るため、診療中のストレスを軽減 2.診療中の工数削減 ・AIによる自動学習機能、セット作成機能、クイック登録機能等 ・カルテ入力時間の大幅削減による患者様と向き合う時間を増加 3.予約機能・グループ医院管理機能による経営サポート ・電子カルテ内の予約システムとの連動、グループ医院管理機能を活用することにより経営サポート実現 ・さらにオンライン診療の搭載による効率的・効果的な診療体制実現

    対象規模

    無床クリニック向け 在宅向け

    オプション機能

    オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

    提供形態

    サービス クラウド SaaS 分離型

    診療科目

    内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、