電子カルテには、どの診療科でも使えるものもあれば、特定の診療科に特化したものもあります。
なかでも「眼科向け電子カルテ」は、他の科で使用するものと比べても特殊な機能が必要になってきます。
今回はそんな眼科向け電子カルテについて、メーカーごとの機能や特徴、選ぶ際のポイントなどについてご紹介します。
眼科向け電子カルテ、2つのタイプについて
眼科向けの電子カルテには、大きく分けて2つのタイプがあります。それぞれ、「汎用型」と「専用型」と呼ばれます。
汎用型電子カルテついて
「汎用型電子カルテ」とは、複数の診療科で利用することを想定して作られたものを指します。
あらゆる診療科のどんな項目にもある程度対応できますが、反面、眼科などの専門科に特化しているわけではないため、適宜カスタマイズが必要になってきます。
専用型電子カルテについて
対して、「専用型電子カルテ」は、特定の診療科でのみ使用される目的で作られたものを指します。
汎用型のような自由度はありませんが、その分、例えば眼科なら眼科に特化した項目やメニューがはじめから取り揃えられているのが特徴です。
汎用型、専用型のどちらを使うかは医師の好みによるところも大きいですが、そのほか、診療内容やサポートの手厚さなどでも検討してみるとよいでしょう。
複数の候補から自院にぴったりのものを選ぶコツは?
たくさんの候補があると、選ぶのが難しくてかえって導入しづらいと思う人もいるかもしれません。その場合、まずは自院が電子カルテに求めること=どんな機能があればうれしいか?を考えていると良いでしょう。
ここでは、そのヒントとなる項目をいくつかご紹介します。
入力補助機能の有無
まずはカルテの入力を効率化する補助機能の充実度をチェック。たとえば、検査項目のリストから「緑内障検査」ボタンをクリックするだけで必要な検査項目がすべて入力されたり、「処方」の項目で傷病名をクリックすると、必要な処方が一気にカルテに入力されたりする機能などがあるシステムを選ぶと、入力の手間を省けます。
検査機器・検査に対応しているか
電子カルテを各種検査機器や受付・会計周りの機器と連携できるかどうかで、業務効率のよさは大きく違ってきます。
他科に比べて特殊な検査が多い眼科の場合、希望する検査機器・検査法がある際には、検査結果をきちんと取り込めるか、わかりやすく表示できるかなども確認しておくといいでしょう。
シェーマ(絵図)機能が充実しているか
現在の電子カルテの多くはシェーマに対応していますが、テンプレートの内容や数はシステムによって様々です。
眼科専用型のカルテでも、種類によっては検査テンプレートや記録テンプレートの数にも違いがありますし、汎用型にも、シェーマの追加登録が可能なものもあります。
ほかにも、書き込む際の文字のサイズが調節できるかどうかなど、実際に使用する際の使い勝手はしっかりと確認しましょう。
操作性
毎日使うものなので、ストレスなく感覚的に使いたいのが電子カルテ。その点で、操作性が自分好みかどうかは重要です。
「使いやすさ」を押し出しているカルテであっても、実際に使いやすいかどうかは各ユーザーのITスキルや感覚にもよりますので、気になるものは実際に使ってみることをおすすめします。
デザイン
使い勝手はもちろん、やはり好きな見た目やデザインであることも重要です。
「最初はあまり好きじゃなかったけど使っているうちに慣れてきた」というパターンも無きにしも非ずですが、直感的に印象がよくなかったものは、慣れるまでにも時間がかかるかもしれません。
サポート体制
電子カルテ操作中に不明点があるとき、メーカーにすぐに相談できたら安心です。
システム障害が発生した場合を考えて導入に踏み切れない人もいるかもしれませんが、サポート体制が整っているメーカーなら安心できるのではないでしょうか?
眼科クリニック向け電子カルテにはどんな製品がある?
眼科向け電子カルテを選ぶ際には、眼科特有のシステムとの連携について考えることが大切です。眼科クリニックでは、眼底カメラやスリットランプなどの検査画像、眼圧計やレフケラなどで計測したデータを管理する必要があるので、それらをスムーズに取り込めるかどうかで作業効率に違いが出るためです。
また、シェーマを頻繁に描くことも眼科の診療における特徴のひとつなので、グラデーションを付けたり色を変えたりといった機能も備わっているといいでしょう。
1. 株式会社クリプラ「CLIPLA Eye(クリプラアイ)」
眼科専用に作られているため、眼科に特化した項目がそろっています。流れが決まっている診療に関しては、「花粉症セット」「緑内障初診セット」「結膜炎セット」などのセットとして登録しておくと、診察時はボタンをクリックするだけで定番の検査内容や薬剤名が一気に入力されます。また、「薬剤のみのセット」「処置のみのセット」など、セクション単位で登録することも可能。
コンタクトレンズの処方箋作成に関しては、あらかじめ登録したレンズリストから選ぶだけなので極めて楽です。また、暗室ではカルテの色調が反転する「ダークモード」を使えば、検査や診療の妨げになることなく入力できます。
2. 株式会社トプコン「IMAGEnet eカルテ v3クラウド」
眼科診療データを安心・安全に運用できるクラウド型電子カルテです。眼科用検査・診断・治療機器や眼科用ネットワークシステムなどを、長年にわたって作り続けてきた企業のノウハウを最大限活かして作られているので、運用しやすく視認性も非常に高いのが特徴です。
ウイルス対策や暗号化通信なども万全で、セキュリティ面においても安心といえるでしょう。
株式会社トプコン「IMAGEnet eカルテ v3クラウド」
3. 株式会社ビーライン「Medius CL」
眼科診療のワークフローに沿って構築された電子カルテシステムです。わかりやすい設計で使いやすさ抜群。受付から会計までを一括管理できるので、業務効率化に役立ちます。
診察時の画面配置は好みによってカスタマイズ可能。処方アシスト昨日やチャット機能など、機能面も充実しています。
4. 株式会社NIDEK「診療所向け電子カルテシステムNAVIS-CL」
眼科機器をはじめ、主に目に関する事業をおこなっている株式会社ニデックの電子カルテも、眼科クリニックにはおすすめです。
2号紙スタイルを採用しているため、筆圧感知タブレットを使って、紙カルテに記入する感覚でシェーマを記載できます。コスト漏れや二重請求の防止機能、日医標準レセプトソフトを採用したレセプト機能などの充実した仕様もうれしいポイントです。
株式会社NIDEK「診療所向け電子カルテシステムNAVIS-CL」
5. 株式会社ケイメイ「i-nect System」
眼科クリニックの現場で働くスタッフによって作られた電子カルテです。特徴は、眼科検査データと電子カルテを集約して、検査機器から検査データを転送して一元管理してくれること。検査データは見えやすく、所見の入力は簡単です。
既に電子カルテを導入しているクリニックのために、「電子カルテ眼科拡張パック」なども用意しています。
6. 有限会社ファーストメディカル「アイメッツ eyemet's」
電子カルテ機能とファイリング機能が一体となった、眼科専用のトータルシステムです。
ベースとなっている電子カルテ機能およいファイリング機能に、必要に応じて機能を追加することも可能。「待ち順表示システム」や「手術管理システム」などのサブシステムも用意されています。
有限会社ファーストメディカル「アイメッツ eyemet's」
複数の候補から自院にぴったりのものを選ぶコツは?
たくさんの候補があると、選ぶのが難しくてかえって導入しづらいと思う人もいるかもしれません。その場合、まずは自院が電子カルテに求めること=どんな機能があればうれしいか? を書き出してみてください。ほしい機能をできるだけ多く備えた電子カルテはどのカルテなのかがみえてくると、俄然、導入意欲も高まってくるはずですよ。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
特徴
提供形態
対象規模
オプション機能
診療科目
特徴
オプション機能
対象規模
提供形態
診療科目
この記事は、2021年12月時点の情報を元に作成しています。