
看護師という専門職の現場では、命を預かる責任の重さや人手不足、チームで動く特性などから、時に強いストレスが人間関係の歪みに繋がることもあります。
今回は、現役の看護師たちに「見た・聞いた・された“看護師いじめ”」についてエピソードを教えてもらいました。そこから見えてきたのは、「これっていじめ?」と悩むようなグレーな関係や、組織の風土によって左右される現場のリアルでした。
典型的ないじめのパターンと背景
まずは、看護師が受けるいじめについてどんなものがあるのか?について。併せて、「なぜいじめが起きるのか?」についての意見もご紹介します。
業務の工夫が「出る杭」とされる
業務を効率化しようとした工夫が、先輩に否定されるというケースがありました。
「みんなが、あなたのやり方は違うと言ってるよと言われた。実際はみんなという人数ではなかった。常に、否定的な言葉をかけられた。」(さきなな/30代・前半)
この方は、精神的に追い詰められ、最終的に適応障害で休職・退職されたとのことです。※現在は別施設で看護師として就労中
外部出身者が標的になりやすい
地方から上京した新人、地元出身でない看護師が「部外者」として扱われる例も。
「私は部外者なうえ、要領が悪いタイプでした。…突発性難聴になり、左耳が聞こえなくなりました。」
(ちにた/40代・前半)
「外部から来た人」や「病棟の空気を知らない人」に対しては、無言の排除のような雰囲気が生まれることもあるようです。
積極的でないタイプは業務を押し付けられがち
おとなしい人、自己主張が少ない人に負担が集中するケースも。
「せん妄状態で手がかかる患者さんをすべて私の担当にされました。」(sora/30代・後半)
表立ったいじめではなくても、“察して我慢”が常態化してしまう職場では、気づかれにくいいじめが起きやすくなります。
新人に対する理不尽な言動
新人に厳しすぎる態度、人格否定のような言葉も多数報告されました。
「『今からバイタル回るけど、何をみるの?』…『何を聞いてたの!』と手元にあったバインダーを机に叩きつけられました。」(まりも/20代・後半)
「看護師一年目のとき、「あんたにつかれた患者は死ぬ。人殺しだね。」と言われました。(まだ仕事も遅く知識も乏しく、先輩に矢継ぎ早に質問攻めされたり申し送り中に言葉に詰まった際)」(らいち/30代・後半)
このような発言は、看護師としての自信を大きく揺るがすものです。メンタルヘルスに重大な影響を及ぼす場合もあります。
権力のある人からのパワハラ的対応
役職者が特定の職員にだけ態度を変えるような例も。
「主任看護師が、ある一定期間コロコロとターゲットを変えるようにして、新人や男性看護師がいじめのようなことをされていました。」(am/30代・後半)
「机をバンバン叩きながら怒鳴られていました」(wakimon/50代・前半)
怒鳴る、威圧するなどの指導は、いまやパワハラと捉えられる時代です。
看護師同士の「見えないライン」も存在している
嫌われた人にだけ厳しい仕事が割り振られる、ということも。
「嫌いな看護師の担当を重症の方や大変なオペの方にしていました。」(mii/30代・後半)
「人目のつく、看護師ロッカーでコンコンと詰められていた」(さやえんどう/20代・後半)
チーム内に“好き・嫌い”がはっきり出る環境では、公平性が崩れ、仕事へのモチベーションにも影響が出ます。
嘘の指導で新人を混乱させる
「御局様」的存在から嘘の指導をされて、翌日怒られるという悪質なケースも。
「別の先輩に『やり方が違う!』と怒られ…『私はそんなこと教えてない。嘘つかんといて』と言われた」(さおり/30代・後半)
一方で、「いじめが起きにくい」職場もある
すべての現場が陰湿なわけではありません。いじめが起きにくい職場には、共通して以下の特徴があるようです。
- 多忙でいじめる余裕がない
- 年齢層が幅広く、助け合いの文化がある
- 上司と現場の風通しが良い
- 組織的にスタッフの意見が通りやすい
具体的には、以下のような意見がありました。
「スタッフ同士で協力して業務を行わないとまわらない…人間関係が割と良好」(Tomochin/30代・前半)
「見聞きしたことがない。人それぞれ得意不得意はあるという前提で人と接している風潮があるため。」(momo/20代・後半)
「明らかな看護師いじめを見聞きしたことがないのは、自分が配属される部署は何故かいつも院内で人間関係が一番良いと言われるところだったからかも知れない。」(kawa/50代・前半)
看護師がいじめから脱出するための考え方
記録を残す
日付・内容・相手など、日々の嫌がらせをメモに残しておくと、いざという時に証拠になります。後に上司へ相談する場合にも有効です。
心療内科やカウンセラーに頼る
心身へのダメージがある場合、医療機関への相談も重要です。診断書が出れば休職などの選択肢も取りやすくなります。
信頼できる上司や同僚に相談する
話を聞いてくれる人が一人でもいると、孤立感が薄れます。直属でなくても構いません。相談の際は、事実を簡潔に伝えるのがポイントです。
法的な手段も視野に入れる
悪質ないじめやパワハラの場合、労働局や看護協会、弁護士への相談も検討しましょう。「記録」がここで活きてきます。
転職する
どうしても状況が変わらないときは、環境を変えるのが一番早い解決策。転職サイトやエージェントを活用して「人間関係の良い職場」を探しましょう。
まとめ
看護の現場では、厳しい環境の中で「これっていじめ?」という曖昧なラインが引かれることも多くあります。
誰かが浮いてしまう風土や、“新人だから仕方ない”と我慢を強いる文化が残っている限り、同じようなエピソードは繰り返されてしまうかもしれません。
「働きやすい職場」とは、制度や待遇以上に「人間関係の質」が大きなカギを握っているのかもしれませんね。
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診療科目
この記事は、2025年4月時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
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