スタッフを定着させることの大切さ

社会人としてはじめて勤務したクリニックで出会った非常勤の先生から、クリニックを退社後に「実家のクリニックをリニューアルするため、働いてくれるスタッフを探している」と連絡をいただき、働き始めることに。先生は、知り合いだけを集めて自院を再スタートさせました。

元々あったクリニックをリニューアルしたため、開業時の呼び込みなどはおこなわずとも、一年程度でうまく軌道に乗りました。そこで、患者さんの増加に合わせて、スタッフも増員させようとするも、なかなか定着せず……。

そこで今回は、スタッフが定着するまでの苦労と、離職の大きな原因となっていた福利厚生についてお話します。

目次
  1. スタッフが定着するまで
    1. 新人で溢れているので常に教えている
    2. 慣れたころに辞めてしまう
    3. 即戦力を狙い経験者を雇うも
    4. お手伝い程度に学生のバイトも採用
  2. 定着してくれない原因は?
    1. 入れ替わりの多いクリニックの印象
    2. スタッフと仲良くしようとしない先生
    3. 福利厚生に問題?
  3. まとめ

スタッフが定着するまで

新人で溢れているので常に教えている

スタッフが定着していないクリニックは、働いているスタッフの大半が、新人もしくは研修期間を終えたばかりのスタッフです。クリニックの流れや患者さんの情報をまだ完全に把握していない人が大勢いるため、バタバタと忙しく、常に誰かに何かを教えている状態でした。

まだ融通の効かないスタッフがトラブルを起こした場合、業務の最中でも一旦手を止めて教えないといけません。

これが本当に大変で、ちょうど区切りのいいところならいいのですが、なんとも微妙なタイミングや時間のかかる内容で呼び出されたり、そんなことでと思うような些細なことで手を止めさせられたりすることが続くと、作業をスムーズに進めることができませんでした。

慣れたころに辞めてしまう

一通り指導が終わり、やっと少し任せることができるようになったころに辞めてしまうスタッフが一番多かったです。「身内の介護」「実家に戻るため」などが主な理由でした。本当かどうか怪しい理由ですが、疑っても仕方ないのでそのまま受理して退職してもらっていました。

中には突然来なくなり、連絡すらつかなくなってしまうスタッフも。他のスタッフとも問題なく円満に過ごし、率先して仕事を引き受けていたスタッフが、突然何の連絡もなく来なくなってしまったのです。

一番近いポジションで働いていたスタッフが、「一人暮らしだったため何か事故に巻き込まれたのではないか」と心配し、履歴書の住所まで確認にいくと、なんと嘘の住所を記載していたのか、別の人が住んでいました。

最初から辞めることを見越していたのか、それとも勤務中に引っ越したのかは分かりませんが、周りのスタッフからの評価が高かっただけにとても残念でした。

即戦力を狙い経験者を雇うも

未経験の新人の「これはどういう意味ですか?」「これはどうしたらいいですか?」の質問責めには、正直疲れるところがありました。

医療現場なので専門用語も多く難しい漢字もたくさんでてくるため仕方ないですが、受付として採用したまだ年齢の若い新人に多かったのが「これはなんと読みますか?」だったことはびっくりでした。

しかし、経験のある人を採用したところ、そんな質問は一切ないのはもちろんのこと、一歩先を見て行動してくれるため特に指導することもなく、クリニックの流れを一通り伝えるだけでテキパキと動いてくれました。「教えても、また辞めてしまうのでは……」と指導に疲れていたスタッフからするととてもありがたい存在でした。

ところが、いいことばかりではありませんでした。別の医院で長く勤めていた経験のある人を雇うと、「前のクリニックはこうしていた」「前のクリニックでその方法はアウトだった」などの「前のクリニック」の流れを前面に押し出し、自分のやり易い流れに変えようとする人もいました。

もちろん、その方法がクリニックにとっていい方向に進む方法であれば積極的に取り入れていくのですが、ただの文句になっている人も多かったです。

お手伝い程度に学生のバイトも採用

とにかく人手が足りなかったため、看護学校に通う学生をお手伝い程度のバイトとして雇い、学校終わりの数時間だけ働いてもらったこともありました。

学校で勉強しているためある程度の知識があり飲み込みもはやく「このまま卒業後に就職してくれれば」と、みんなが期待したのですが、そううまくはいきませんでした。就職先はしっかりと大手のクリニックに決め、丁寧な挨拶と共に退職していきました。

患者さんとしてずっと通院していた近所の学生の子をバイトで雇ったことも。先生とも仲良くしていたので最初は良かったのですが、慣れている場所だから気がゆるむのか、サボることが目立ち始めました。

先代の先生と家族ぐるみの付き合いもあったため、こちらも悪くはできず、「いるだけでこちらのストレスが溜まるバイトがいる」という残念な結果になってしまいました。

定着してくれない原因は?

入れ替わりの多いクリニックの印象

離職が続くことから募集を繰り返していたので、定期的にどこかの求人サイトに広告を出している状態でした。

新聞の折り込みチラシの求人広告にも掲載していたので、患者さんから「また求人広告出していたね」「このあいだの人は辞めちゃったの?」「また新しい人増えるの?」と聞かれることもしばしば。

確かに、定期的にスタッフが入れ替わっていると、クリニックになにか問題があるのかと思われて当然かもしれません。

患者さんの治療内容によっては長期的に通われる方も多く、年配の方は特に「いつもの慣れた先生と看護師さんがいい」と希望されます。

そんな患者さんの希望にも応えることができず、「また新しい看護師さんが担当?」と不満を漏らされることも。「きちんと引継ぎはできているのか」「また同じ説明をしないといけないのか」「慣れたと思ったら新しい人になるな」など言われる患者さんもいました。

スタッフと仲良くしようとしない先生

そもそも募集をかけている理由は、患者さんの増加に伴い、従来の人数での業務が難しくなったことでした。

二人採用して一人残ればいいという考えで募集を始めたのですが、採用しては退職の繰り返しに疲れてしまったスタッフたちが「すぐに辞めてしまう原因を考えて対策をとろう」と一致団結しミーティングをおこないました。

院内で、退職者に近いポジションで働いたスタッフや親しくしていたスタッフが「本当の退職理由」を聞き出せるのであれば聞き出し、次の採用の際の参考にしたり、院内での指導方法や環境作りに役立てることができるのではと、それぞれ案を出し合いながら真剣に話し合いました。

しかし、そんななか突然、院長先生が投げやりな言葉を発したのです。

「僕はスタッフと仲良くなくても、スタッフ同士が仲良くやっていてくれればそれでいい」という内容でした。院長先生のクリニックなのに、なんと先生はスタッフに無関心だったのです。

言われてみれば、既存のスタッフとは仲がいいものの、新しく採用したスタッフたちに先生から話しかけたり、指導したりしている姿を見かけたことがありませんでした。新しいスタッフに関心のない先生が採用して、その後の指導も丸投げでは仲良くなれるはずがありません。

福利厚生に問題?

家族で経営する小さめのクリニックだったので、福利厚生はそれなりでした。休みは週二・五日、有給休暇、大型連休、年一回の昇給・年二回の賞与、社員旅行は毎年海外に連れて行ってくれます。

有給も取りにくい雰囲気はなく取りたいタイミングで取れ、他のスタッフと希望が被ってしまった場合のみ変更のお願いをされる程度でした。

ただ、女性の多い職場なのに、育休・産休がありませんでした。結婚を考えている女性にとっては必ずチェックしたいポイントなので、退職の原因のひとつだったかもしれません。

給与の面でも、昇給額・賞与額がインセンティブに近いシステムでした。クリニックに貢献した度合いにより給与に反映され、クリニックのためになるような提案を先生に提出し、採用されれば昇給・賞与に反映されるというものでした。

しかし、ただ頑張り次第で給与に反映されるのでいいのではと思うのですが、この「クリニックに貢献した度合い」というものに「先生のお気に入りかどうか」も含まれるため、実質先生のお気に入りにさえなれば、簡単に「貢献した」ことになるということでした。

ここが少しやっかいでどれだけ真面目に働いていて、ミスも少なく、患者さんからの支持が厚くても、「先生のお気に入り」から外れることがありました。クリニックのためというよりは、先生のためになることをしなければいけない雰囲気がありました。

まとめ

最終的な原因はお給料のシステムにありそうなのですが、うまくやればお給料に反映されるため誰も文句は言わず受け入れていました。

既存のスタッフにはやり易いシステムですが、新しく採用された人からするとかなりやりづらかったかも知れません。今後は、純粋に「クリニックへの貢献度」で判断されることを願います。

創業から17年、現在70社ほどのクライアントのパートナーとして、人事労務のサポート!

特徴

1.クライアントファースト 東京人事労務ファクトリーは、クライアントのご要望を実現すべく、常に最善の選択を考え続けます。 2.豊富な実戦経験に基づくトラブル対応 当事務所では、特定社労士の資格を持ち、豊富な実戦経験のなかで磨き抜いた高度な法律知識と、決して諦めずに問題解決を目指す執念を持ち、クライアントと二人三脚でトラブルに立ち向かいます。 もちろん、労働契約および諸規程の整備などを通じ、日ごろからのトラブルの予防、リスクの軽減を図ります。 3.フットワークの良い対応 当事務所では、どんなに些細なことでもご質問があれば速やかに対応し、トラブル発生の際やお打ち合わせが必要な時にはすぐに駆けつけます。 電話やメール、チャットやFAXなどクライアントのご都合の良い連絡手段で気軽にご連絡をいただいています。 4.デジタルツールの導入による働き方改革の推進 ここ数年、HRテクノロジーといわれる人事関連システムが技術的・機能的に著しく進歩しており、これまで手間や時間がかかっていたタスクも効率よく処理できるようになりました。 当事務所へ現状の課題をお聞かせいただければ、機能やコストを考慮して適切なシステムを選定し、提案させていただきます。 導入後のサポートも当事務所で責任をもって対応させていただきますので、ご安心ください。 5.グローバル企業の日本進出、グローバル人材の採用支援 当事務所では外国に本社を有し、日本に進出するグローバル企業の労務管理に実績・ノウハウを積んでいます。 外国の文化的背景を理解するスタッフが対応にあたっており、本国への報告の際などに英語によるドキュメントの作成を行うこともあります。 また、日本の企業がグローバル人材を雇用する際の就労ビザの取得支援や社会保険の手続きなども行っています。

対応業務

給与計算 住民税関連手続き 人事労務相談 社会保険 手続き代行 就業規則策定 給与規定策定・見直し 助成金 人事制度の策定 退職金 メンタルヘルス 年金相談 創業サポート M&A

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、
診療や経営に専念できる環境づくり、労務管理のプロとして経営を徹底サポート

特徴

わたしたちはドクターの皆様の声に耳を傾け、人に関する法律のスペシャリストとして 「職員の労働トラブルに関するアドバイス」、「院内ルール作成」等を得意とする社会保険労務士事務所です。 人事労務に関する相談サポートにより、診療や経営に専念して頂く事が可能です。 診療所特有の人事労務相談は専門家でなければ適切なアドバイスはできません。弊社はこれまでの実績により的確なアドバイスを行い、労務管理をサポートします。

対応業務

住民税関連手続き 人事労務相談 社会保険 手続き代行 就業規則策定 給与規定策定・見直し 助成金 人事制度の策定 退職金 メンタルヘルス 個別労働関係紛争の解決 年金相談 創業サポート M&A

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、

奥中ゆう

執筆 Webライター | 奥中ゆう

医療事務として6年間勤務の後、関心の高かった韓国へ移住。前職の経験を生かし医療事務としての在り方や、体験談を中心に執筆しています。


他の関連記事はこちら