【さすが先生】医師の患者対応エピソード

今回は私が働いていた病院で実際に見た、さすが先生だなと感心した医師の患者対応エピソードを紹介します。

目次
  1. Aさんと先生のエピソード
    1. 施設入所を嫌がっていたAさん
    2. 急に気が変わるAさん
    3. なんとAさんは脱走計画を企てていた
    4. Aさんのその後
  2. Bさんと先生のエピソード
    1. いつも不機嫌なBさん
    2. 病院食を残すようになったBさん
    3. 実は間食していたBさん
    4. Bさんのその後
  3. 貧血患者のルート確保
  4. まとめ

Aさんと先生のエピソード

高齢のAさんは持病の治療のため長らく入院していました。そんなAさんのエピソードを紹介します。

施設入所を嫌がっていたAさん

高齢であることと持病の経過が思わしくないことから、自宅ではなく、医療機関を併設した施設への入所を勧められていました。

ですがAさんはこだわりが強く、施設には絶対入らないと頑固な態度。家族からも、家で見るのでは心配だから施設入所するようにと連日説得されていました。

急に気が変わるAさん

そんなある日、Aさんは急に施設に入ると言い出したのです。看護師は気が変わってくれてよかったとほっとしました。

ですが、主治医はAさんの行動を注意して観察してほしいと言うのです。なぜかと問うと先生は「離院するかもしれないから」と。

「離院」とは、医師の許可なく、患者さんが病院を離れてしまうこと。簡単に言うと脱走です。Aさんは脱走して一人暮らしを考えているかもしれないと言うのです。私はそんなことを考えもしなかったのでかなり驚きました。

先生に言われたとおり、その日の夜勤帯にはいつもより注意してAさんの動きを観察していました。

なんとAさんは脱走計画を企てていた

夜勤帯に見回りに行くとAさんの部屋からがさがさと音が聞こえました。「Aさん?」と静かに声をかけると慌てたように動く音もします。

Aさんのお部屋をライトで照らすと、Aさんはベッドに横になっていました。しかし、不審に思ったので、いつもは1時間おきの見回りをしているのですが、10分後に再度訪室してみました。

すると、部屋の入口にAさんがリュックを背負って立っていました。看護師に気付くとはっとし、すぐにがっかりとした表情になりました。

どうしたのかと尋ねると「施設に行くぐらいなら、どっか家族の知らないところで一人暮らししようと思っていたんだよ」とか弱い声で答えてくれました。Aさんは家族から施設入所を勧められ、家族はもう自分のことを邪魔だと思っているんだと感じていたと後で教えてくれました。

Aさんのその後

先生の観察眼のおかげで無事脱走前にAさんを止めることができました。その後はご家族と施設入所に関して、看護師も同席して話し合うことになりました。

患者さんの態度から起こりうるリスクを想定し、トラブルを事前に防ぐ先生は視野の広さが違うなあと思いました。

Bさんと先生のエピソード

Bさんは生活習慣病で入院治療していた患者さんです。そんなBさんと先生のエピソードを紹介します。

いつも不機嫌なBさん

Bさんの食事は減塩食でカロリーコントロールされたもの。完食も禁止されていました。好きなものが食べられない苛立ちから、Bさんはいつも怒っていました。「死んでもいいから好きなものを食べさせろ!」「病院のご飯は味がしない」とよく言っていました。

病院食を残すようになったBさん

あるとき、Bさんはいつも完食していた病院食を残すようになりました。お腹が空いていないのかと声をかけると「もういらないよ。ごちそうさま」といつになく穏やかです。いつもなら夜中にナースコールで空腹を訴えますが、夜中のナースコールもなくなりました。

Bさんが治療に前向きになってくれたのだと嬉しく思い、さっそく主治医に報告しました。すると主治医はBさんの部屋に話をしにいきました。主治医は治療に前向きになったなら嬉しいと話したあと、一つ確認があると言いました。

「Bさん、完食は我慢できていますか?」Bさんは「できてるよ」と、間食もせず減量に励んでいると話しました。

主治医と私はナースステーションに戻ると、主治医から今後はBさんのゴミ箱をこっそりチェックしてほしいと頼まれました。

実は間食していたBさん

次の日、先生から言われたとおりBさんの検温をしながらゴミ箱の中をこっそりチェックしました。すると、ゴミ箱の中には菓子パンの袋がありました。

まさか、と思いBさんに「これってBさんが食べました?」と聞くとBさんはハッとした表情をしました。Bさんの身体に関わることなので正直に教えてくださいと伝えると、Bさんは運動しに行くと嘘を付いてこっそり売店に行っていたことを白状しました。

すぐに主治医に報告すると、やっぱりという反応。Bさんが治療をおこなうためには完食制限は必要ですが、食べてはいけないということが過度なストレスとなりこのような事態になっていたのも事実でした。

Bさんのその後

その後、Bさんのために、再度病気に関する勉強会がおこなわれました。さらに、無理なく減量できるよう、適度な間食も許可されるようになりました。

主治医の鋭い観察眼はさすがだなと思いました。

貧血患者のルート確保

患者さんが急変した際には血管内に点滴の針を刺しておく必要があります。医師に指示を受けた薬液を流せるように、患者さんの血管が元気なうちに点滴できるルートを確保しておく必要があります。高齢者や肥満の方、脱水が進んでいる方などは血管が見つかりづらく、新人看護師の技術では点滴が難しいです。

あるとき、患者さんが急変し、医者を待っている間に看護師複数名で血管を探していました。ですが脱水が進行しており、血管に元気がないため全然針が刺さりませんでした。普段なら刺入しやすい細めの針に変えたりしますが、緊急時は高濃度の薬液を注入することも多いため、針の太さは変えられません。

若手からベテランの看護師まで総動員で両手両足の血管を探しますが、良い血管が見つからず。すると、颯爽と現れた医師が一瞬で血管を見つけてルート確保してくれました。その軽快な手さばきに誰もが見惚れてしまいました。患者さんは点滴によって症状が改善しました。圧倒的な手技に、さすが先生だなと感心させられました。

まとめ

いかがでしたか?

今回は、一般病棟で看護師がさすが先生だなと感心した患者対応エピソードをまとめました。

ピンチを救ってくれる先生や、鋭い観察眼のある先生はさすがだなあと感心しちゃいます。

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執筆 コラム配信 | クリニック開業ナビ

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