
オンラインで診療予約ができるシステムは、もはやクリニックにとって必要不可欠なもの。このシステムを導入しているか否かで、患者さんの数を左右します。
では、実際に導入しようとした場合の料金や、実際に導入するまでのプロセスはどのようになっているのでしょうか?
今回は「診療予約システム」について紹介します。
診療予約システムとは?
「診療予約システム」というのは、スマホやパソコンから、オンライン上で診察予約が行えるシステムのことです。
予約は当日の順番予約と日付・時間指定で行えるのが一般的。当日急に受診を希望した場合は、来院して診察券を提出し、順番待ちをしないといけません。
しかし、Webから予約をしておき、順番が近づいたタイミングで来院すれば、長い時間待たずに診察が受けられます。
診療予約システムのメリット
続いては、診療予約システムを導入するメリットをみていきましょう。
患者満足度の向上
診療予約システムによっておおよその診療開始時間が把握できるようになると、患者のストレスは軽減されます。いつ自分の順番が回ってくるかわからないまま何十分、何時間も院内で待っている必要もないですし、たとえ自分の順番まで時間があるとしても、順番が近づいたらLINEなどで知らせてもらえるとなると、カフェで時間をつぶすなど自由に過ごせるからです。それによって、患者満足度が向上することが考えられます。
受付管理の効率化
予約システムを設けることで飛び込みでの診療が減り、受付管理が効率的に行えるようになるのもメリットです。また、順番待ち人数をホームページ上に表示することで、「今どれくらい待っていますか?」という問い合わせの電話件数も減るため、受付業務に集中できるようになります。
院内の混雑緩和
自分の順番がまだ先の患者の多くが外出するため、院内が混雑しにくくなります。院内の混雑緩和は、感染症対策にもつながります。
診療予約システムを導入しないほうが(しなくても)いいクリニック
予約システムを導入する以上、クリニック側もその時間までにきっちり診察をはじめられるようにするべきです。患者さんも、当然「予約した時間までに行けば時間通りに診察してもらえる」と思っています。
しかし、クリニックによってはそれが難しい場合があることも。
とくに産婦人科などの急を要する患者が多く来院する診療科の場合、実際にほとんどの患者が予約しているにも関わらず、数時間待たされることも多いもの。場合によっては、予約した場合としていない場合とで待ち時間が変わらないこともあるかと思います。
また、高齢の患者が多い診療科であれば、予約システムを導入したところで、自宅からスマホやパソコンを使って予約できる患者がほとんどいないことが考えられます。そうなると、予約システムを導入する意味がありません。
高齢患者が大半のクリニックなら、予約システムの導入ではなく、昔ながらの方法になりますが、会計の際に次回来院日時を決めてもらうのが一番です。
もしくは、次回来院日時を決めることなく、患者が都合がいいときに来院してもらうことが望ましいパターン(たとえば、足腰のリハビリのために通院する患者が多い地方の整形外科などで、クリニックに行って近所の仲間や先生と話せることを楽しみにしている患者が多いなど)もあります。
この場合は、そもそも待ち時間が長いことをネガティブにとらえる患者はほとんどいません。
ただし、風邪などの院内感染が起こりえる内科などは話が別。高齢患者ともなれば感染したときのリスクが若者より高くなるため、院内に大勢がたむろする時間をなるべく削減できるよう工夫することが大切です。
いずれにしても、クリニックで扱う疾病や診察スタイルによっては、予約システムを導入しない方が得策であるともいえます。ご自身のクリニックはどういうケースが多いのかを以前にシミュレーションしたうえで、予約システムの導入をご検討くださいね。
診療予約システム導入の流れ
続いては、導入の流れをみていきましょう。
資料請求や問い合わせをする
予約システムを導入したい場合、まずは気になる予約システムのメーカーなどに資料請求や問い合わせをします。
見積もりを出してもらう
次に、各メーカーに見積もりを出してもらいます。
試用を申し込む
メーカーによっては、試用期間を設けているメーカーもあります。試用期間は無料で利用できるので、使用感をしっかり確かめることができます。
たとえば、『FAST LIST』は2週間、『診療予約2022』は60日間のテスト利用が可能(それぞれの診療予約システムについては後述)。実際に使ってみることで善し悪しがわかるので、無料期間のあるサービスで試してみるのもいいかもしれません。
初めて予約システムを使うという場合にも、こうした無料期間のあるサービスは重宝します。
契約する
見積もり、試用を経て問題点や気になることを解消できたら契約……というのが一般的な流れです。
診療予約システムの料金
例えば初期費用が無料、月額は安いがオプション料金が必要、機能は充実しているが初期費用とランニングコストが高めなど、システムによって料金の特徴が異なります。
今回は、5つのサービスをピックアップし、利用料金を調べてみました。
FAST LIST
初期費用 | 月額基本料 |
無料 | 7,800円/1年を月額に換算※年契約制。9万3,600円※ベーシックプラン |
診療予約2022
初期費用 | 無料 |
月額基本料 | 1万5,000円(順番待ち・時間帯予約ライセンス)※院内待ち時間表示機能などオプションは各機能月額2,000~5,000円必要 |
メディカル革命
初期費用 | 20万円 |
月額基本料 | 2万円 |
STORES 予約
初期費用 | 無料 |
月額基本料 | 2万2,980円※スタンダードプラン |
ヨヤクル
初期費用 | 16万円 |
月額基本料 | 9,000円※診療前通知や発券機能などオプションで別途費用が必要 |
システムを大きく2つに分けると、月額や初期費用は高いが機能が充実しているものと、機能は少ないがリーズナブルなものに分けられます。
リーズナブルなタイプは別料金でオプションが追加できますが、あれこれ追加していると月に4~5万と高額になる場合もあります。必要な機能をあらかじめリストアップしておけば、求める機能と料金が合致するポイントが探しやすいでしょう。
また、後で「こんなはずじゃなかった」という事態も避けられます。とくに、「予約受付人数の上限」や「お知らせメールの送信機能」といった重要な機能がオプションになっているサービスも多いため、慎重に選ぶことをお勧めします。
診療予約システムの導入は、クリニックの特性に合わせて検討を
導入のメリットや料金など、診療予約システムについてご紹介しました。
「多少遠くてもWebで待ち人数を確認できるクリニックの方を重視する」という人もいるなど、もはやオンラインでの予約システムは必須。
しかし、今回紹介したように、予約システムによって、料金や特徴はかなり異なります。クリニックを開業する際は、しっかりと吟味して導入するように心掛けましょう。
特徴
システムとの提携
対応言語
予約・受付機能
提供システム
その他機能
診療科目
特徴
提供システム
対応言語
予約・受付機能
診療科目
特徴
提供システム
予約・受付機能
診療科目
この記事は、2020年11月時点の情報を元に作成しています。