病気や怪我で痛い思いをしているのに、医療機関で注射を打ったり痛みを伴う検査をしたりしないといけないとなると、「怖い」「行きたくない」と思う子どもは多いでしょう。しかし、先生の笑顔がやさしかったり、院内に楽しいおもちゃがあったりすると、それだけでも子どもたちが抱く印象は変わるもの。さらに、「よく治療をがんばっているね」とシールなどをもらえると、「やさしい先生だった」「怖いところじゃなかった」と感じる子どもも多いはず。そこで今回は、子どもに喜んでもらえるご褒美について考えてみます。
ご褒美に関して気を付けるべきことは?
まずは、ご褒美に関して気を付けるべきことから説明します。
みんなに喜んでもらえるご褒美が用意できたら、「治療をがんばったらこんなものをあげるからね」とついつい多くの子どもたちに伝えたくなることもあるでしょう。しかし、ホームページやSNSなどでそのことを積極的に発信するのはNGです。なぜかというと、医療広告規制に引っ掛かるから。厚生労働省が公表している「医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書」にも、「子どものみんなには治療後に、がんばったご褒美にガチャガチャをプレゼント!」「当院で出産された方には、出産祝いとして赤ちゃんグッズをプレゼントしております」など、物品贈呈をはじめ、提供される医療と直接関係のない事項をホームページに記載することは禁止であると明記されています。
そのため、ご褒美としてなにかあげたいとしても、それを集客につなげることはしないようにしましょう。
参照:厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書」p.33より一部抜粋
また、「保健医療機関及び保険医療養担当規則」によると、保険薬局から患者に金品を提供することは禁止されているので、調剤薬局との連携するうえでも規則を確認しあえるといいでしょう。
これらのことから、ご褒美を用意したい場合は、「それを集客につなげないこと」「調剤薬局からも患者にご褒美を渡すことは控えること」が不可欠といえます。
ただし、上記は保険診療の場合であって、自費診療の場合は規制が限定解除される場合があります。たとえば、インフルエンザの予防接種にきた子どもに、専用の硬貨を渡してガチャガチャを楽しんでもらっているクリニックなどがあります。
参照:厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書」p.33より一部抜粋
参照:厚生労働省「保険医療機関及び保険医療養担当規則」第二条の五 2および第十九条の三 2
子どもが喜ぶご褒美は?
続いては、子どもが喜ぶご褒美をみていきましょう。
シール
昔からよくあるのがシールです。何種類かのなかから好きなものを選べるようにしておくと、さらに子どもたちのテンションが上がります。ただし、デザインや紙質にこだわったものを用意するとなるとそれなりに費用がかかります。100円ショップを利用したり、工作が得意な看護師に作ってもらったりして、コストを抑えるといいでしょう。
ただし、シールの場合、親が見ていない隙に子どもが皮膚などに貼ってしまうことがあるので注意が必要です。サイズが小さすぎるものであれば、手についたものが口腔や鼻腔に入ってしまうことも考えられるので、ある程度の大きさがあるものを選ぶか、対象年齢を考えながら用意するといいでしょう。
カード
カードといっても、トレーディングカードのように有料のものを用意する必要はありません。まだ小さい子どもであれば、乗り物や動物などのイラストを印刷したものを貼り付けた自作のカードでも喜んでくれるでしょう。こちらも、シール同様、いろんな種類のものを用意しておけば、子どもたちが選ぶ楽しみを味わえます。
ただし、シールやカードを「好きなものを選べるスタイル」にすると、なかなか決められなくて長く滞在する患者が出てくる可能性があるので、会計待ちの患者が出ないよう、会計が終わってから選んでもらうなどの工夫が必要です。
クリニックに設置したガチャガチャのメダル
最近よくみるのがコレ。現金を投入して回す必要があるガチャガチャの設置はNGですが、専用のメダルを投入したら回すことができるガチャガチャはOK! 子どもたちが、何が出てくるかわからないドキドキ感を楽しめます。
ガチャガチャの中身に関しては、消しゴムや知恵の輪 、スタンプ、巾着 などクリニックによってさまざまな工夫を凝らしていますが、中身を手作りのカードにして経費を削減するという方法もあるので、ぜひ参考にしてくださいね。
折り紙
看護師や事務院が手すきの際に折った作品をご褒美にするのもリーズナブルな方法です。また、この選択肢の場合、患者が少なく持て余した状態のスタッフのおしゃべりを防止できるというメリットも。
また、一回一回ご褒美を渡すのではなく、通院のたびに専用の台紙にスタンプを押して、「全部貯まったら好きな文房具と交換」などもおすすめ。このご褒美は次回の来院へのモチベーションにつながるので、定期的に通院が必要な患者などには特にぴったりです。
ご褒美として用意するのではなく、治療時に子どもが喜ぶものを使うのも一手
ご褒美を用意するとなると、「広告規制に引っ掛からないだろうか?」「渡したシールを肌に貼ってしまってかゆみが出たりしないだろうか?」などの心配事が出てくることもあるでしょう。それなら、はなからご褒美として何かを用意するのではなく、治療に使う絆創膏や注射後のパッチをキャラクターものにするのもおすすめ。ニチバンなどのメーカーから商品が出ているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2022年11月時点の情報を元に作成しています。