CLIUSの魅力は、進化してどんどん使いやすくなるところです
先生のご経歴、システム構築に興味を持たれたきっかけを教えてください
普通の心臓外科医なんです。医師として医学博士も取っていますし、2006年~2008年の3年間留学していたドイツでは約1,200例の手術を経験したりもしました。現在も毎週心臓手術をこなしています。
2004年ごろから、もともとシステム関係に強いという訳ではありませんでしたが、医師が個人の研究で使っていたりあとは大学病院は医局単位で入院台帳や手術台帳などのデータベースの管理に使っているファイルメーカーをもっと使いやすくしようというところから、趣味でシステム関連のことをやり始めました。
その後、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)国際会議で日本代表団長も経験している当学理工学部 数学科の吉開 範章(よしかいのりあき)教授の下について学術的に取り組む機会があり、医学博士以外に、もう一つ生命科学博士を所得することになりました。特許を取得するという話になったり、また厚生労働省から製品化の話をいただき企業と共同開発等もしました。
このような状況の中で研究をずっと続け、心臓手術の合間に電子カルテの不便なところを補うようなシステムを作っています。
電子カルテCLIUSを知った経緯、Macに特化したCLIUSに対する印象を教えてください
父が診療所を開業していましたが、高齢ということもあり自分が理事長となり後輩を院長に迎え入れ3人体制で診療をしていました。しばらくして父が引退したことをきっかけに電子カルテの導入を検討し始め色々な会社を見ていたところ、CLIUSを見つけ連絡したんです。
やはり進化するものがいいですよね。そういう点で電子カルテの開発に関して色々とがんじがらめになっていなくて、どんどん良くなっていくようなことができる体力のある会社というのもいいなと。
電子カルテ自体は、CLIUSはクラウド型であることを感じさせない動作の速さが良いと思いました。
あとはMac的な感じがするなと。もともとAppleが好きでMacが好きなんです。
例えばMacであれば非常に細かいところに対しても考え込まれていて、作り込んでいるなというのが伝わってきます。日本人の感性に響きますよね。そもそもMacは開ける事が楽しみになるような箱に入っていて、箱の時点でこの製品は良いと決まっているような気がします。CLIUSにはその辺りまでこだわるような製品になって欲しいと思っています。
電子カルテに求めるもの、今後進んでいくべき方向を教えてください
15年前に出張で行った病院で初めて実際に電子カルテを使いましたが、当時は非常に使い辛く、これじゃ診る患者数を制限しないとだめだと思いました。現在ではある程度使いやすいのは最低限当たり前です。
現在の電子カルテは医師が診療情報として入力した文章や看護師が看護記録として書いた文章がテキストデータになっているだけで、二次利用がほとんどできません。でも実はこの診療情報にこそ使えるデータが詰まっています。
例えば今は電子カルテが用意した会計データが主にデータベース化されていますが、なんでこの薬を使ったか等の診療内容までデータベース化されることで医療費に関しても臨床データから分析することができ、医療財源の削減に直結します。
すなわち診療報酬支払基金の審査に有用で、現在は使用した薬について、なぜこの病気に対して使用したかを毎月文章で説明していますが、もともと電子カルテ自体がなぜ使うのかが解るように記載できるシステムになればこの作業も必要がなくなり、不正も無くなります。
これは現在、DPC(診療群分類包括評価)を利用してやろうとしているところもあるようですが、DPC病名は必ずしも本当の病名とは言えず、レセプト用に分類している保険病名の場合もあり、本当にこの人の病気は何なのかということが書いてあるのはやはり診療録等の文章データなので、DPCからの正確な分析は多くの場合不可能に近いです。
診療情報をある程度規則に則った記載にして全部データベース化すれば、書類を作ることにも研究にも使えるといったように作業効率の向上にもつながり、しいては医師の働き方改革にもつながります。
ですから単に電子カルテで医療業務をするというのではなく、居ながらにして生の臨床データが勝手に溜まって統計が取れるという、診療情報を二次利用できるシステムの開発が必要です。そして規則的な正規化されたデータベースによってビッグデータとなれば、賢く人工知能化します。DPCによるビックデータは人工知能の良い教師データとは言い難いと思っています。
今後の医療業界について、医療のIT化について、先生お考えをお聞かせください
マイナンバーとの連携がないと始まらないと思っています。
人間はひとりなのにカルテが複数あるのはおかしいと思っていて、どこの家庭にも水道管が流れているように、どこの医療機関にも医療機関固有のネットワークが流れるようになり、日本中どこにいても個人を特定して、カルテが閲覧できるようになるべきだと思います。しかし恐らくセキュリティーの問題でなかなかこれが実現が遅くなると思いますが、一元化すれば薬の重複投与もなくなり医療経済の圧迫が軽減されますし、お薬手帳もいらなくなりますし、アレルギー情報などは隠すべき個人情報ではなく、患者個人の命のために共有すべき重要な情報であるし、なんでもかんでも個人情報保護というのは、医療業界においてはすべてあてはまらないような気がしています。
利便性とセキュリティーが反比例するのはみなさんご存知の通りで、この問題からどうにか脱却していかないと未来は来ないと思っています。