看護師として働き始めたものの、職場環境や給料、休暇などに関しての不満が原因で、看護師の職から完全に離れてしまう人も少なくありません。
また、結婚や出産、育休をきっかけに臨床現場を離れてしまう人もいるでしょう。
資格を保有しているものの現在は働いていない65歳以下の看護師を「潜在看護師」と言いますが、潜在看護師は全国に70万人以上いると言われています。
育児などの事情により臨床から離れてしまう人はまだしも、職場環境が原因で離れてしまう人が多いのはとても残念なことです。
実は、看護業界における人材不足は以前から問題とされていました。
しかし、何年経っても問題は解消されず、年々離職者数は右肩あがりなのです。
ライフステージによる理由で離れた人の中には、復職したいと考えている人もいる
出産や育児で、一旦看護師から離れた人の中には、復職したいと考えている人も多くいます。
では、なぜ復職を希望しているのにも関わらず、看護師不足は続いているのでしょうか。
大きな原因は、勤務条件にあると思われます。
どこ医療機関も、募集をかけ看護師が欲しいことには変わりはありません。
ですが、条件が厳しすぎるのです。
夜勤ができない看護師のことは、正職員として認めずパート扱いにしたり、採用しなかったりします。
看護師が足りないから募集をかけているはずなのに、復帰したい人でも夜勤ができないという理由で採用しなかったりするのです。
これではいつまでたっても看護師は増えません。
また、子どもが小さいときは、免疫機能の発達も未熟で体調も崩しやすいため、急な欠勤や早退もありえます。
子どものことなので仕方がないことですが、急な欠勤により人数不足で忙しくなり、休みの人を代わりに出勤させてしまうこともあるので、申し訳ないと思う気持ちと同時に、何を言われるかわからないという不安も覚えるでしょう。
そうしたことが重なると働きづらくなり、部署移動ならまだしも、退職を促されることもあるのです。
子どもの預け先が見つからず復職ができない
また、復帰するにしても、仕事をしている間は誰かしらに子どもの面倒を見てもらわなくてはなりません。
その第一選択肢が、保育所や学童保育だと思います。
しかし、保育所や学童保育が見つからなかったり、定員がいっぱいで預けられなかったりしたことから、復帰を断念する人もいます。
そもそも、看護師は超過勤務が多い職業です。
保育所や学童保育は何時でも預けられるわけではありません。
そうなると残業ができず、周囲から文句を言われずに働くことも難しくなり、復帰しにくいのも事実です。
ブランク、医療技術の進歩による不安
育児も落ち着き、復帰する頃には数年が経過しています。
中には10年や15年のブランクがあるという人もいます。
医療技術は日々進化していきます。
10年前であれは当たり前のようにやっていたことも、今では禁止とされていることもあるのです。
ブランクが長ければ長いほど、業務についていくことや勉強していくことが難しくなり、自信がもてなくなります。
また、体力も変わってきます。
以前なら当たり前のように動けていた身体も、年を重ね疲れやすくなるうえ、育児の疲労も蓄積されています。
そのため、復帰しようと思ったら、融通をきかせてくれる医療機関を探すことが重要になってきます。
看護師を辞める理由は圧倒的に人間関係
看護師の職業を始めて、まず悩むのが人間関係です。
看護師は先輩、後輩看護師だけではなく、医師や検査技師、理学療法士、薬剤師、医療事務、患者さんやその家族など、さまざまな人と関係を築きながら業務をこなしていかなくてはなりません。
関わっている人が多ければ多いほど悩みも増えます。
その中でも一番悩まされるのは、やはり、先輩看護師との人間関係ではないでしょうか。
など、例を挙げだしたらキリがありません。
しかも、こうした言動が毎日のように続けは誰だって嫌になります。
これは看護師という職業ならではなのかもしれません。
看護師は毎日、患者さんと向き合い看護をおこなっています。
患者さんの中には軽症の人もいれば重症の人もいますし、疾患の種類もさまざまです。
そのような臨床の現場で、命と向き合っている看護師は失敗が許されません。
張り詰めた現場ゆえ、先輩看護師も厳しくなることはわかります。
ただ、厳し過ぎるのです。
数年前、数十年前であればそれでも良かったかもしれません。
しかし、時代は変化しています。
その時代、その人にあった教育をおこなっていかなければ、誰もついてはこず簡単に辞めてしまうのです。
現代は物で溢れています。
物や金銭面で苦労を知らない世代となるため、余程のことがない限りは、何があっても食らいついていこうとはしません。
それよりも、ワークライフバランスを考え、精神的安定を求める時代です。
先輩看護師に「昔は辛かった」「厳しかった」と話されても、その当時を生きていないためわからないのです。
もちろん今の世代の人たちが、社会で学び変わっていくことも大切です。
しかし、先輩看護師たちも学び変わっていかなくてはならないのです。
どのようにしたら働き続けることができるか
看護師になるためには、専門学校もしくは大学を卒業しなくてはなりません。
1日に何科目ものテストをおこない、辛い実習をクリアしていかなくてはならないので、決して楽ではないのです。
わたし自身もテストや実習中は辛く、毎日不眠気味だったのを覚えています。
しかし、その苦難を乗り越え、自分が思い描く看護師像に近づこうとするのです。
辛いことはあっても、決して看護師という職業が嫌いなわけではないのです。
そうではなく、働く環境のせいで、働くことが嫌いになってしまうのです。
ライフステージに変化があった看護師の復帰
わたしが働いている病院では、育児休暇が終わると、夫の転勤などの理由がない限り、休職していた看護師は高い確率で戻って来ています。
それはなぜかというと、働きやすい環境が整っているからです。
例え夜勤ができなくても、フルタイムであれば正社員として働くことができますし、「夜勤はできないし、働ける時間にも制限がある」といった人はパートとして働くことができます。
また、子どもの急な体調不良時などは早退してもらったりしています。
「何かあったときには休める」ということは非常に大切なことだからです。
育児休暇で多少ブランクがあったとしても、キャリアがある看護師は即戦力となりえます。
例え夜勤ができないとしても、働いてもらうメリットの方が大きいのです。
保育所関連による復帰
病院によっては、託児所や院内保育なども備えていて、子どもを預けることが可能です。
しかし、ある程度年齢の大きい子どもは託児所や院内保育ではあずかれないので、
託児所に預けて働いているうちに、保育所を探すといいでしょう。
ちなみに、看護師という職業がシフト制であり生活が不規則であることは、保育所もよく理解しています。
そのため、待機児童であっても優先順位は高い傾向にあります。
大きく期待を持ち過ぎても良くはありませんが、いつごろ入所できそうかこまめに問い合わせ、その返答を病院にも共有するといいでしょう。
そうすることで、育児休暇の延長を考慮してくる可能性があるからです。
長期ブランク後の復帰
ブランクが長ければ長いほど、不安になってくる人も多いかと思います。
いくら長く看護師としてもキャリアがあったとしても、不安はゼロではありません。
長く働いてきた医療機関であれば、仕事の仕方に慣れているため、この問題をクリアしやすいでしょう。
しかし、全く新しい職場で復帰する場合は、そういうわけには行きません。
ここで重要となってくるのが、病院側の指導方法です。
いくらキャリアが長くて自分に自信があったとしても、「病院が、ブランクがある看護師にどう接しているか」は確認することをおすすめします。
実際に採用となってから、「全然できないね」と言われてしまっては精神的苦痛を受けかねません
また、そういったことはあっという間に広がり、人間関係のトラブルにも発展しかねません。
それを防ぐためにも、専属の指導者は付くのか、研修の機会は設けてもらえるのかを確認しておくとよいかもしれません。
人間関係によるトラブル回避
人間関係のトラブルは誰もが避けたいと思っているはずです。
先輩看護師も若い時代があり、嫌な思いをしてきたはずです。
しかし、いつしか自分でも気がつかないうちに、嫌な思いをさせる側になっているのかもしれません。
「わたしも先輩には厳しく育てられた。だから同じように厳しく育てる」と思うか、「わたしはそれで嫌な思いをしたから、後輩にはしない」。どちらかになってくるでしょう。
ですが、人間関係で悩まされている以上、前者の方が圧倒的に多いでしょう。
威圧的な態度の先輩看護師
威圧的な態度を取ってくる先輩看護師に対しては、「委縮しないこと」が大切です。
中には責任感が強く威圧的になる先輩もいるため、見極めることも大切になってきます。
正論を言っていれば、素直に受け入れて仕事をすればいいし、腑に落ちなければ、他の先輩へ相談して納得のいく答えを探すことも必要です。
しかし、最初から委縮せず毅然として仕事することは難しいことかもしれません。
逆に感情的になってしまうこともあるでしょう。
ですが、感情的になればさらにトラブルは深くなっていくことも考えられます。
委縮してしまうことや感情的になってしまうことを考えるよりも、今、目の前にあるやるべきことに意識を集中させて、不要な感情は頭から離すことが良い方法かもしれません。
理不尽過ぎる言動
先輩看護師の中には、あまりにも理不尽に怒ってくる人も少なくありません。
わたし自身も経験があるのですが、
- 言われた記憶もないのに「前にも言ったでしょ。何度言ったらわかるの」
- 初めてのことなのに「これで何回目だと思っているの」
- 身に覚えがないのに「あなたがやったんでしょ」
など言われた経験がある人はわたしだけではないでしょう。
そのような理不尽にも怒ってくる人には「オウム返し」が有効です。
わたし自身も実際に使ったのですが、
「前にも言ったでしょ。何度言ったらわかるの」と言われた記憶がない場合。
「何回言われたら、理解することができるのでしょうか。何が原因なのでしょうか。
ただ、すいません。このことに関しては初めてです」
初めてのことなのに「これで何回目だと思っているの」と言われた場合
「すいません。これについては初めてです。みなさん何回ぐらいでできるようになったのですか」
身に覚えがないのに「あなたがやったんでしょ」
「わたしはここまではやったのですが、そこから先はわたしではないんです」
自分が悪くなくても、謝ってばかりいるように思えますが、オウム返しは相手に冷静さを戻させる方法でもあります。
相手の頭に血が上っていても、案外自分自身は冷静です。
逆にその冷静さに巻き込むこともできます。
自分のミスすら謝らない
先輩看護師の中には、自分より若い看護師は、ミスをするという先入観を持っている人もいます。
ミスをしたのは先輩看護師であって自分ではない。
しかし、先輩看護師はそれを認めようとしません。
自分がミスをしたと知られれば、今後のことにも影響が出てくると考えてしまうからです。
自分のプライドや立場を守り、失敗を認めることが怖いからです。
失敗を認めることができないのは、失敗に慣れていないこともあります。
誰かに叱られるという経験が少ないのです。
人は叱られ、責任能力がついていきます。
そのため、叱られた経験が少ない人は、ミスをしたとわかっていても、口に出すことは少なく、自分ではないと思い込む傾向にあります。
自分のミスを謝らない人とは、一定の距離を保つことが良い方法かもしれません。
矛先を自分に向けられないように距離を保つのです。
しかし、看護師は仕事上、報告や連絡、相談といったことがたくさんあります。
そのため、一定の距離を保つということは難しいことかもしれませんが、とにかく、自分から無暗に近づかないことです。
先輩の機嫌を取ろうとか、話すことも特にないのに無理に話そうとしなくてよいのです。
先輩の機嫌を取ろうとしたところで、自分自身が疲れてしまいます。
仕事以外の話には「深入りしない、一定の距離を保つ」これがよい方法と言えるでしょう。
また、看護師には仕事中でも逃げやすい場所が1つあります。
それは患者さんのところです。
これは、看護師だからできることでもあります。
中には、同じ空間にずっと居続けなければならない部署もあります。
しかし、看護師はその場に居続けるということが、逆に少ないのです。
患者さんのところに逃げ、黙々と仕事をすることも、一定の距離を保つための有効な手段と言えます。
患者さんのところでケアをすることに誰も文句は言いません。
ですが、長い時間ずっと居続けることで、「全然姿が見えない」と不審がられては良くないので、合間を見てナースステーションに戻り、姿は見せておきましょう。
これを繰り返していると、自然と先輩看護師から目が離れ、手を出してこなくなります。
手を出してこなければ、先輩のミスを被ることも少なくなってくるのです。
特徴
対応業務
診療科目
特徴
対応業務
診療科目
この記事は、2021年7月時点の情報を元に作成しています。