オンライン資格確認は「厚生労働省」の進める「データヘルス改革」の基盤となるもので、官民一体で全ての病院・診療所・薬局に導入されるように進行されています。しかし、もともとは2021年3月から本格運用開始となっていたのですが、10月までに開始と延期されました。本格運用までの準備時間ができたわけですが、あらためてオンライン資格確認本格稼働までのスケジュールを再確認してみましょう。
オンライン資格確認の導入の進行状況は?
オンライン資格確認の最新の導入状況を確認すると、2021年4月18日時点では以下のようになっています。
医療機関等向けポータルサイト登録数(一括申請・神申請除く)
セグメント | 登録施設数 | 割合 |
---|---|---|
病院 | 6,694 / 8,276 施設 | 80.9% |
医科診療所 | 44,456 / 89,159 施設 | 49.9% |
歯科診療所 | 35,675 / 70,935 施設 | 50.3% |
薬局 | 41,702 / 60,095 施設 | 69.4% |
合計 | 128,527 / 228,465 施設 | 56.3% |
※2021年4月18日時点
顔認証付カードリーダー申込数
セグメント | 申込施設数 | 割合 |
---|---|---|
病院 | 6,421 / 8,276 施設 | 77.6% |
医科診療所 | 40,011 / 89,159 施設 | 44.9% |
歯科診療所 | 35,143 / 70,935 施設 | 49.5% |
薬局 | 48,342 / 60,095 施設 | 80.4% |
合計 | 129,917 / 228,465 施設 | 56.9% |
※2021年4月18日時点
病院では、アカウントの申し込み数は「80.9%」、「顔認証付きカードリーダー」の申し込み数も「77.6%」まできました。医科診療所は遅れていますが、それでもアカウントの申し込みが「49.9%」、「顔認証付きカードリーダー」の申し込み「44.9%」となっています。特に病院ではほとんどの医療機関が導入に向けて前向きに動いています。官民一体で進行している効果がこの数字に表れているといえるでしょう(以下のURLの最後に最新の導入状況があります)。
ただし、これはあくまでも「申し込み数」です。実際に稼働しているかを表しているわけではありません。その点にはご注意ください。
参照・引用元:「厚生労働省」「顔認証付きカードリーダー等の申込状況」
オンライン資格確認の導入スケジュールの現状
「厚生労働省」によれば、オンライン資格確認についての最新の工程管理スケジュールは以下のようになっています。
- 本格運用開始は「10月までに」が目標
- 本格運用までに導入実施を約10万機関に順次拡大する(システムの安定性や運用状況を確認しながら拡大)
本格運用時には「薬剤情報の閲覧開始」「レセプト振替」も開始する予定です。
もともとは3月本格運用開始、3月4日までに約500機関で稼働している予定だったのですが、実際には3月22日時点で54機関でしか稼働しておらず、プレ運用期間が延長された形です。
「厚生労働省」では導入準備の遅れは、
- 新型コロナウイルスの影響などによるシステム改修の遅れ(リモートでの仕事が推奨されたための人手不足など)
- 世界的な半導体不足によるパソコン調達の遅延
- 一部の「顔認証付きカードリーダー」の生産遅延
などに起因するとしています。システムベンダーでは、ほとんどの場合、3月からの本格運用開始に向け、連携できるようレセコンの改修作業を進めていたのですが、世界的な半導体不足は全くの誤算でした。ソフトウエアが対応したとしても、パソコンがなければシステムは稼働できません。
一方、すでに稼働し、本格稼働前のプレ運用を行っていた医療機関では、 加入者データの不備による資格確認エラー、院内システムへの読み取りエラーが発生し、これを解消する作業の最中です。
院内システムへの読み取りエラー、その他の検知されたエラーについては、システム側の改修作業でなくすことが可能ですが、厄介なのは、被保険者(患者さん)のデータを管理している「保険者」(けんぽ協会、企業ごとの健康保険組合など)側の不備に起因するエラーです。これらは、以下の要因で起こります。
- 保険者が登録した個人情報に誤りがある
- 被保険者のデータが入力されていない
- 被保険者番号が正確ではない
しかし、この種の保険者の不備によるエラーは、本格運用が開始されても起こる可能性があります。しらみつぶしに修正していくしかないからです。エラーが起こって初めてミスがあったと気付くケースもあるでしょう。
参照・引用元:「厚生労働省」「オンライン資格確認等システムについて」
本格運用が延期されたため、現在はプレ運用の期間となっていますが、この間にシステムはより堅牢となるでしょう。また、オンライン資格確認の導入によって、上掲のような保険者の入力エラーなどが洗い出されます。これを修正していけば、より信頼性の高いシステムになります。現在はそのための「産みの苦しみ」を味わっているともいえるのです。
医師・クリニック院長の皆さんも「いつかは入れる」と考えているのであれば、早めに導入してみてはいかがでしょうか。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2021年5月時点の情報を元に作成しています。