レセプトが返戻されたときのベストな対応は? 返戻防止には何が必要?

保険請求をおこなううえでは、レセプトの作成が不可欠です。しかし、レセプトに不備があった場合は返戻されるため、再請求をおこなわなくてはいけません。勤務医時代にはその仕組みや返戻の理由をなんとなくしか理解していなかったドクターもいるかもしれませんが、開業医として独立するにあたっては、きちんと理解することが必要です。そこで今回は、レセプト返戻について詳しく紹介していきます。

目次
  1. レセプト返戻をおこなっている機関とは?
    1. 社会保険診療報酬支払基金
    2. 国民健康保険団体連合会
  2. レセプトが返戻される理由とは?
    1. 請求内容が間違っている
    2. 単純な書き間違い
    3. 保険法などのルールに違反している
      1. 返戻自由コードとは?
  3. レセプトを返戻されたらどう対応すればいい?
  4. 再請求はいつまでにおこなえばいい?
  5. レセプト返戻をできるだけ防ぐにはどうすればいい?
  6. レセプトチェックに役立つツールの導入もおすすめ

レセプト返戻をおこなっている機関とは?

まずは、レセプト返戻をおこなっている機関について解説していきます。レセプト返戻をおこなっているのは、以下の2つの審査支払期間。それぞれ、取り扱っている『保険者』が異なります。

社会保険診療報酬支払基金

「協会けんぽ」「健康組合」「共済組合」「公費実施機関」などの『保険者』のレセプトの審査および返戻を担当しています。

国民健康保険団体連合会

市区町村や国民保険組合などの『保険者』から委託されたレセプトの審査および返戻をおこなっています。

レセプトが返戻される理由とは?

続いては、レセプトが返戻される主な理由をみていきましょう。

請求内容が間違っている

「患者の症状と施術が一致していない」「診療報酬点数が間違っている」など内容に誤りがあるパターンです。

単純な書き間違い

記号や番号、患者の保険証番号などを間違えているパターンです。特に保険証の番号に関しては、保険者の都合によって途中で変更されているケースもあるので、最低でも月に1回確認するようにしましょう。

保険法などのルールに違反している

医療機関側に返戻となることではありませんが、同一部位の同一の負傷に対して以下と柔道整復師の両方がレセプトを請求した場合、医科の請求が優先されることになります。もちろん、多くの患者はこのようなルールがあることは知らないため、柔道整復師に対して医療機関に通院していることを説明していないことも多いでしょう。

返戻自由コードとは?

レセプトが返戻された理由は、「返戻内訳書」に記された「返戻事由コード」で確認できます。たとえば社会保険診療報酬支払基金の場合、以下のようなコードが記されています。

コード 内容
100011 記号・番号の誤り
100013 認定外家族
100014 該当者なし
100016 旧証によるもの
100017 本人・家族等の種別誤り
100018 資格喪失後の受診
100023 給付期間満了後の受診
100112 患者氏名の誤り
100122 後期高齢者該当
100212 性別の誤り
100222 国保該当
100312 生年月日の誤り

参照:社会保険診療報酬支払基金「増減点連絡所・各種通知書の見方」

■レセプトの査定とは? 返戻との違い

レセプト返戻と混同しがちな用語として、「レセプト査定」があります。

前者は、審査側に適当でないと判断されたレセプトが差し戻されること。これに対して後者は、適当ではないと判断した項目を審査側で修正したうえで支払いがおこなわれることです。修正によって、請求した額から減額された額が支払われたとしても、医療機関側から再請求することはできません。

レセプトを返戻されたらどう対応すればいい?

レセプトを返戻されたら、間違いを訂正したり足りない情報を加筆したりして、再請求することが必要です。

初回のレセプト提出から再請求までの期間はおおよそ2か月。たとえば、7月にレセプトを提出すると、8月中に審査支払機関と保険者によって審査され、9月初旬頃に返戻されます。返戻されたレセプトを9月10日までに「月遅れレセプト」として再請求して、問題がなければ10月に診療報酬が支払われますが、再請求が遅くなればそのぶん診療報酬の支払いも後ろにずれ込みます。

再請求はいつまでにおこなえばいい?

9月初旬に返戻されたレセプトを9月10日までに修正して再請求する必要はありませんが、再請求するのはいつでもいいかというとそうではありません。療養費の請求期限は、患者が受診料を支払った日から2年以内と決められています。2年を過ぎると診療報酬を受け取れなくなるので注意が必要です。

レセプト返戻をできるだけ防ぐにはどうすればいい?

レセプト返戻の数をできるだけ減らすためには、ダブルチェックはもちろん、誰がどのレセプトをチェックしているかの記録をきちんととることが大事です。誰がミスしたのか、どんなミスだったのかを確認しあうことで、同じミスを起こす確率はぐんと低くなります。また、疾患名や薬剤名などの転記ミスは、電子カルテとレセプトの連携によって防ぐことが可能。人為的ミスを少なくする方法と併せて検討してみてくださいね。

レセプトチェックに役立つツールの導入もおすすめ

また、レセプトチェックに特化したシステムを導入も業務効率化の近道。

おすすめはふたつ。

レセプト電算ファイルを読み込み、設定された項目を自動チェックしてくれる「べてらん君コラボPlus」は、1万件のレセプトをわずか8分で処理してくれる優れもの。「1週間分を手の空いたタイミングで」など、空き時間を活用してチェック業務を細分化することも可能です。

もうひとつは、見落としがちな突合点検も、過去レセプトまで見直さなければ難しい総覧点検も、気が付きにくい算定日チェックも高い精度でこなしてくれる「Mighty Checker PRO Advance」。

業務の効率化のためにも、導入を検討してみるといいかもしれませんね!

参照:べてらん君コラボPlushttps://www.fujifilm.com/jp/ja/healthcare/emr/receipt-solution/veteran-collabo-plus

参照:Mighty Checke PRO Advanceとは

クリニック開業ナビ

執筆 コラム配信 | クリニック開業ナビ

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