開業医が行うべき感情コントロールと横のつながりとは?〜梅華会・梅岡比俊先生の「クリニック開業・経営ベストプラクティス」#6〜

開業医のみなさんが必ず行うことと言えば、スタッフとのやり取りなど労務や人事的な業務。平時においては、冷静に対応できることも、繁忙期やトラブル時などは、スタッフに感情的になってしまうこともあるかもしれません。

そこで、今回第6弾は、感情コントロールをテーマにして、兵庫県や東京都に計8クリニックを経営する、医療法人 梅華会の理事長である梅岡比俊医師に、感情コントロールや、孤独な開業医が開拓すると良い横のつながりのノウハウを余すことなくご紹介します。

以降は梅岡医師によるアドバイスとなります。

目次
  1. 感情コントロールのための2つのコツとは?
  2. 横のつながりから得られる情報は?
  3. 心の余裕を取り戻すワーケーション

感情コントロールのための2つのコツとは?

どんなにスタッフたちと良い信頼関係を築けて、協働してチーム医療を提供できていても、やはり院長は孤独です。集患について、スタッフの育成について、お金について。考えなければいけないことは多岐にわたります。

開業した頃の私は、ただただ感情に任せて、時間と場所を考えずに自分の思い通りに動かないスタッフに声を荒げるなど、診療どころではないくらいクリニック経営に頭を悩ませていました。このままではいけないと数々の経営者セミナーに参加することになるのですが、その中の一つに世界No.1コーチと言われるアンソニー・ロビンズのセミナーがありました。人生を変える方法を指南する著名なパフォーマンスコーチである彼はモチベーションを保つ秘訣を、"beautiful state(美しい状態)"と提唱しています。基本的に人間の基礎状態は「beautiful stateではない」とアンソニーは言います。

何か考えごとをしていたり、世の中に不平不満があったり。ではそうならないためにどうするか?それには2つコツがあります。ひとつは、感謝の気持ちを持つこと。クリニックに患者さんが来てくれる。スタッフたちのおかげで診療を行うことができる。もうひとつは、繋がり。世界はひとつであり、根っこはみんな繋がっている。そういう気持ちをもつことでbeautiful stateに繋がるとアンソニーは言います。私自身、その言葉に感銘を受け、改めて自分一人では診療することができない、仲間がいることの大切さを感じました。

横のつながりから得られる情報は?

14年経ったいま、昔から働いてくれているスタッフに当時の私について聞くと、

  • クラークに入っているときに無言のプレッシャーを感じる。そのプレッシャーが元でミスを連発してしまっていた
  • 口調や雰囲気のせいで自分を否定されているように感じていた
  • という意見が出るように、院長の機嫌は私たちが考えている以上にスタッフに影響を与えていることが分かります。

    最近の私はというと、昔のように怒ることも減り、基本的には楽観的で前向き、どうにかなるがモットーです。しかし2019年に発生した新型コロナウイルス感染症の影響で経営に大きな打撃を受けたときにはさすがに落ち込みました。発生直後の2020年4月・5月には患者数、売上ともに前年比50%近くまで落ち込んだのです。そのため、もともと売上が良くなかったクリニックを1院閉院したほか、人件費を削減せざるを得ず、この年初めてスタッフに賞与を支払うことができず、昇給も見合わせてしまったことに申し訳なさでいっぱいになりました。

    2ヶ月くらいでしょうか?落ち込みは続きました。しかし落ち込んでばかりもいられないので情報収集は止めずに行っていました。こういうときに思うのが、横のつながりは大切だということです。横の繋がりから情報を得て、銀行からのコロナ融資や、福祉医療機構からの融資、給付金や助成金を活用するなどして、なんとか現金を増やすことが出来ました。それは私にとって大きく、下がっていたモチベーションも徐々に上がり始めました。

    心の余裕を取り戻すワーケーション

    これは私の考えですが、医者は何事も我流でやりがちで、何かトラブルが起こっても自分の中だけで解決しようとしがちではないでしょうか。そうならないためにも日頃から横の繋がりを増やしておくことは重要です。開業医には開業医にしか分からない悩みが多数あります。そういった悩みや情報を共有する仲間の存在はとても重要であると考えます。

    また、こんなときだからこそあえて沖縄に行き、ワーケーションの時間を作りました。私は人生心の余裕がなければ、視野は狭まる一方だと思っています。なので、沖縄で過ごすゆっくりとした時間の中で、この赤字をどう切り抜けるかを考えました。

    まだまだ感情のコントロールが上手だとは言えない私ですが、昨年9月に『キレやすい開業医が伝える クリニックアンガーマネジメント』を出版しました。アンガーマネジメントはクリニックが発展していくために欠かせないポイントの一つであると思い書かせていただきました。少しでも開業医の方々の参考になれば幸いです。

    Mac・Windows・iPadで自由に操作、マニュア ルいらずで最短クリック数で診療効率アップ

    特徴

    1.使いやすさを追求したUI・UX ・ゲーム事業で培って来た視認性・操作性を追求したシンプルな画面設計 ・必要な情報のみ瞬時に呼び出すことが出来るため、診療中のストレスを軽減 2.診療中の工数削減 ・AIによる自動学習機能、セット作成機能、クイック登録機能等 ・カルテ入力時間の大幅削減による患者様と向き合う時間を増加 3.予約機能・グループ医院管理機能による経営サポート ・電子カルテ内の予約システムとの連動、グループ医院管理機能を活用することにより経営サポート実現 ・さらにオンライン診療の搭載による効率的・効果的な診療体制実現

    対象規模

    無床クリニック向け 在宅向け

    オプション機能

    オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

    提供形態

    サービス クラウド SaaS 分離型

    診療科目

    内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、

    執筆 医療法人 梅華会 理事長 梅岡比俊

    1973年生。
    2008年、「梅岡耳鼻咽喉科クリニック」を開設。
    2011年に医療法人梅華会理事長に就任し、分院開設。
    以降は2021年までに分院・フランチャイズなど合わせて9つの施設を開設する。
    『卓越したクリニック運営が日本に普及浸透し、関わる人々を幸せにする』をミッションに掲げた開業医コミュニティ「M.A.F ( https://maf-j.com/ ) 」も主催する。
    トライアスロンやマラソンに挑戦するアスリートの一面や、野菜ソムリエ、歴史能力検定。ファスティングマイスターなどの各種資格も併せ持つ。


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