「看護師の資格があれば一生安泰」とは言われますが、出産や子育て、あるいは心身の不調などで休職した期間が長ければ、復職に不安を覚えることもあるかもしれません。そこで今回は、ブランクがある看護師は復職に向けてどんな準備を進めればいいかを考えていきます。
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ブランクを経て復職を希望している看護師が不安を覚える理由は?
まずは、ブランクを経て復職を希望している看護師は、なぜ不安な気持ちになることがあるのかをみていきます。
知識やスキルをキープできている自信がない
ブランクの期間が長いと、働いていた当時は当たり前のようにできていたことが、できなくなっているかもしれないという不安にさいなまれることがあります。また、医療機器の操作方法などに関しても、忘れている部分があったらどうしようと心配になるかもしれません。
ブランク期間にアップデートされたことを学ばなくてはならない
医療は日々進化しています。新しい治療法、新しい薬が使われるようになれば、看護師もそれに合わせて知識をアップデートしていかなければなりません。ブランク期間が長ければ長いだけ、新しく覚えなければならないことも多くなるので、復職時までに知識のアップデートが間に合うかが不安という人もいるでしょう。
たとえば10年単位でみると、電子カルテやクリニカルパス(入院診療計画書)を導入した医療機関が増えているので、休職前には紙カルテしか使ったことがない場合などは、基本操作から覚えなくてはなりません。
また、そもそも、「自分が休職中にどんなことがアップデートされたのか」を確認する作業にもそれなりに時間がかかります。
職場になじめるかどうか心配
休職前に勤めていた職場に復帰するにしても、当時と同じスタッフしかいないとは限りませんし、「職場になじめなかったらどうしよう」と不安になることもあるでしょう。また、復帰を機に新しい職場で働くという場合は、「職場に気が合わない人がいたらどうしよう」「以前の職場と全然違うルールだったらどうしよう」という不安もあるはずです。
体力の衰えが心配
ブランクの理由は人それぞれですが、出産や子育て、ケガや病気の治療などで長いこと休んでいた場合などは、体力が落ちている可能性が高いです。そのため、残業が多い職場や夜勤対応が必須の職場などの場合は特に、体力面が心配でしょう。
ブランクがあっても自信を持って復職するために必要な準備は?
続いては、ブランクがあっても自信を持って復職するためには、どんな準備をおこなっていればいいのかをみていきましょう。
復職支援研修を受ける
実際のところ、ブランクを経て復職する看護師はとても多いため、復職に対して不安を覚えている看護師をサポートしているナースセンターや医療機関も数多く存在します。たとえば東京都の場合、一例として、『東京都ナースプラザ』が実施している「復職支援研修」などが挙げられます。「病院体験コース」「施設体験コース」「学校に戻って体験コース」から、一人ひとりの希望や目的に応じてコースを選ぶこともできるので、興味のある人は受講してみるといいでしょう。ちなみに、受講料は完全無料なので、復職前で収入がない状態でも心配いりません。
また、各都道府県の看護協会が運営する『ナースセンター』では、e-ラーニングによる復職支援講習を用意している場合もあります。『ナースセンター』の利用の流れについては、厚生労働省が運営している「看護職のキャリアと働き方支援サイト」でも解説されているので、参考にするといいでしょう。
参照:公益社団法人 北海道看護協会ナースセンター「eラーニングによる復職支援講習」
参照:厚生労働省「看護職のキャリアと働き方支援サイト」~ブランクを経て働く~
民間企業が主催する復職支援セミナーに参加する、通信講座を受ける
『東京都ナースプラザ』や各都道府県の『ナースセンター』などの公的機関とは別に、復職をサポートするセミナーや通信講座を用意している民間企業もいくつかあります。ただし、民間企業が主催・運営している場合は無料とは限らないので注意が必要です。
必要な知識を独学で習得する
復帰にあたって、医療業界の最新の動向などをきちんと把握しておきたいという気持ちがあるものの、学びに必要なお金や通学時間が捻出できないなら、YouTubeなどを活用して独学で必要な知識を身に着けるという手もあります。ただし、インターネット上に存在する情報はすべてが正しいとは限らないので、確実に信頼できる人が発信している情報などを頼りにするよう心がけましょう。
まずは単発で働いてみる
いきなり正職員として復帰となると、身体にもどっと疲れが出やすいことが考えられます。また、ブランクが長ければ、その間に自分にとってのベストなワークライフバランスが変化している可能性もあるので、まずは単発案件などを受けながら、現在の医療現場を確認して、そのなかで自分はどのように働いていきたいのかを改めて考えることが大切です。せっかく復帰できる条件が整ったのに、単発だと十分に稼げないから困るという場合は、派遣看護師として働く選択肢もあります。
転職支援サイト、転職エージェントに相談する
本格的に復帰するために転職支援サイトや転職エージェントを利用するなら、サイト運営者やエージェントに相談に乗ってもらうこともおすすめです。いずれの場合も無料で相談に乗ってもらえるうえ、相談を通して、現在の自分の市場価値を知ることができるので、自分にとっての理想の再就職がイメージしやすくなります。
また、「育児明けとはいえ、子どものお迎えには行かなきゃだから時短で働きたい」「復職後に知識に磨きをかけていけるよう、学びをサポートしてほしい」などの要望を、求人先に伝えてもらえるのもメリットです。
再就職先に、ブランクがあることから不安な気持ちがあることを伝える
再就職先が決まった、もしくは決まりそうな段階で、再就職先に、ブランクがあることから不安な気持ちがあることを正直に伝えることも大切です。「徐々に仕事に慣れていきたい」などの希望があるなら、最初にしっかり伝えて了承を得ておえば、そのぶん安心して働けます。
看護師がブランクを経て復職する際の注意点
続いては、看護師がブランクを経て復帰する際の注意点をみていきましょう。
再就職希望先・予定先についてリサーチする
勤務予定の医療機関や働く条件について、予め詳しくリサーチしておくことが大切です。これに関しては、ブランク前となんら変わりありません。どんな病院・クリニックでどんな人たちと働くのか、どんな条件で働くのかを詳細まで把握していなければ、ミスマッチが起きる可能性が高くなります。
ブランクがある理由や現在の状況を、再就職希望先や勤務先にきちんと説明する
長期間のブランクを経ての復職に不安がないという場合も、なぜブランクがあるのか、これからはどのように働いていきたいと考えているのかなどを、再就職希望先や勤務先にきちんと説明することはとても大切です。そもそも、「なぜブランクがあるのか」に対してきちんとした説明がなければ、「雇うと厄介なことになるかもしれない」と採用されない可能性もあります。また、今後はどのように働いていきたいのかをきちんと伝えていなければ、思うような働き方ができないことから、またすぐ求職したくなってしまうかもしれません。
家族の同意を得る
ブランクが家庭の事情によるものなら、家族の同意を得てから復職することが大切です。特に、夜勤や残業、早朝出勤、休日出勤の可能性がある職場で働く予定である場合、きちんと同意を得ていないと、「こんなに遅くなるなんて聞いてない」「家族の時間が持てないのは辛い」と揉める可能性があります。
ブランク後の復帰先としておすすめの職場は?
続いては、ブランク後の復帰先としておすすめの職場をピックアップしていきます。
慢性期病棟
長期にわたって療養が必要な患者が入院している慢性期病棟では、急性期病棟のようにイレギュラーなことが起きにくく、一人ひとりの患者とじっくり関わることができます。また、日々の業務はほぼルーティン化されているので、一度慣れれば不安なく業務を続けやすいでしょう。
透析室・透析クリニック
慢性期病棟と似た理由でおすすめなのが、透析室や透析クリニックです。透析は年単位で続ける患者が多いため、患者とじっくり関われますし、業務内容は基本的にルーティン化されています。また、入院病棟ではなくクリニックであれば、夜勤に対応しなくていいというメリットもあるため、ブランク明けで体力に自信がない場合や、育児明けとはいえ家事もこなさなければならない人などにはもってこいです。
回復期病棟
回復期病棟に患者は数か月で退院するケースが多いため、その結果として、短期間でさまざまな症例の患者を担当できます。つまり、短期間で豊富な知識やスキルを身に着けられる可能性が高いといえます。また、回復期病棟の患者は主にリハビリをおこなって過ごすため、作業療法士や理学療法士と接する機会も多く、そのぶん学べることが多いでしょう。
プリセプター制度が導入されている医療機関
プリセプター制度とは、一定期間経験を積んでいる先輩ナース(=プリセプター)が、新人ナースやブランクがあるナースに対して1:1で指導する制度のことです。一般的には、新人看護師を育成するための制度ととらえられていますが、ブランクのある看護師に対してプリセプターがつけられることもあります。
PNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)が導入されている医療機関
PNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)とは、看護師がペアを組んで看護をおこなうことです。ペアは先輩看護士と後輩看護師で組むことが多く、後輩看護師は、先輩看護士の技術を間近で見ながら学べるだけでなく、困ったことがあれば相談することもできますし、また、助け合いながら仕事できるため、先輩看護士にとってもメリットが大きい制度です 。
院内託児所がある、または子育て支援制度が充実している
昨今、医師の働き方改革にスポットがあたっていることもあり、厚生労働省でも、院内保育を推進しています。そのため、院内託児所がある医療機関、子育て支援制度が充実している医療機関は増加傾向にあります。育児明けの復帰でも、24時間対応の託児所がある職場などであれば安心できますね。
保育園
保育園で働く看護師は、園児たちが登園する前の時間帯の8時前後に出勤して、園児が帰宅した後、保育士に必要事項を伝達して、夕方頃に帰宅するのが一般的です。残業などはほとんどないため、出勤時間が朝早いことが問題なければ、働きやすい条件なのではないでしょうか。
健診センター
健康診断や人間ドックをおこなう健診センターも、残業がほとんどなくて土日休みが多いため、働きやすいといえるでしょう。
ブランク後には避けたほうがいい職場は?
続いては、ブランク後には避けたほうがいい職場をピックアップしていきます。
救命センター、急性期病棟
救命センターや急性期病棟はイレギュラーなことが起きやすく、育児明けで家庭との両立を望む人などには向いていません。また、緊急で対応しなければならないことが多い可能性が高いため、わからないことがあっても医師や先輩看護士にゆっくり教えてもらえることも期待できません。
訪問看護
訪問看護師が利用者宅を訪問する時間は、基本的には定時より遅くに設定されることはないため、空き時間に効率よく看護記録をつけたり主治医に連絡をとったりができるタイプならいいですが、そうでない場合、結果的に毎日帰宅が遅くなり、家庭との両立が難しくなることが考えられます。また、訪問看護は診療科ごとにわかれているわけではないため、幅広い疾患について学ぶ必要があり、勉強する時間を捻出することが難しいかもしれません。さらに、利用者の体調が急変した場合など、オンコールにも対応しなければならないため、なかなか気が休まることがありません。
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ブランクがあれば不安になって当たり前
ブランクがあることから復職に不安を抱えていると、「なんで周りのみんなは問題なく復職できているの?」「前みたいに働けると思えない自分はレベルが低いのかもしれない」などと自分を卑下するような気持になってしまうかもしれません。しかし、そんなふうに思う必要はまったくありません。なぜなら、ブランクを経て看護師として復職する際には、多くの人が大なり小なり不安な気持ちを抱くものだからです。しかも、看護師の有資格者はブランクがあっても復職するケースが多いため、同じように不安な気持ちになった経験がある人はたくさんいます。多くの人が通る道で、しかもほとんどの人が復職後も仕事を続けられていることに目を向けると、きっと自分も大丈夫! と前向きな気持ちになれるはずですよ。
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この記事は、2024年5月時点の情報を元に作成しています。