ひと口に電子カルテといってもさまざまな種類があります。多くは保険診療のためのものですが、中には自由診療に特化した電子カルテがあります。『medicalforce(メディカルフォース)』はその代表格で、美容など自由診療に特化してクリニックの間で顧客を拡大しています。
今回はこの『medicalforce』をご紹介します。
『medicalforce』の特徴
『medicalforce』はクラウド型の電子カルテで、自由診療に特化したものであることが大きな特徴です。また、電子カルテであることはもちろんですが、クリニックで必要になる日々の業務を全てこなせるように設計されています。
「オールインクラウド」が『medicalforce』のコンセプトです。
患者さんの診察予約、受付、デジタル問診票、診察時のカルテ、医療費の会計、在庫管理、経営管理、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)の機能などを備えています。
つまり、医師が使う電子カルテだけではなく、スタッフが行う業務のサポート、また院長に必要になる経営管理までをカバーしたサービスなのです。
開発・提供元である『株式会社メディカルフォース』によれば、自由診療向けのクラウドサービスですが、現在は主に美容クリニックで使用されているとのこと。
『medicalforce』の機能
『medicalforce』は以下の機能を備えています。
予約管理
デジタル問診票
電子カルテ
会計
在庫管理
経営管理
Web予約
CRM/メッセージ
特に注目していただきたいのは、予約管理、CRM/メッセージの機能です。
自由診療の場合には、集患、また一度来院した患者さんをいかにリピーターにするのかが非常に重要です。『medicalforce』の場合には、LINE予約、Web予約の機能がデフォルトで装備されており、飲食店の予約のように、日時を指定して即時での予約を行うことができます。
お薦めなのは「CRMに強い点」です。
最近は開業ラッシュや値下げ競争が相次いでおり、かつてのように、広告費を多く投じて集患しようという時代ではなくなっており、自由診療の世界でも「広告に対しての費用対効果」が求められています。『medicalforce』では、患者さんにメッセージを送ることができるのですが、
リマインド配信
患者さんが予約を行った何日前にメッセージを送るかを設定。当日キャンセルといったことを予防できる。
ステップ配信
来院した患者さんに対して、施術後に送るメッセージ。施術後の注意点、アンケートを送るといった用途で使える。
セグメント配信
予約情報、カルテの情報、会計情報の3つを活用して患者さんをセグメント化し、それに従ってメッセージを送ることが可能。例えば「累計利用金額が◯円以上の人」「LINE予約した人問い合わせがあったけど来院に至らなかった人」「○万円以上の人」などといった分類でメッセージの配信対象を分けることができます。
メッセージの送り方は10パターン以上あり、その中から選択できます。ある患者さんだけを狙って特定の情報が送れることでリピート率の向上が見込めることが『medicalforce』の強みです。
また、経営管理も要注目の機能です。その日の売上などの経営指標をクリニックの医師・院長はダッシュボードですぐに確認できます。
さらに、自由診療だから必要な機能を備えている点も見逃せません。保険診療用の電子カルテでは、例えば役務管理、「脱毛6回コースで今その人が何回消化しているか?」といったことを把握できなかったりしますが、『medicalforce』では自動で行えるのです。
このような点は自由診療に特化した電子カルテだからこそ備わっている機能なのです。
クラウド型のサービスなので新機能の追加も迅速に行われています。これは、オンプレミス型ではできないことです。最近トレンドになっている「電子同意書」機能も追加実装されました。
レセコンとの連携
自由診療専用の電子カルテですので、保険診療の計算に用いるレセコンとの連携は必要ありません。『medicalforce』は独自の会計処理機能を備えています。
『medicalforce』導入の準備
『medicalforce』はクラウド型のシステムですので、クリニック側の準備としては、インターネット環境と、インターネットに接続できるパソコン、タブレットなどがあればOKです。
『medicalforce』導入にかかる時間
『株式会社メディカルフォース』に伺ったところ、『medicalforce』をクリニックに導入するのに掛かる時間は1カ月〜1カ月半ほど、とのこと。
『medicalforce』導入・運用にかかる費用
『medicalforce』の導入には初期費用、月額利用料がかかります。初期費用は要問合せ、月額利用料は5万円〜とのこと。月額利用料は使用する機能によって変動しますので、正確な価格は『株式会社メディカルフォース』へお問い合わせください。
『medicalforce』のサポート体制
『medicalforce』では、電話、Webサポートを行っています。
電話サポート
月〜金(土日祝日は休み)
Webサポート
24時間365日。ほとんどの場合、質問を受けてから2時間以内には返信が受けられるとのこと。
『medicalforce』開発の経緯と展望
『medicalforce』の開発経緯について『株式会社メディカルフォース』の大嶋翼代表取締役に伺いました。
——自由診療専用の電子カルテ『medicalforce』を開発しようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。
そもそも私が美容クリニックに行って治療を受けたのがきっかけです。
——といいますと?
ダーマペンとボトックス治療を同日に同じクリニックで受けたのですが、ダーマペン施術後に真っ赤になった顔で別の部屋に入ると、他の先生に「その顔どうしたんですか?」と言われました。いや、別の先生の治療を受けたら……なんですが、要はクリニック内で患者さんがどのような治療を受けているのかが共有されていなかったのです。
——なるほど。
院内の情報連携、患者さんの管理というのができるように、なんとかした方がいいのではないか、と思いました。また、これからも大きくなる市場だと判断し、実際に働いている方にヒアリングを行って、さまざまな課題があることが分かりました。
しかし、いきなり顧客管理といってもピンときてもらえません。とりあえず、現場の業務を支援する機能をそろえて、皆さんの忙しさを緩和しないと顧客管理も何もないだろう、と。それに気付いて予約管理と電子カルテを作ろうと思ったのがきっかけです。
自由診療もマーケティングが重要な時代
——『medicalforce』は自由診療に特化したサービスですが、業界についてはどう見ていますか? またその業界における『medicalforce』の強みとはどんな点でしょうか。
美容医療に対してのハードルがかなり下がっていることもあり、市場は伸びています。
一方で、毎年100件以上の新規開業が生まれており、クリニック間の競争も激化しています。資金に余裕のあるクリニックさまでは広告費をかなり投下していますし、そうじゃないクリニックさまは値下げ競争を始めています。
つまり、多くのクリニックさまでは価格の安さ、先生の名前(技術)で勝負する状態になっており、今まで通りに広告をたくさん打って集患するという戦略ではジリ貧になってしまいます。
——自由診療も過当競争の時代ですね。
ですので、マーケティングをきちんとしなければならない、というトレンドがきています。『medicalforce』は既存患者さまに向けたマーケティングを行える機能を備えていますから、その部分で評価され、選んでいただいているのではないかと思っています。
実際、2021年のサービスリリースから約1年で100件以上のクリニックさまにご導入いただいており、とても多くのお引き合いをいただいております。
クリニックを忙しさから解放するために
——その普及スピードはすごいですね。導入したクリニックからはどのように評価されていますか?
例えば、Web予約やデジタル問診票を導入したクリニックさまからは、電話対応の時間が減って、既存の患者さんにきちんとした対応ができるようになった、などの高評価をいただいています。
もともとは、そのクリニックにはひっきりなしに電話がかかってきていました。患者さんの対応中にもかかってきたりするので、メチャクチャその手間が取られるし、その待たせている患者さんにとっても、あまりよくないっていうのがありました。
——患者さんを待たせて、悪く思われるとリピーターになってくれませんね。
患者さんにきちんと対応できる時間ができたというのは、クリニックさまにとっても良いことだと思います。他にも、先程申し上げたように「開業ラッシュで値下げラッシュ」という状況ですので、これをなんとかするためにはマーケティングがやはり重要になります。
特に新規開業の場合には、金額で売るか、先生の名前で売るかといったことになりがちです。全員が全員名前で勝負できるわけではありませんので、マーケティング機能を備えていないと困るわけです。『medicalforce』を導入して良かったと言っていただけるのは、先生方の集患、経営管理に役立っているからだと思います。
医療の「DX」を拡張していきたい
——『medicalforce』の今後の展望について聞かせてください。
今世間では「DX」とすごく言われていますが、いきなりDXするというのは現状難しいと思っています。まずは現場を忙しくしないこと、忙しさを緩和するために、業務をデジタル化して行うというのが一丁目一番地だと思います。そのデジタル化の部分を『medicalforce』でますます拡張していきたいと思っています。
直近ですと、同意書をデジタル化できる機能がリリースされています。今後こういった流れを加速してデジタル化を進めていきたいですね。あとは、今使っていただいているお客さまもかなり増えてきたので、その使いやすさというところにもっとフォーカスして、既存のお客さまが満足していただける使い心地にしていきたいと考えています。美容医療の電子カルテ、予約管理は『medicalforce』が当たり前。そのようなイメージを皆さんに持っていただければいいな、と思っています。
——ありがとうございました。
『medicalforce』は自由診療に特化した、予約・受付・電子カルテ・会計・経営管理・顧客管理・在庫管理など、クリニックの日々の業務を一手にこなすクラウド型サービスです。多機能かつ作業を一気通貫で行える点で非常によくできたツールです。自由診療のクリニックを開業する予定の医師の皆さんは、導入を考えてみてはいかがでしょうか。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2022年8月時点の情報を元に作成しています。