電子カルテと紙カルテを徹底比較

カルテといえば、これまでは紙に診療録を記入する「紙カルテ」が一般的でした。しかし、コンピューターを用いて電子的に診療録を作成する「電子カルテ」が登場し、現在ではこちらが主流となっています。今や医師にとって電子カルテは必須のツールになってきたと言えるでしょう。今回は、紙カルテと電子カルテを比較し、メリット・デメリットをご紹介します。

目次
  1. 電子カルテとは
  2. 電子カルテのメリット
  3. 電子カルテのデメリット
  4. 紙カルテのメリット
  5. 紙カルテのデメリット
  6. まとめ

電子カルテとは

電子カルテが日本で普及し始めたのは、厚生労働省がカルテを電子的に保存することを認めた1999年以降のことです。

そもそもカルテは、診療を受ける患者さんの氏名・住所・性別・年齢、病名や症状、治療方法、診療年月日などを記録するもの。電子カルテは、この記録をコンピューター上で行えるようにするソフトウエアを指します。また単に電子化されたカルテにとどまらず、レセコン(レセプトコンピューター)にデータを送信する機能を備えています。

レセコンとは、受付・医療事務が扱い、診療録から点数計算をし保険請求額を計算するソフトウエアのことです。ちなみにレセコンは、電子カルテよりも前、1970年代に登場しています。診療報酬を請求するための「点数計算」を正確に行う必要があったためです。

現在、電子カルテはレセコンと連携しながら医療業務の効率化に効果を上げており、さらなる普及、また機能向上が期待されています。

電子カルテのメリット

電子カルテのメリットは以下のようなものです。

    • 文字が読みやすい
    • 検索が容易
    • 紙カルテと違い保管スペースが要らない
    • データの共有が可能
    • 会計待ち時間を短くできる

    「医者の悪筆」などといわれますが、紙カルテに書かれた文字はたいてい読みにくいものです。書いた本人が読み返してみても解読に時間がかかることがあります。しかし、電子カルテの場合は、フォントで表示されますので解読作業を要するといったことは起こりません。電子カルテの場合、例えば他の医師とデータを共有することが可能なので「文字が読みやすい」ことは重要です。

    また、カルテはデータベース管理されますので検索が容易で、名前や診察券番号などで瞬時に必要なカルテを取り出すことが可能です。

    データはコンピューターの記憶装置に記録されていますので、紙カルテと違って保管場所を設ける必要がありません。記憶装置の容量を増やせば、何人分でも何年分でも保管することが可能です。

    電子カルテに記入することをオーダー入力(オーダリング)といいますが、診療が終了したらオーダー内容はレセコンに送信されます。レセコンではこれを基に保険診療点数の計算を行います。このような業務連携が可能なため、会計業務にかかる時間を短縮できるのです。

    電子カルテのデメリット

    電子カルテのデメリットは以下になります。

    • 停電や災害が発生した際利用できない
    • クラウド型電子カルテの場合インターネットの通信が必須
    • 導入に費用がかかる
    • セキュリティ対応が必要

    電子カルテはコンピューター上で動作するソフトですから、停電や災害などの際に使用できません。実際、東日本大震災のときには電子カルテが使用できないため患者さんの病歴が確認できない、また電子カルテのデータそのものが失われるといったことが起こりました。

    電子カルテのシステムが院内に設置されたサーバーにある場合(これを「オンプレミス型」といいます)はいいのですが、システム自体がクラウドサーバー上にあると、インターネットに接続できないときは使えません。そのため、なんらかの原因でインターネットの接続に障害が起こると使用できなくなります。

    そもそも電子カルテの導入には少なからぬ金額がかかります。クラウドサーバーを利用する安価なものでも数十万円から、クリニック内にサーバーなどの機器を設置するオンプレ型であれば数百万円からと費用は決して安いものではありません。

    また、電子カルテもセキュリティー対策には気を配る必要があります。「○○クリニックから△△人分の患者データが流出」といったことが起こらないようにするためです。といってもシステム、サービスの提供元がデータを流出させないよう対策を行っているのが普通です。導入に際しては、データ漏えいへの対策が十二分に施された電子カルテを選ぶのが良いでしょう。

    紙カルテのメリット

    紙カルテには以下のようなメリットがあります。

    • 費用がかからない
    • 災害や停電時でも利用できる

    まずなんといっても費用がかかりません。紙と筆記用具があればいいので簡単です。しかも、停電時でも急な災害が起こっても使用できます。また、一覧性が高いという紙の特徴もあり、閲覧しやすいのも良い点です。

    紙カルテのデメリット

    紙カルテのデメリットは以下のような点です。

    • 保管場所が必要
    • 1人しか見られない
    • 定期的な整理・廃棄が必要になる

    紙カルテはかさばるのが難点です。「診療録は治療が終わってから5年間は保管する」ように義務付けられていますので、定期的に整理・廃棄を行わないとどんどんたまっていきます。また、きちんと管理していないと、必要な昔のカルテを捜すのが大変です。

    これは電子カルテと比較するからかもしれませんが、データの共有ができません。ある医師が紙カルテを見ているとほかの人は閲覧できませんね。複数の医師がチームを組んで診療に当たっている場合、これは不便に思えるでしょう。

    まとめ

    紙カルテと電子カルテを比較してみましたが、いかがだったでしょうか。本記事でご紹介したとおり、電子カルテには多くのメリットがあります。しかし、停電や急な災害時に使えなくなってしまうかも……という弱点があるのも確かです。

    やはり導入には医師・クリニック院長のメリットとデメリットをてんびんにかけた判断が必要です。ただし、導入に踏み切れない理由が「資金面」であるのなら、例えば経済産業省が後援している「IT導入補助金」の利用などを考えてみるといいでしょう。国もIT化を推進していますので、自己資金をできるだけ使わずに電子カルテの導入が可能になりますよ。

    Mac・Windows・iPadで自由に操作、マニュア ルいらずで最短クリック数で診療効率アップ

    特徴

    1.使いやすさを追求したUI・UX ・ゲーム事業で培って来た視認性・操作性を追求したシンプルな画面設計 ・必要な情報のみ瞬時に呼び出すことが出来るため、診療中のストレスを軽減 2.診療中の工数削減 ・AIによる自動学習機能、セット作成機能、クイック登録機能等 ・カルテ入力時間の大幅削減による患者様と向き合う時間を増加 3.予約機能・グループ医院管理機能による経営サポート ・電子カルテ内の予約システムとの連動、グループ医院管理機能を活用することにより経営サポート実現 ・さらにオンライン診療の搭載による効率的・効果的な診療体制実現

    対象規模

    無床クリニック向け 在宅向け

    オプション機能

    オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

    提供形態

    サービス クラウド SaaS 分離型

    診療科目

    内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、

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    執筆 コラム配信 | クリニック開業ナビ

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