電子カルテは種類が多すぎて選ぶのが大変だと感じている人は多いかもしれません。しかし、電子カルテはそれぞれ個別の特徴があるので、「自院に合った電子カルテはどれだろう?」という観点で選ぶと、すぐに少数の候補に絞ることができるでしょう。候補を絞る際のひとつのポイントが、診療科に合っているかどうかを確認すること。今回はそのなかから、精神科に向いている電子カルテを紹介します。
【専門カルテ】精神科に向いている電子カルテの特徴とは?
電子カルテが精神科に向いているかどうかの第一の見極めポイントは、"精神科特有の帳票や心理検査項目に対応しているかどうか"ということです。
まず、精神科の問診において大切なのは、患者の精神状態と深く向き合うためにタイピングに気を取られ過ぎないこと。パソコンが得意であれば、会話を続けながらも電子カルテを扱うことができるかもしれませんが、そうでなければ、手書き入力ができるタブレットモニターなどを活用するのもよい方法です。また、紙に書いた初診カルテとカウンセリング内容を電子カルテに取り込み、電子カルテを活用するのは再診からにするという方法もあります。
それではさっそく、精神科向けの電子カルテを紹介していきます。
株式会社レスコ「Warokuクリニックカルテ」
同じく株式会社レスコが提供している「Warokuクリニックカルテ」は、精神科に特化したクラウド型の電子カルテです。クラウド型のため、ネット環境とパソコンさえあればすぐに使えるこちらの電子カルテは、Alpha同様、患者の治療歴や生活歴を時系列で表示してくれるほか、当日の診療状況も一覧で表示してくれます。Alphaとの連携やオンライン診療にも対応。
【汎用クラウドカルテ編】メンタルクリニックなら汎用的なカルテでも対応可能
また、汎用性の高いクラウド型電子カルテであれば、自院の診療に合わせて使いこなすことが可能です。「クラウド型電子カルテ」とは、クラウド上に電子カルテのデータを保存して管理する電子カルテシステムのこと。初期費用が少なくて済むうえ、サーバー不要、保守管理のための人員も不要で、小規模なクリニックでも導入しやすいのが特徴です。
株式会社Donuts「CLIUS」
目線の動きまで考えて設計された画面で、見やすいうえに直感的に操作できるところが魅力。自動学習機能によって、それぞれの医師にとって使い勝手がいいように改善されていくという点も高く評価されています。iPhoneで撮影した画像をカルテに取り込むことも容易で、使いやすさにすぐれています。
株式会社メドレー「CLINICSカルテ」
レセプトソフト「ORCA」内包でレセプトの別途操作が不要の、クラウド型電子カルテシステムです。オプションでオンライン診療システム「CLINICSオンライン診療」を追加すれば、電子カルテ上で患者のアプリと連携させることができます。
エムスリーデジカル株式会社「エムスリーデジカル」
約17,000人のカルテデータを分析して開発されたAI自動学習機能搭載で、各クリニックでよくおこなう処置行為などを自動で学習します。そのため、使うほどにカルテ作成もオーダー入力も楽になります。
PHC株式会社「きりんカルテ」
利用料0円のクラウド型電子カルテ。予約機能、在宅機能、自由診療機能などの充実した機能を無料で使うことができますが、日レセクラウド利用料+保守・サポート費用として、初期費用と月額費用は発生します。
株式会社クリプラ「CLIPLA」
よく使う診療行為、検査、薬剤、傷病名、シェーマなどをあらかじめセットにして登録できるほか、セクション単位で登録も可能。最小限のキーボード入力でカルテを作成できます。
【汎用オンプレミスカルテ】クラウドではなくオンプレミスが良いという方向け
「オンプレミス型電子カルテ」は、自院にサーバーコンピューターを設置してデータの保存・管理をおこないます。クラウド型電子カルテと比べると初期費用が高くなりますが、自院内でデータを管理できることから、セキュリティ面では安心です。
富士フィルムヘルスケアシステムズ株式会社「Hi-SEED W3 EX」
登録した診療行為と処置内容に基づいて、レセプト上で必要になる病名候補をリストで表示。学習機能の備えており、頻度が高い病名は常にリスト上位に表示されます。
参照:富士フィルムヘルスケアシステムズ株式会社「Hi-SEED W3 EX」
PHCホールディングス株式会社「Medicom-HRkV」
よく使う所見や処方は、ショートカット欄にセット登録しておけばワンクリックで入力可能。院内ネットワークにつなげれば、依頼や結果をデータでやりとりすることができます。
参照:PHCホールディングス株式会社「Medicom-HRkV」
株式会社ラボテック「SUPER CLINIC」
カルテ2号用紙のレイアウトを踏襲して、左側に過去カルテ、右側に当日のカルテを表示させています。マウスのスクロールおよびクリック、タッチペンのタッチ&スライスなど、基本的な操作だけで入力することができます。
キャノンメディカルシステムズ株式会社「TOSMEC Aventy3.0」
医事会計一体型の電子カルテです。ペンを使って紙カルテと同じ感覚で入力することができるので、キーボード操作が苦手でも安心。また、患者が持参した紹介状などの各種書類もリストで一括管理できるので便利です。
参照:キャノンメディカルシステムズ株式会社「TOSMEC Aventy3.0」
自院が提供する医療と相性のいい電子カルテを選ぼう
今回は、精神科、メンタルクリニック向け電子カルテメーカーに絞って紹介しましたが、その他の診療科の場合でも、基本となるチョイスのポイントは同じ。もっとも大切なのは、「自院が提供する医療と相性がいい電子カルテであるかどうか」を見極めることなので、まずは「どんな医療を提供したいのか」「そのためにどんな機能がほしいのか」についてしっかりと目を向けてみてくださいね。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
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この記事は、2021年12月時点の情報を元に作成しています。