紙カルテからクラウド型電子カルテに移行してよかったこと

厚生労働省は「医療等分野におけるICT化の徹底について」(2016年)で、2020年までに400床以上の一般病院での電子カルテ普及率90%を掲げました。さらに、200床以上の一般病院での電子カルテの普及率は約72%(参考:厚生労働省『電子カルテシステム等の普及状況の推移』)と、今や病院では電子カルテが当たり前となっています。
一方で、一般診療所の電子カルテの普及率は、41.6%(2017年現在)だといわれており、診療所の電子カルテ導入は病院と比べて大きく遅れをとっている現状です。

今回取材した診療所「医療法人 みなとクリニック」は、1993年に湊 宏司医師によって開設され、2020年4月に田中 崇洋医師に継承されました。そして、継承と同時に紙カルテからクラウド型電子カルテへ移行。

パソコン操作が苦手だという前院長も引き続き一緒に働くなかで、紙カルテから電子カルテへと切り替え、スムーズに運用する方法や、クラウド型電子カルテのメリットを伺いました。

紙カルテからの移行を検討中の方は、ぜひご覧ください。
※以下は、質問に対する田中医師の回答です。

紙カルテからクラウド型電子カルテに移行した理由は?

私が、前院長から継承開業したことがきっかけです。これまで勤務していた病院でも電子カルテを使っていたので、継承にあたり電子カルテ導入の検討は自然なことでした。

電子カルテにはオンプレミス型とクラウド型がありますが、自院にサーバーを置くオンプレミス型の電子カルテだと、導入費用やランニングコストが高くなるので、比較的費用が安いクラウド型を考えていました。
また、継承後は在宅医療も行う予定だったので、出先でもカルテを操作できるクラウド型は有力な選択肢でした。

関連記事:電子カルテとは? オンプレとクラウドの違い、導入費用、選定時期までを解説

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クラウド型電子カルテをどのように選定しましたか?

自分でインターネット検索をして調べていました。
候補の一つに在宅に特化した電子カルテがあり、ランニングコストと導入費用が高い印象はありながらも、知り合いのクリニックでも使っていて好感触でした。ただ、自院は在宅に特化したクリニックではなく、外来の割合も多めに考えていましたし、継承前の電子カルテ選定の段階では、どれだけ在宅の患者さんが増えるか予測もつきません。

結局、外来でも使いやすく、在宅でも使用できるカルテを探して、「CLIUS」(クリアス)を選びました。
「CLIUS」(クリアス)は、Macのように、感覚的に操作できるところがとにかく気に入りました。初期費用も月額費用も比較的安く、在宅医療でも問題なく運用できています。

移行して感じた、紙カルテ運用での大変な点は?

診療履歴、既往歴の把握に時間がかかる

私は継承開業でしたので、当院かかりつけの患者さんの情報把握が第一の課題でした。
診療履歴を把握しようにも、20年以上通ってくださっている方の分厚いカルテは何冊もあり、その中から病歴を掘り出し、記載されている文字の解読、処方内容の理解をしなければなりません。前院長も一緒に勤務しているので、分からないところは聞くこともできましたが、とにかく地道で骨の折れる作業でした。

ほかにも、前院長だけ分かればよい書き方がされていたり、一行だけ書かれていたりということもありました。その時に役立ったのは、紹介状などの正式な書類です。患者情報が丁寧に書かれているので、それらをヒントに読み解いていきました。

過去の紙カルテをどのようにデータ移行した?

通院患者さんも、継承したての私にとっては初診の患者さんです。そのため、診察の際にはその患者さんのこれまでの紙カルテを開きながら内容を理解し、電子カルテには新しい情報や病歴を記入していくスタイルをとりました。
ただし、過去の検査データは紙カルテにそのまま貼り付けてあったため、電子カルテには移していません。今でも過去のデータと比較する際は、紙カルテも出すようにしています。

患者さんは、約1〜3カ月分の処方が切れる頃に再診されるサイクルが多いので、継承して3カ月を越えたぐらいでようやくかかりつけの患者さんを一周できた感覚でした。

全ての患者データを電子カルテに移行する方法もないわけではありませんが、その分莫大なコストがかかるので、しばらくは紙カルテも使いつつ運用していくことが現実的かと思います。

電子カルテに移行してよかったところは?

診療履歴、既往歴がすぐ参照できる

紙カルテでは把握が大変だった患者さんの病歴も、電子カルテを導入してからは簡単にサマライズして見られるようになりました。

また、紙カルテの時のように「書いた人しか分からない」書き方をすると、担当医が不在の際の緊急対応に支障が出るので、他の医師や看護師が見ても情報が読み取れるような丁寧な書き方を意識しています。特に2020年9月からは常勤医師2人、非常勤医師1人という体制で診療を行っておりますので、他の医師に診療内容が伝わる書き方をすることが必須です。

訪問診療でもPCさえ持っていればカルテ記入ができる

一時期、前院長も訪問診療を行っていましたが、当時は患者さんのカルテを何冊も持ち運んでいたようです。

今回、クラウド型電子カルテにしたことで、パソコン一台あればどの患者さんの診療にも対応できます。該当する患者さんの紙カルテを探し、運び、しまう行為がなくなったことで効率的になったと思います。
処方箋も、患者さんの自宅から「eFax」というインターネットFAXサービスを使って調剤薬局へ送信しているので、時間的なロスも少なく便利に使えています。

書類作成に必要な時間が削減できた

また、これは電子カルテにもよると思いますが、私が使用しているものは、カルテに記録されている患者情報が自動で書類に反映される機能があります。

紹介状や居宅療養管理指導書、訪問看護指示書などの書類作成がクリックだけでも完了できるので、書類作成の作業時間が大幅に削減できました。

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電子カルテ(パソコン)が苦手な医師も、紙カルテから移行できる?

当院では前院長がパソコンをあまり扱えないため、前院長が診察する場合のみ、クラーク(シュライバー)を設けることにしました。

最初は前院長も「自分でカルテ入力をする」と話していたのですが、実際に診察してみると、入力やオーダーに時間がかかってしまったので、今では、前院長の診察時のみ事務員さんを横につけて、カルテ入力をしてもらっています。

ネットワーク障害があった時はどう対応している?

トラブル時は、紙カルテも併用しています。
カルテ自体が重くなった(不調)時や、カルテの問題ではなく無線LANやルータに問題が生じた時も、紙カルテで対応しています。レセプトはカルテと分離しているので、カルテの記載をもとに、事務員さんにレセプトに反映してもらって乗り越えました。
電子カルテが復旧してからは、紙の内容を自身で転記したり、事務員さんにお願いしたりしてカバーしています。

電子カルテに限らず、東証も丸一日ダウンすることがあるわけで、こういったネットワークのトラブルはある程度仕方ないと思っています。逆に、トラブルが起きた時にどう対処するかが大事だと思います。

このような事態があることを差し引いても、クラウド型電子カルテで享受できるメリットのほうが大きいと思います。

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Mac・Windows・iPadで自由に操作、マニュア ルいらずで最短クリック数で診療効率アップ

特徴

1.使いやすさを追求したUI・UX ・ゲーム事業で培って来た視認性・操作性を追求したシンプルな画面設計 ・必要な情報のみ瞬時に呼び出すことが出来るため、診療中のストレスを軽減 2.診療中の工数削減 ・AIによる自動学習機能、セット作成機能、クイック登録機能等 ・カルテ入力時間の大幅削減による患者様と向き合う時間を増加 3.予約機能・グループ医院管理機能による経営サポート ・電子カルテ内の予約システムとの連動、グループ医院管理機能を活用することにより経営サポート実現 ・さらにオンライン診療の搭載による効率的・効果的な診療体制実現

対象規模

無床クリニック向け 在宅向け

オプション機能

オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、

田中 崇洋

取材協力 医療法人みなとクリニック 院長 | 田中 崇洋

九州大学医学部を卒業の後、杉田玄白記念公立小浜病院、三菱京都病院 消化器外科を経て、2020年4月に医療法人みなとクリニックを継承開業し院長へ就任。外科疾患、消化器疾患に対する治療に加えて、生活習慣病(高血圧症・脂質異常症・糖尿病など)をはじめとする内科疾患の治療を実践している。


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執筆 CLIUS(クリアス )

クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。


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