自治医科大学 簑田 清次医師
自治医科大学
簑田 清次医師
アレルギーリウマチ科 教授
1. 地域連携を始めた時の状況およびきっかけを教えてください

栃木リウマチネットワークを考え始めたのは、2000年頃だったと思います。
当時始まった新薬の治験が驚くべき効果をあげたのですが、その治療には今まで以上に医師のマンパワーと時間が要求されたのです。
48関節の確認、副作用のチェック、その後の薬剤の注射。1人の患者様を治療するのに半日、長い時は丸1日かかりました。

そこで、不足しているマンパワーを診療所の先生方に補ってもらえないかと考えました。協力が得られれば患者様の治療を継続できる、その一心でネットワーク構築のために動き始めたのです。

ネットワークの構築には、まずお互いに信頼関係を築く必要がありました。そのため、少人数の会合を毎週のように開いたものです。その中でお互いに意見を出し合っていくうちに、大学も診療所も患者様も、全員が助かるようなものとして、このネットワークの方針が固まっていきました。

2. 医療連携を行っていく上で特に意識していることを教えてください

医療連携の最大の課題は、いかに連携を維持できるかです。

リウマチ以外の疾患についても、もちろん医療連携することで患者様に最大のメリットを提供することができます。しかしせっかくネットワークを構築しても、維持ができなければ意味がありません。

維持するには、診療所の先生方と頻繁にコミュニケーションを取ることが重要です。
実際に連携が進んでいるところには、患者様のことでお手紙を書いたりしています。
またまだ連携が始まっていない診療所とも、定期的に開催する勉強会で交流を深めています。やはり顔の見える連携を維持していくことが、医療連携の本当の成功につながるのだと思います。

3. 医療連携の場も含め、医療ITに求める役割を教えてください

医療分野において、様々なIT技術が活用されています。特に予約システムやレントゲン、検査データのやり取りなどは便利になりました。
医療へのIT技術の活用において大切なことは、複雑ではなくシンプルなものであることです。
日々膨大な業務に追われている医師にとって、簡便に利用できることが大前提になります。
その他、今では導入されることの多くなった電子カルテもあります。電子カルテに望んでいることも、使いやすくスムーズに診療ができるものであるということです。

自治医科大学
診療科目
アレルギーリウマチ科
所在地
:〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1
TEL
:0285-58-7358(医局直通)
URL
http://www.jichi.ac.jp/alle/
【取材メモ】
2003年に発足された栃木リウマチネットワークは、関節リウマチの治療を通して医療従事者の交流および知識・技術の向上を図るとともに、関節リウマチ患者様の教育と啓発を通じて地域医療の発展に貢献することを目的に設立され、今では89施設にそのネットワークを広げている。

平成30年11月に提示された厚生労働省審議会疾病対策部会 リウマチ等対策委員会の報告書に、診療連携体制のあり方について「一般医療機関と専門医療機関等の連携が十分とはいえない。」との報告がある。全国的に見てこのような状況の中、いち早くネットワークを構築、顔の見える連携を実現し地域をあげてリウマチ治療に取り組んでいる栃木リウマチネットワークは、リウマチ治療のモデルケースとして大変興味深い。

なお簑田 清次医師の取り組みは、下記に詳しい。

・地域差のない最新リウマチ治療の実践と医療安全のための病診連携(HHC)の構築とその維持(HHC: hospital and health-care clinic co-operation)
臨床リウマチ 27(4), 296-301, 2015