電子カルテの普及率【2026年最新】診療所・病院の推移と国の2030年目標、シェアの読み方

電子カルテの普及率は、厚生労働省の「医療施設調査」(2023年10月時点)で一般診療所55.0%、一般病院65.6%です。2026年6月に社会保険診療報酬支払基金が行ったアンケートでは、回答した医科診療所の72.6%が電子カルテを導入済みと答えています。

この記事では、公的統計だけを使って、電子カルテの普及率の推移、調査によって数字が違う理由、導入しない理由、国が掲げる2030年の目標を整理します。あわせて、検索でよく見かける電子カルテの「シェア」が何で測られた数字なのかも説明します。

目次
  1. 電子カルテの普及率は一般診療所55.0%・一般病院65.6%(2023年医療施設調査)
    1. 一般診療所の電子カルテ普及率の内訳:「一部で電子化」が11.7%
  2. 2026年6月の調査では医科診療所の電子カルテ普及率は72.6%
    1. 電子カルテの普及率が調査によって違う理由
  3. 電子カルテが普及しない理由は費用・ITへの不慣れ・使う年数の見込み
  4. 国の電子カルテ普及目標は2030年末までに普及率約100%
    1. 標準型電子カルテ(導入版)は紙カルテと併用する医科診療所向け
  5. 電子カルテのシェアは公的統計では分からない
    1. 公的資料で分かるのは電子カルテの型別の構図
  6. よくある質問
    1. 電子カルテの普及率の最新の数字はどれですか
    2. 次の医療施設調査はいつですか
    3. 電子カルテのメーカー別シェアはどこで確認できますか
  7. まとめ
  8. 参考

電子カルテの普及率は一般診療所55.0%・一般病院65.6%(2023年医療施設調査)

医療施設調査は、全国のすべての病院・診療所を対象に3年ごとに行われる国の統計です。最新は2023年(令和5年)10月1日時点の調査で、電子カルテの普及率は次のように推移しています。

調査年一般病院400床以上200〜399床200床未満一般診療所
2008年(平成20年)14.2%38.8%22.7%8.9%14.7%
2011年(平成23年)21.9%57.3%33.4%14.4%21.2%
2014年(平成26年)34.2%77.5%50.9%24.4%35.0%
2017年(平成29年)46.7%85.4%64.9%37.0%41.6%
2020年(令和2年)57.2%91.2%74.8%48.8%49.9%
2023年(令和5年)65.6%93.7%79.2%59.0%55.0%
一般病院は精神科病床のみ・結核病床のみの病院を除く。一般診療所は歯科医業のみの診療所を除く。2011年は宮城県の一部と福島県を除く。出典:厚生労働省「電子カルテの普及について」(2025年12月10日)(医療施設調査)

15年で診療所は14.7%から55.0%に、200床未満の病院は8.9%から59.0%に伸びました。それでも、400床以上の病院がほぼ行き渡っているのに比べると、診療所と中小病院はおよそ4割が未導入のままです。2023年時点の件数でいえば、一般診療所104,894施設のうち電子カルテを使っているのは57,662施設です。

一般診療所の電子カルテ普及率の内訳:「一部で電子化」が11.7%

55.0%には、院内の一部だけで電子化している診療所も含まれています。医療施設調査の表から内訳を出すと次のとおりです。

診療録の電子化の状況(2023年10月)施設数割合
医療機関全体で電子化している45,37343.3%
医療機関内の一部で電子化している12,28911.7%
今後電子化する予定がある4,4214.2%
電子化する予定なし42,81140.8%
合計104,894100%
割合は施設数から算出。出典:令和5年医療施設調査 全国編 第161表「一般診療所数,診療録電子化(電子カルテ)の状況・病床の有無・開設者別」(e-Stat)

未導入の診療所の大半は「予定なし」と答えており、「予定あり」は4.2%にとどまります。普及率が自然に伸びるのを待つだけでは、残りの4割は埋まらないことがこの表から読み取れます。

2026年6月の調査では医科診療所の電子カルテ普及率は72.6%

医療施設調査の次回は2026年10月1日時点で、結果が出るのはその後です。それまでの最新の数字として、厚生労働省は社会保険診療報酬支払基金のアンケート(2026年6月5日〜10日)の結果を公表しています。

施設の種類導入済み未導入うち導入予定なし回答施設数
医科診療所72.6%27.4%19.3%71,616
病院(20〜199床)73.5%26.5%10.2%4,539
病院(200〜399床)86.0%14.0%5.3%1,303
病院(400床以上)94.4%5.6%0.9%555
割合は回答施設数に対するもの。出典:厚生労働省「電子カルテ普及計画(案)」(2026年9月9日)(社会保険診療報酬支払基金アンケートを厚生労働省が集計)

医科診療所では回答しなかった施設が3,962あり、これを未導入に数えると普及率は68.8%になります。いずれにしても、2023年の55.0%から3年足らずで10ポイント以上高い水準です。

電子カルテの普及率が調査によって違う理由

「55%」と「72.6%」は、どちらも正しい数字です。違いは、いつ・誰が・どの施設に聞いたかにあります。

医療施設調査支払基金アンケート
実施主体厚生労働省(統計法に基づく基幹統計)社会保険診療報酬支払基金(集計は厚生労働省)
時点2023年10月1日2026年6月5日〜10日
対象全国の一般診療所104,894施設回答した医科診療所71,616施設
頻度3年ごと公表資料に記載なし
医科診療所の普及率55.0%72.6%(未回答を未導入とすると68.8%)

普及率の数字を引用するときは、調査名と時点を一緒に書くのが確実です。全施設を対象にした国の統計としては55.0%が最新で、直近の動きを示す数字としては72.6%が最新、という使い分けになります。

電子カルテが普及しない理由は費用・ITへの不慣れ・使う年数の見込み

医療施設調査は導入しない理由を聞いていません。理由を示した資料として、厚生労働省は日本医師会の調査を引用しています。紙カルテを使っている全国の診療所5,466件が回答した調査(2025年4月18日〜6月1日)で、54.2%が電子カルテの導入は「不可能」と答えました。

導入できない理由(3つまで選択)で多かったのは、次の3つです。

  • ITに不慣れで、電子カルテの操作に時間がかかる
  • 導入費用が高額
  • 導入しても数年しか使う見込みがない

「導入不可能」と答える割合は、回答者の年齢が高いほど高くなっています。数年後に閉院や承継を考えている院長にとって、初期費用と操作の習得は割に合わない、という判断です。国が後述の目標で「廉価なクラウド型」への移行を打ち出しているのは、この費用と手間の壁を下げるためです。

未導入のまま診療を続けた場合に何が起きるかは、「電子カルテを入れていないクリニックが今すぐ動くべき3つの理由」で扱っています。

国の電子カルテ普及目標は2030年末までに普及率約100%

国の目標は、2023年6月に医療DX推進本部が決めた「医療DXの推進に関する工程表」で示され、その後の法改正と計画で具体的になってきました。

時期決まったこと
2023年6月医療DXの推進に関する工程表で「遅くとも2030年には概ねすべての医療機関において必要な患者の医療情報を共有するための電子カルテの導入を目指す」とした
2025年12月医療法等の一部を改正する法律(令和7年法律第87号)が公布。2030年末までに電子カルテの普及率約100%を達成するよう、医療機関業務の電子化を実現することが盛り込まれた
2026年3月医科診療所向け電子カルテ及びレセプトコンピュータの標準仕様(基本要件)第1.0版を策定
2026年9月厚生労働省の推進本部に「電子カルテ普及計画(案)」が示された

電子カルテ普及計画(案)は、目標を次のように置いています。

  • 2028年度までに、電子カルテ未導入の200床以上の病院(療養病床などが中心の病院を除く)の普及率100%
  • 2030年までに、電子カルテ普及率約100%

方針の中心は「クラウドネイティブ型」への移行です。未導入の医療機関にはクラウドネイティブ型の導入を進め、導入済みの医療機関には次の更新のタイミングで移行を支援します。中小病院と医科診療所向けには、標準仕様に合ったクラウドネイティブ型製品の認証制度を作り、2027年度から認証された製品の普及と導入を支援する計画です。施策の内容は2027年度の概算要求に盛り込まれた段階で、予算編成によって変わることがあります。

標準型電子カルテ(導入版)は紙カルテと併用する医科診療所向け

厚生労働省とデジタル庁は、医科の無床診療所向けに「標準型電子カルテ」を開発しています。先に作られているのは、国の医療DXに対応する機能に絞った「導入版」で、2026年度中の完成を目指しています。

導入版は、診療録は紙カルテに書いたまま、他院からの診療情報提供書や検査データの閲覧、電子処方箋の発行、電子カルテ情報共有サービスへの登録をできるようにするものです。電子カルテそのものを置き換えるのではなく、紙カルテの診療所を国の情報共有の仕組みにつなぐ役割を持ちます。民間のクラウド型電子カルテとの違いは「標準型電子カルテと民間クラウド型の違い」で詳しく比べています。

電子カルテのシェアは公的統計では分からない

メーカー別の電子カルテのシェアを出している公的統計はありません。医療施設調査も支払基金のアンケートも、聞いているのは「導入しているかどうか」までで、どの製品を使っているかは調べていないためです。

検索で見かける「シェア」の多くは、民間の調査会社が出荷台数や販売金額、アンケートの回答などから推計した数字です。読むときは、次の3点を確かめてください。

  • 何の割合か:導入施設数か、出荷台数か、販売金額か。金額ベースでは単価の高い病院向け製品の比重が大きくなる
  • 誰が対象か:病院と診療所を合わせた数字か、診療所だけか。病院のシェアと診療所のシェアは別物と考える
  • いつの数字か:新規導入の年間シェアか、稼働している累計のシェアか。累計は過去の販売実績が大きく効く

公的資料で分かるのは電子カルテの型別の構図

メーカー別は分かりませんが、オンプレミス型とクラウド型の割合は、国の資料に推計があります。電子カルテ普及計画(案)は、オンライン資格確認を導入している医科診療所83,000施設を母数に、2026年度の内訳を次のように置いて普及の推移を試算しています。

医科診療所(2026年度の推計)施設数
オンプレミス型約45,000
クラウドネイティブ型約12,000
未導入約26,000
一定の粗い仮定を置いた推計値。出典:厚生労働省「電子カルテ普及計画(案)」(2026年9月9日)

導入済みの診療所のうち、クラウドネイティブ型は2割ほどです。国はここを2030年に向けて大きく増やす試算を示しており、診療所の電子カルテの構図は、メーカーの順位よりも「オンプレミス型からクラウド型へ」という型の入れ替わりで動いていくと読めます。

よくある質問

電子カルテの普及率の最新の数字はどれですか

全施設を対象にした国の統計では、2023年10月時点の医療施設調査が最新で、一般診療所55.0%、一般病院65.6%です。より新しい数字としては、2026年6月の支払基金アンケートで医科診療所72.6%(回答施設ベース)があります。引用するときは調査名と時点を添えてください。

次の医療施設調査はいつですか

電子カルテの導入状況を調べる医療施設調査(静態調査)は3年ごとで、次回は2026年10月1日時点の調査です。結果の公表はその後になるため、それまでは2023年の数字が国の統計としての最新値です。

電子カルテのメーカー別シェアはどこで確認できますか

公的統計にはメーカー別のシェアはありません。出回っている数字は民間の調査会社による推計で、施設数・出荷台数・販売金額のどれで測ったか、病院と診療所のどちらを対象にしたかによって順位が変わります。

まとめ

電子カルテの普及率は、国の統計で一般診療所55.0%(2023年)、直近のアンケートで医科診療所72.6%(2026年6月)です。国は2030年末までに約100%を目標に置き、認証されたクラウドネイティブ型製品の普及支援を2027年度から始める計画を示しています。メーカー別のシェアは公的統計に無く、民間の推計を読むときは何の割合かを先に確かめてください。

参考

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執筆 CLIUS(クリアス )

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