処方箋を代理人が持参して薬剤を受け取るのはOK? 

処方箋の有効期限は発行日を含めて4日以内です。では4日以内に本人が薬局に来局することができない場合、どうすればいいのでしょうか? 代理人が処方箋を持参して、代わりに薬剤を受け取ることは可能なのでしょうか? 早速解説していきます。

目次
  1. 処方箋を代理人が薬局に持参するのはOK!
  2. 処方箋を代理人が薬局に持参して薬剤を受け取る際の注意点
    1. 必要な持ち物を持っていくこと
      1. 処方箋の原本
      2. 患者本人の保険証、(患者が公費負担で医療を受けている場合)受給者証
      3. 患者本人のお薬手帳
      4. 患者本人の管理手帳
    2. 患者本人の状態を伝えられるようにしておくこと
    3. 患者に代わって服薬指導を受けて内容を把握すること
  3. 患者本人が来局できない場合、処方箋を代理人が薬局に持参する以外の方法はある?
    1. 薬剤師による訪問サービス
    2. オンライン服薬指導
  4. 処方箋を代理人が薬局に持参して薬剤を受け取った方がいい場合とは?
  5. 代理人としての役目をきちんと果たしてもらうことが大切

処方箋を代理人が薬局に持参するのはOK!

まずは正解から発表すると、処方箋を代理人が薬局に持参して薬剤を受け取ることにはなんの問題もありません。もちろん、医療機関で診察を受けて処方箋を交付された本人が来局できれば一番よいですが、体調や時間的制限によって期限内に来局できそうにないことはあるでしょう。また、高齢であったり足に不自由があったりすることから、薬局までの往復がしんどいことも考えられますし、診察が長引いて次の予定先に急いで駆け付けなければならず、翌日以降は激務で来局する時間が取れないということも考えられます。

そのだめ、代理人が処方箋を持参したうえで代わりに薬剤を受け取ることは問題ないとされていますが、その際、気を付けるべきことがいくつかあるので、以下に説明していきます。

処方箋を代理人が薬局に持参して薬剤を受け取る際の注意点

処方箋を代理人が薬局に持参して薬剤を受け取るにあたって、気を付けるべきことは3つあります。内訳は、「必要な持ち物を持っていくこと」「患者本人の状態を伝えられるようにしておくこと」「患者に代わって服薬指導を受けて内容を把握すること」です。それぞれ詳しく解説していきます。

必要な持ち物を持っていくこと

代理人が薬剤を受け取る際に必要なものはいくつかあります。

処方箋の原本

まずは処方箋の原本。事前に薬局に処方箋のコピーをFAXなどで送っている場合でも、薬剤の受け渡しには原本が必要です。

患者本人の保険証、(患者が公費負担で医療を受けている場合)受給者証

また、患者本人の保険証も必要な場合があります。そのため、患者が代理を頼む相手は、基本的には家族もしくはそれに準ずる間柄の相手と考えられます。

一般的には、初診であれば保険証は必須で、そのほかに保険証が変更になったときにも掲示が求められる場合があります。また、患者が公費負担で医療を受けている場合は、受給者証なども掲示する必要があります。

患者本人のお薬手帳

お薬手帳の提出は必須というわけではありませんが、特に複数の医療機関に通っている場合や、服用している薬が数種類ある場合などは、薬の重複がないかなどを確認してもらうためにも、持参することが望ましいといえます。

患者本人の管理手帳

患者が血圧や血糖値などの数値を記録して管理している場合は、その管理手帳も持参することが望ましいです。お薬手帳、管理手帳ともに、特に高齢の家族の代わりに来局する場合などはできるだけ持参したいところです。

患者本人の状態を伝えられるようにしておくこと

代理人の役目は、患者に代わって薬剤を受け取ることだけではありません。患者がその薬剤を飲んで問題ないかを薬剤師に確認してもらうためにも、本人の病状や薬の服用状況などをしっかりと把握したうえで薬局に出向き、本人に代わって状態を伝えることが大切です。

もしも薬剤師から質問を受けて代理人ではわからないことがある場合、その場で患者本人に電話をかけるなどして正しい情報を得ることも大事です。

また、その薬局を利用するのが初めての場合、住所や電話番号などの個人情報に加えて、既往歴やアレルギー情報をはじめとする質問で構成される問診票の記載を求められるのが一般的です。住所や電話番号などは、家族であれば「わからない」ということはないはずですが、既往歴などに関しては家族だと忘れていることもあるので、来局前に本人に改めて確認しておくと安心です。

患者に代わって服薬指導を受けて内容を把握すること

薬局で患者に薬剤が出される際、必ず服薬指導がおこなわれますが、代理人が薬剤を受け取る場合も同様です。代理人は患者本人に代わって服薬指導を受け、その内容を正しく患者本人に伝える必要があります。代理人が服薬指導の内容をきちんと理解することができなければ、患者は適切に薬剤を使うことができない可能性があります。

患者本人が来局できない場合、処方箋を代理人が薬局に持参する以外の方法はある?

患者本人の来局が困難な場合、処方箋を代理人に薬局まで持参して薬剤を受け取ってもらう以外の選択肢もあります。

薬剤師による訪問サービス

患者の状態によっては、薬剤師が自宅まで薬を届けたり、薬を見直したりする「訪問サービス(在宅医療)」が提供される場合があります。このサービスは一般的には、要介護認定を受けているなら「居宅療養管理指導」として提供されますし、要介護認定を受けていないなら、「在宅患者訪問薬剤管理指導」として提供されます。

これらは、家族が患者本人の代わりに薬局まで薬剤を受け取りに訪れているケースにも適用されるため、患者の薬剤管理に関して困っている家族が、薬局に相談することもあります。

オンライン服薬指導

患者が診察を受けた医療機関にオンライン服薬指導を受けたい旨を伝え、医療機関から薬局に処方箋を送り、オンラインで服薬指導を受けてもらう方法もあります。この方法であれば、患者は自宅にいながらにして服薬指導を受けることができますし、薬剤は服薬指導後に薬局から患者宅へ直接配送されるため安心です。

処方箋を代理人が薬局に持参して薬剤を受け取った方がいい場合とは?

前半で述べた通り、処方箋を代理人が薬局に持参して薬剤を受け取る理由としては、「患者本人が忙しくて来局する時間がとれない」「身体に不自由があったり熱があったりすることから、患者本人が薬局まで往復することが困難」などが考えられますが、そうではなくとも、患者本人ではなく代理人が処方箋を薬局に持参して約合いを受け取ったいいケースもあります。

具体的にどういうケースかというと、患者が小さな子どもや高齢者で、薬剤の受け取りに不安があったり、薬剤を紛失したりする可能性が考えらえる場合です。

患者が子どもであれば、医療費が無料の地域に住んでいるため、金銭授受が発生しないという理由で子どもに薬の受け取りを任せる親もいます。しかし、子どもの場合、年齢や体重で薬剤の量が変わることが頻繁にあるため、できる限り、大人が同行して一緒に内容を確認することが望ましいといえます。また、服薬指導の内容をきちんと理解できないことや、子どもが帰宅後そのまま自分で薬剤を管理した結果、飲み忘れや塗り忘れがある可能性も考えられます。

また、高齢者で認知症の症状がある患者に関しては、薬を受け取ったことを忘れたり、無くしたりする可能性も考えられますし、子どもと同様、服薬指導の内容を理解できない可能性も視野に入れたほうがいいでしょう。

代理人としての役目をきちんと果たしてもらうことが大切

患者本人に代わって薬剤を受け取るにあたっては、代わりに受け取る人は、代理人としての役目をしっかりと認識することが必須です。服薬指導を担当する薬剤師は、代理人の様子をしっかり観察して、服薬指導の内容を細部まで覚えてもらえないかもしれないなどの不安を覚えたら、たとえば詳細についてメモに残して、それを代理人に渡す のも一手。大切な情報が患者本人にきちんと伝わるよう、自分たちにできることを考えて、工夫してみることができるといいですね。

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