私は、総合病院の外科病棟で働く看護師です。患者さんの中には、病院のやっていない休日は、具合が悪くても我慢をして休日明けに受診する人も多いです。今回は、休み明けの忙しさについて、実際の周りの医療スタッフの声や私の体験を通して以紹介していきます。今回の記事が、より良い病院運営に繋がればと思います。
多忙な医療現場
最近は、ニュースでも取り上げられることが多い医療現場ですが、医療現場では、常に人手不足で忙しい状況であることが多いです。高齢化による患者数の増加に比べて、医療従事者の数は少なく、明らかに医療従事者と患者のバランスが取れていない状況です。さらに近年では、新型コロナウイルスの流行によって、普段は一般の患者さんの受け入れをしていた病院がコロナウイルス感染患者の受け入れを始め、一般の患者さんを診察することができなくなっています。
そのため、一般の患者さんは、コロナウイルス感染患者の受け入れをしていない病院に流れ、ただでさえ患者数が多い中で運営している病院が、さらに患者数の増加により多忙になっているというわけです。コロナウイルスが流行し、患者さんが増加していますが、医療スタッフの数は増えることはなく、逆にコロナウイルス感染のリスクなどのために退職した医療スタッフもいます。自分がウイルスの媒介となり、家族に移してしまうリスクがあったり、医療従事者だから子どもを預かってくれない保育園があったりすると聞いたこともあります。
さまざまな理由から医療スタッフの数は、今まで以上に減り、医療は逼迫している状況です。このようにコロナウイルス流行前から忙しかった医療現場は、コロナウイルス流行によってさらに多忙になっています。私の働く病棟でも、患者数が増加したことで1人あたりの業務量も増加し、普段以上に過酷な状況になっております。
毎日、忙しい医療現場ですが、特に忙しくなるとされているのは、休日明けです。なぜ休日明けが忙しくなるのか、その理由を次の章で解説していきます。
休み明けの忙しさ
休日明け、つまり月曜日の病院は、混雑していることが多いです。私は病棟勤務のため、外来で直接患者さんと関わっているわけではありませんが、病棟の窓から駐車場を見下ろすと、車があふれ、駐車できずに駐車場の空きを待っている車がぐるぐると駐車場を回っているような状況です。検査などで病棟患者さんを移送するときに、外来の前を通った際にも、週明けである月曜日は、患者さんがぎっしりといて混雑しています。椅子に座れずに立って順番待ちしている外来患者さんもいる状況です。
この理由としては、休日は外来が休みで救急外来しか稼働していないため、極力受診を避け、週明けまで我慢して外来受診する患者さんが多いためです。そのため、外来を受診した際には病態も悪化しており、そのまま入院が必要になるケースもあります。
そうなると、病棟に患者さんが即日入院となるため、入院患者を受け入れる病棟もバタバタとします。もともと予定されていた入院患者や手術の他にも、さらに入院患者を受け持つことになるため、業務内容がさらに多くなります。
患者さん自身も入院する準備をしていないため、慌ただしくなりますが、私たち医療者側も入院の受け入れ準備をしていなかったため、バタバタします。私の病棟は外科病棟のため、即日入院となり、そのまま手術になるケースが多いです。そうなると、問診や同意書の回収などの事務的な業務の他にも、手術のために各部署に連絡して、手術の準備をしなければいけなくなります。手術出しをして手術後は、迎えに行き、術後の急性期の看護をしなくてはならなくなります。
患者さんは、いつ状態が悪くなるのかわかりません。急なことには慣れている医療スタッフですが、やはりバタバタするのは苦手だと言うスタッフがほとんどです。患者さんには、どうか、具合が悪くても限界まで我慢してから受診するのではなく、体の不調を感じた時点ですぐに受診してほしいものです。
月曜日の病院が忙しくなる原因としては、この他にも、休日にできなかった検査などが入ったりするためです。また、病棟は土日も関係なく稼働していますが、外来は基本的には土日は休みで、検査科も急ぎのものしか受け付けなくなります。そのため、病棟側からの外来や検査科への確認事は、休日明けに確認すべきことも多いためです。
これらのことから、休日明けの月曜日は、外来や病棟関係なく、病院全体が忙しくなるのです。
理想の医療現場
私の考える理想の医療現場は、医療スタッフが余裕を持って仕事をできる環境が整っている現場です。現在の状況を見ると、患者数は増加し続けているため、患者さんを減らすことは不可能ですが、医療スタッフが少ない人数でも多くの患者さんを受け入れ、医療を提供できるようにするためには、何が必要なのか考え、今の状況に合った対策を考えていくことが必要だと思います。
例えば、介護ロボットや自動システムなどを利用して少しでも医療従事者の負担を減らしたり、入院患者の在院日数を短縮させたりして、できる限り在宅での医療を促すなどです。このためには、資金が必要ですし、家族の協力も必要であると思います。そのため、国が支援してくれるような制度が充実すればいいなと思います。
患者さん自身が適切なタイミングで医療機関を受診することでも、病態の重症化を防止し、入院患者を少しでも減らすことに繋がります。
救急車をタクシー代わりのように使用して、本当に救急搬送が必要な重症患者さんが医療を受けられなくなり、重症化してしまうケースもあるため、こういった問題が少しでもなくなればいいなと心から思います。
多忙な医療現場において、適切な医療を提供するために必要なことは何なのか、以下にまとめます。
- デジタル化を進め、少ない人員でも医療を提供できる環境を整える
- スタッフの負担が重くなっているため、賃金の値上げをして離職率を減らす
- 高度なアプリなどを使用し、自宅でも質の高い医療サービスが受けられるようなシステムを作る
- 結婚や出産などで退職した医療スタッフが復帰しやすいような環境を整える
今回の記事が多忙な医療現場の対策について考えるきっかけとなり、今後のより良い病院運営に繋がればと思います。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2021年9月時点の情報を元に作成しています。
執筆 看護師 | risa
看護師歴9年目で現在、総合病院勤務。日々、慌ただしく忙しい中でも、看護師としてやりがいを持って医療にたずさわっています。内科や外科での実際の経験を通して、皆さんに役立つ情報を提供していければと思います。
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