将来、自分のクリニックを開業したいと考えている医師は、開業に向けてさまざまな準備を進めていることでしょう。開業に必要な資金の調達方法を調べたり、自己資金を貯蓄したりはもちろん、集客が期待できる立地を調べたり、先輩開業医たちの話を聞いたりといったことに時間を割いている人もいるかもしれません。その中から今回は、将来精神科のクリニックを開業したい人のために、「精神科開業前に知っておきたいこと」をお伝えします。
将来、自分のクリニックを開業したいと考えている医師は、開業に向けてさまざまな準備を進めていることでしょう。開業に必要な資金の調達方法を調べたり、自己資金を貯蓄したりはもちろん、集客が期待できる立地を調べたり、先輩開業医たちの話を聞いたりといったことに時間を割いている人もいるかもしれません。その中から今回は、将来精神科のクリニックを開業したい人のために、「精神科開業前に知っておきたいこと」をお伝えします。
精神科の開業に必要な費用はどのくらい?
まず気になるのは、なんといっても開業に必要な資金でしょう。精神科は、他の診療科に比べて少ない資金で開業できると言われています。その理由は、心の病を扱うことから、基本的には医療機器を導入する必要がないからです。最低限あるといいのは、電子カルテとレセコンくらい。医療機器がなくても開業可能ということは、それを置くスペースも不要ということになるので、土地・建物代も抑えることができます。
また、ビルテナントで開業を考えているなら、2,000万円程度の資金があれば十分。精神科の患者は、「通院している」ということを周りに知られたくないため、人通りの多い駅前を避け、駅から離れた立地にあるクリニックを選ぶ人も多いので、そのニーズに合わせて駅から離れたら、自ずとテナント料の相場も下がります。そうしたことから、エリアによっては開業資金を1,000万円程度にまで抑えることも可能となる場合があります。
融資がうまくいかない場合もある
開業資金に関して、金融機関の融資を当てにしているから、自己資金は十分に貯蓄していないという人もいるかもしれません。しかし、精神科のクリニック開業は近年増加傾向にあることから、融資を断っている金融機関もあります。とはいえ、絶対に融資してもらえないというわけではないので、まずは開業コンサルタントやクリニック専門の税理士などに相談するといいということを覚えておきましょう。
希望するエリアはどのくらいの集客を見込めるのか?
開業医になると、患者を診ることに加え、経営全般に力を注ぐことが必要になります。そのなかで、実際に開業する前からやっておくべきことは、希望するエリアはどのくらいの集客を見込めるのかのリサーチ。エリア内に競合が少ないほうが、集客が期待できることは言うまでもありません。さらに、地域の年齢層などを把握しておき、条件に見合った診療スタイルなどを考えることもとても大切です。たとえば、子どもが多く暮らしているエリアなら、児童精神科を標榜することも集客に役立つ可能性があります。どのくらいの集客が期待できるのかを測るためには診療圏調査が有効ですが、最近はスマートフォンで簡単に使える診療圏調査アプリなどもあるので、リサーチの一環として利用してみてもいいかもしれませんね。
自院の特徴をより多くの人に知ってもらうために有効な宣伝方法とは?
集患・増患のためにインターネットを活用しない手はありません。特に精神科に関してはそうです。なぜなら、悩みがあって苦しい思いをしていても、周囲の人には相談できないという人が多いからです。誰にも相談できないなら、症状を改善するためにはどうすればいいか自分で調べるしかありません。調べていくなかで「精神科医に相談」という選択肢が出てきたとして、どんな精神科医でもいいかというとそうではないでしょう。「この先生になら私のことをわかってもらえそう」「この先生ならちゃんと話を聴いてくれそう」と思ってもらうためには、潜在患者がそう判断できるだけの材料をネット上に用意しておくことが望ましいことは言うまでもありません。自らの想いや治療方針をしっかり汲んでもらうためにも、まずはホームページを作成するのがベストです。
今すぐ開業するわけではないという人も、自分と診療方針が近いクリニックのホームページを参照するなどして、どんな文言、どんな表現だと興味を持って見てもらえるのかを考えてみてはいかがでしょうか? また、誰にとってもわかりやすい文章とはどんな文章なのか? と考えてみるのもいいですし、より多くの人にホームページを見てもらえることにつながる、SEO対策などについても、少しずつ学んでおくといいかもしれません。ただし、すべて自分でやろうとすると大変です。最低限の知識を身に着けておけば、プロに頼む際もスムーズに話ができるはず。
インターネット上には誤った情報も多いということを知っておこう
自院のホームページがあると宣伝しやすいのは、それだけ多くの人がインターネットを見ているからです。医療機関が発信する情報は基本的には正しいと思っていいとして、インターネットの情報サイトや掲示板などには、憶測で書かれた根拠のない情報や、誤った情報もたくさんあります。なかには、そうした情報を信じ込んでいる患者さんもいるため、患者さんの誤解を正し、安心して治療を受けてもらうための工夫も、これからの医療においては重要となってくるでしょう。自分のクリニックでならどんなことができるのか、一度ゆっくりと考えてみるのもいいかもしれませんね。
超高齢化社会ならではの精神病も
また、心の病を扱ううえでは、患者さん一人ひとりの仕事や家庭環境に目を向けるだけでなく、社会全体の動きもよく知っておくことが大切です。たとえば、超高齢化社会である現在、高齢者のうつ病は増えていますし、高齢者を介護する側が精神的に参ってしまうケースも多いでしょう。そうした社会的背景を熟知しておけば、患者との対話の中でみえてくることも多くなるので、自分の専門分野とは関係なさそうなニュースも、ある程度は知識として仕入れておきたいものです。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2021年9月時点の情報を元に作成しています。