私は総合病院の外科病棟で働く看護師です。コロナの大流行によって医療機関では、大きな影響を受けています。今回は、コロナ禍での病院の対応について、実際の私の体験を通して紹介していきます。
コロナウイルス大流行
2019年12月、中国の武漢でコロナウイルス感染が始まりました。この当時はまだ、自分たちとは関係ない話だと思っていた人も多かったと思います。しかし、コロナウイルス感染は、中国だけでなく、すぐさま世界中で広まり、たくさんの人が亡くなりました。今では、マスク着用が当たり前、飲食店に入るときは検温とアルコール消毒の徹底、食事中は会話をしないことが推奨されるなど……。このような事態になることは、誰も予測していなかったことだと思います。たまに昔の写真を見ると、たくさんの人がマスクをせずに映っており、懐かしい感じがします。最初は異様だった全員がマスクを着用した町中の光景ですが、今ではマスクをしていない方が違和感を覚えるといった具合になりました。
感染対策
感染拡大を機に、病院でも感染対策が徹底されようになりました。医療スタッフは患者さんと密に接することになるため、感染のリスクが非常に高いです。そのため、常時マスクとフェイスシールド着用して、一人ひとりにアルコール消毒ボトルが渡され、今までよりも手指衛生を徹底するようになりました。家族の面会も全面禁止となり、インフォームドコンセントや入退院時にも家族は代表者1人のみ来ていただき、ディルームにて待機していただく形になりました。家族と会えないため、患者さん自身のストレスがたまり、精神的にも不安定になる人が増加しています。
家族が面会可能になるのは、一部の重症患者さんのみになります。その際も必要最低限の家族が短時間のみの面会になるため、説明しても聞き入れてもらえず、トラブルになることも多くありました。
マスクをしているだけでも暑くて苦しいのにさらにフェイスシールドをすることで息苦しさは倍増します。コロナウイルス疑いや濃厚接触者に当たる患者さんに対しては、この他にも袖付きエプロンに帽子、マスクも普段のものよりさらに密着性の高いマスクになります。
今年の夏は非常に暑く、閉め切った病室は30℃近くあり、その上に防護具を着用することで本当に汗だくになります。密閉性が高い防護具の中はサウナ状態です。そのような中で患者さんに対する処置や介助をすることになるのでかなりきついです。患者さん自身も隔離されるため、ストレスがたまり、イライラしていることが多く、お互いに辛い状況です。このようにコロナウイルス感染拡大によって病院では、さまざまな変化がありました。
濃厚接触者
コロナウイルスに感染しなくても濃厚接触者であれば、例えPCR検査が陰性であったとしても、医療従事者も出勤停止となってしまいます。病院では、治療により体力が落ちている患者さんもいるため、コロナウイルスに感染すると命に関わるためです。
ただでさえ医療スタッフの人員は不足しているのにも関わらず、長期間の出勤停止者が出たとなると、残されたスタッフの負担は想像以上のものとなります。また、濃厚接触者扱いをされるスタッフが数名いる場合もありますが、そうなったときは本当に大変です。
医療従事者に限らず、どの職種でも多かれ少なかれコロナウイルス感染による影響を受けていると思います。1日でも早く感染が収束し、以前の状況に戻ればいいな、と感じています。
理想の医療現場
感染が少しでも早く収束して、コロナ感染以前の状況を取り戻すことが理想です。しかし、これはいつになるのか今の段階ではわからないため、今の状況の中で頑張っていくことが必要だと思います。
現在の医療現場では、感染対策のため、以前よりもさまざまなことに時間や手間がかかり、患者も医療スタッフもストレスがたまります。患者さんに対しては、今まで以上に配慮が必要であると感じます。
認知症などで今の状況が理解できない人は、なぜ家族が面会に来てくれないのかわからず、さらに不安は増していきます。そのため、患者さんに対して適宜説明を繰り返したり、時間があるときには、患者さんのベッドサイドに行き、コミュニケーションを取ったりすることなどが重要であると考えます。
ただでさえ、入院したことで、患者さんには環境の変化や集団生活、治療の影響にて身体的にも精神的にも負担がかかっています。その上、今の状況では家族と面会できず、感染拡大予防のため、外出泊もできないので入院中のストレスや不安は倍増しているはず。そのような患者さんのストレスを少しでも軽減できるように関わっていくことが、医療スタッフとしては大切な役割であると考えます。
コロナ禍で患者さんと関わる際のポイントを以下にまとめます。
- 忙しい中でも患者さんが話しやすい雰囲気を作る
- 患者さんを尊重し、患者さん目線で考えていく
- 可能であれば、テレビ電話などを使用して、家族との繋がりを持てるように工夫する
大変な状況であり、お互いに我慢を強いられ、ストレスがたまる状況ですが、この危機を乗り越えれば今後の糧にもなると思います。
今回の記事がコロナ禍での患者への対応について考えるきっかけとなり、今後のより良い医療に繋がればと思います。
特徴
その他特徴
システム提携
対応端末
提供形態
種別
診療科目
特徴
対応端末
システム提携
その他特徴
提供形態
種別
診療科目
この記事は、2021年8月時点の情報を元に作成しています。
執筆 看護師 | risa
看護師歴9年目で現在、総合病院勤務。日々、慌ただしく忙しい中でも、看護師としてやりがいを持って医療にたずさわっています。内科や外科での実際の経験を通して、皆さんに役立つ情報を提供していければと思います。
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