クリニックの物件を借りるにあたっては、「テナント料が予算に合っているか」「立地条件や交通アクセスがよいか」「隣接するテナントの業種は適切か」など、チェックすべきポイントがいくつかあります。そのひとつが「禁止事項の有無」ですが、どんな禁止事項があることが考えられるのでしょうか? 詳しくみていきます。
レイアウト変更
ビルのルールやオーナーの意向によっては、レイアウトの変更ができない場合があります。レイアウトを変更できないとなると、業務効率のいい導線を確保できない場合があるので、事前にビルのルールやオーナーの意向をしっかりと確認してから契約することが大切です。
勝手な増築や改造
テナントでの勝手な増築や改造は基本的に認められていません。とりわけクリニックの内装に関しては、医療法上、制約がかかるというパターンもあるので、契約前にオーナーにしっかり確認することが大切です。
利用可能な時間帯および曜日 以外の利用
建物によっては、利用可能な時間帯および利用可能な曜日が決まっている場合があります。オーナーの意向によって制限している場合もあれば、ビル全体のメンテナンス日などが設けられている場合もありますが、いずれにしても、急患対応ができないと困るクリニックであれば、時間外の利用を禁止としている物件は避けたほうが賢明でしょう。
看板設置の可否
建物の外に看板を設置することは、外観を損ねるという理由から禁止されている場合があります。看板を出すと出さないとでは、患者のクリニックに対する認知度が大きく変わってくるので、事前によく確認することが大切です。ただし、「通院していることを知られたくない」と考える患者が多い精神科クリニックなどであれば、敢えて建物前に看板を出さない方針をとることもあるので、その場合は問題ではないかもしれません。
定期建物賃貸借契約の中途解約
定期建物賃貸借契約は、特約がない限り、中途解約することができません。この禁止事項を破ってでも解約したい場合、賃貸人に対して、残りの契約分の賃料・共益費相当額を支払う必要が生じます。たとえば、2年契約の物件を1年で中途解約したとすると、残りの1年分の賃料・共益費相当額を支払わなくてはなりません。経営不振が理由で廃業してもテナント賃料を支払い続けなければならないので、場合によっては首が回らなくなるでしょう。
耐震診断を報告しないこと
居ぬき物件や承継物件での開業の場合、注意して確認したいのが耐震基準です。
1995年の阪神・淡路大震災勃発時に、旧耐震基準で建てられた建築物への被害が大きかったことから、建築物の耐震化を進める目的で「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」が策定・施行されました。この法律では、旧耐震基準で建てられた建物のうち、たくさんの人が利用する建物を「特定建築物」として、耐震診断を受けることや、必要に応じて改修することを努力義務と規定してきましたが、2013年に耐震改修促進法の大幅な改定がおこなわれ、努力義務が義務に変わりました。
そのため、居ぬき物件や承継物件が旧耐震基準で建てられている場合、耐震診断をおこなう必要があります。つまり、耐震診断を受けずにクリニックを開業・運営することは禁止とされています。
対象となる建物は、1981(昭和56)年5月31日以前に新築工事に着手した建物です。
景観条例への違反
戸建て開業の場合、街並みや都市景観の保全のため、地域内の建物の色味や高さなどを制限する「景観条例」にも注意する必要があります。コンビニなどのチェーン店も、景観規制によって、外観におなじみのカラーを使えない場合があります 。
クリニック開業に特化した不動産などを頼るのもおすすめ
クリニックを開業する建物は一般的な不動産で探すこともできますが、クリニック開業に特化した不動産でなければ、禁止事項についても正確かつ細かく把握していない場合があります。そのため、禁止事項などについて自ら確認することに対して自信がない場合は、クリニック開業に強い不動産を選ぶことがおすすめですよ!
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2023年9月時点の情報を元に作成しています。