女性の社会進出はもちろん、男女の格差の是正も求められている昨今。医療現場においても活躍する女性医師が増えているそうですが、実際にその数はどうなっているのかご存じでしょうか? 今回は、女性医師の数や診療科ごとの男女比などを調べてみました。
女性医師の割合は増加傾向にある
厚生労働省の「平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、2018年12月31日時点での医師数は32万7,210人。このうち、男性は25万5,452人(78.1%)で、女性は7万1,758人(21.9%)です。また、「医療施設に従事する医師数」は31万1,963人。このうち、男性は24万3,667人、女性は6万8,296人と、男女比は「4:1」と、まだまだ大きな差があります。
医師自体は年々増加傾向にあり、女性医師も比例してその数は増えています。2016年度の同調査では女性医師は6万7,493人(全体の21.1%)。当時も女性医師は前回調査より増えていましたが、2018年調査ではさらにそこから6.2%も増加。今後も女性医師の増加が期待できる数字だといえます。
年齢別に見ると従事する医師数のピークが男女で異なる
同調査では、「医療施設に従事する医師数」を年齢別で発表しています。これによると、男性医師は「50~59歳」が最多で5万6,083人。次いで「40~49歳」、「60~69歳」という順になっています。一方、女性医師の場合は「30~39歳」がトップで2万96人。ここだけで女性医師全体のおよそ3分の1を占めています。男性医師の場合は、年齢が上がるほど従事する医師数が増えていますが、女性は「30~39歳」をピークに減少する傾向にあります。これも男女での大きな違いでしょう。
診療科別では男女比に差のない科目もある
「従事する主たる診療科別」で人数を見ると、内科が6万403人で最多。女性医師は、総人数6万8,296人のうち14.9%が内科に勤務しています。また、それぞれの科目の男女比を見ると、実は女性医師の方が多いケースもあります。それが皮膚科。総人数3,805人のうち、女性が54.8%を占めています。
また、男性を超えてはいないものの、男女比の差が少ない科目もいくつかあり、例えば眼科は男性57.6%、女性42.4%とそこまで大きな差ではありません。患者さんが女性の産婦人科(男性55.5%、女性44.5%)や産科(男性60.0%、女性40.0%)なども男女比に差がない科目です。
出産や育児、キャリアアップが課題
女性医師について、「日本医師会男女共同参画委員会」と「日本医師会女性医師支援センター」による興味深い発表があります。これによると、女性医師の「医師としての悩み」で特に多いのが「キャリア形成・キャリアアップ」。例えば、キャリア形成の大事な時期である30代や40代が出産や育児に重なるなど、女性医師はワークライフバランス確保が難しい傾向にあるとのこと。働きやすい環境を作るためにも、さらなる働き方改革が必要なのかもしれません。
また、女性医師から出た意見・悩みには、「職場が男性主導社会である」という指摘もあります。これも女性のキャリア形成に影響を及ぼしている可能性があり、男女共同参画への理解を広めることが求められるのではないでしょうか。そうすることで、女性医師の数はさらに増えるかもしれません。
女性医師の数や診療科ごとの男女比などをご紹介しました。次の「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」は令和3年12月に公表予定です。その際は、女性医師の数はどのように推移しているのか注目したいですね。
参考
厚生労働省「平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
厚生労働省「平成28年(2016年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2021年7月時点の情報を元に作成しています。