電子カルテを使うのは医師と医療事務だけではありません。看護師も業務のなかで電子カルテを使うことがあるので、正しい操作方法を知っておくことが不可欠です。そこで今回は、看護師に向けて、電子カルテの基本的な操作方法や便利な使い方を解説していきます。
電子カルテの種類とは?
まずは、電子カルテの種類について説明します。電子カルテは、自院内にデータの処理や保存をおこなうサーバーを設置する「オンプレミス型」と、クラウド事業者が有しているサーバーを借りて、データを保管したり取り出したりする「クラウド型」の大きく2種類にわけられます。正確にいうと、院内のサーバーとクラウド事業者のサーバーの両方を利用できる「ハイブリッド型」も存在しますが、現在の主流としては、病院はオンプレミス型、クリニックまたは訪問医療専門の機関などはクラウド型を採用していることが多いです。
そのため、病院勤務の看護師ならオンプレ型、クリニック勤務ならクラウド型を使う可能性が高いということを覚えておいてもいいかもしれません。
看護師が電子カルテを使うシーンは?
続いては、看護師はどんなときに電子カルテを使うことになるのかを説明していきます。
看護師の仕事は、医師の診察や治療の補助および患者の心身のケアです 。看護師は、この2つを遂行するために電子カルテに必要事項を入力したり、医師が入力した内容を確認したり、自身が患者に提供した看護を記録したりします。
具体的には、主に以下のシーンで電子カルテを使うことになります。
上記のうち、“確認”や“参照”に関しては、基本的には該当箇所をクリックして中身を表示すればいいので覚えるべきことは少ないですが、入力操作などが発生することに関しては、慣れないうちはストレスを感じることもあるかもしれません。
看護師が知っておくべき、電子カルテの基本的な操作方法・便利な使い方
ここからは、具体的に電子カルテの操作方法のなかでも、看護師が知っておくべきことをピックアップして説明していきます。
【検索機能】【付箋機能】必要なデータの検索方法
電子カルテに記録されたデータのなかから必要なものを探す場合は、検索機能を活用するのが一般的です。特定の患者のカルテを探したいときも、スマホやPCを使って知りたいことを検索するとき同様、検索窓に名前を入力して表示させることができます。
いつどんな検査をしたのか、どんな薬を処方したのかなども検索して確認することができます 。
また、検索機能とよく似た機能として、必要な情報に目印をつけておくことで後々取り出しやすくする「付箋機能」 も、覚えておくと重宝します。
【テンプレート】【定型文】ひな型を使って入力の手間を省く方法
「テンプレート」とは、患者の状況や病態ごとの必要項目をスムーズに入力できるよう、予め用意されているひな型のこと。「定型文」とは、よく使う文章を登録しておく機能です。「テンプレート」や「定型文」を使うとカルテの入力がスムーズです。「テンプレート」「定型文」ともに、不要な箇所を削除したり、足りない情報を書き足したりと、カスタマイズして使うことも可能です。
【手書き機能】紙カルテ感覚で文字を入力する方法
「手書き機能」が搭載された電子カルテなら、タッチペンで手書きした文字をテキストデータに変換できます。タイピングが苦手な人や、スピーディに打つことに慣れていない人は、この機能を使うことで入力のストレスを減らすことができるでしょう。
【タブレットやスマートフォンの活用】空き時間・移動時間を有効活用する方法
タブレットスマートフォンからも入力可能な電子カルテなら、患者が検査室に移動して待機している間、付き添いながら入力することも可能ですし、訪問看護の利用者宅でバイタルサインなどを直接カルテに入力することもできます。電子カルテの入力のために逐一ステーションに戻る必要がないため、空き時間や移動時間を有効活用することができます。また、褥瘡の状態などをカメラで撮影して電子カルテに取り込むこともできるため、医師との共有もスムーズで、質の高い医療・看護を提供できます。
看護師が電子カルテを使用する際の重要事項
続いては、看護師が電子カルテを使用する際に注意すべきことを解説していきます。
処置をおこなった時間とカルテの入力時間が異なる場合、その旨も入力する
電子カルテには、情報を入力した時間が反映されます。そのため、処置をおこなったらその場で入力するか、もしくは処置の内容と実施した時間をメモしておいて、電子カルテ入力の際には、処置の実施時間をメモから転記します。
記録内容に間違いがないかをしっかり確認する
電子カルテの場合も紙カルテの場合も、カルテに記載した内容に誤りがあってはなりません。たとえば、処方する薬やその量に誤りがあれば、医療事故につながることも考えられます。そのため、カルテに入力するたび、間違いがないかどうかをしっかりと確認する習慣をつけることが大切です。
編集する際には元のデータを削除してはならない
電子カルテに入力した情報を編集する場合、元のデータを削除してはなりません。なぜかというと、データの改ざんを疑われてしまうからです。そのため、間違いが見付かって編集が必要となった場合、元のデータを残した状態で正しい情報も入力して、編集した日時および場所、担当者も記録します。
看護師が電子カルテの適切な活用方法をマスターするには?
続いては、看護師が電子カルテの適切な活用方法を習得する方法を紹介していきます。
研修や説明会を開催する
研修や説明会を実施すれば、看護師がスムーズに操作方法を理解することができます。電子カルテ導入時には、メーカーのスタッフが研修や説明会をおこなってくれることが多いですが、電子カルテの操作に不安がある場合、それ以外のタイミングでも、随時、研修や説明会の開催を検討するといいでしょう。電子カルテをうまく使いこなせていないスタッフが1名もしくは数名しかいない場合は、電子カルテの操作が得意なスタッフがマンツーマンで教えるのも一手です。
自院用にアレンジしたマニュアルを作成する
操作方法に関してわからないことがあっても、基本的にはマニュアルで調べればわかります。しかし、電子カルテの操作に慣れていない人、苦手意識がある人は、マニュアルを読んでも問題を解決できない場合が多いでしょう。また、マニュアルのどこに知りたいことが書かれているのかを見付けられないということもあるかもしれません。
では、どうすればマニュアルを読むことで問題を解決できるようになる可能性が高いかというと、まずは、看護師が業務をおこなううえで必要な操作部分の説明のみをピックアップするなどして、自院用にまとめることをおすすめします。また、アレンジしたマニュアルをもとに、改めて説明会を開催してもいいかもしれません。
メーカーからのサポートを受ける
操作方法について、マニュアルを読んでもわからないことがある場合などは、メーカーに電話などで問い合わせるという方法もあります。直接説明してもらえば、より使いやすい方法などを知ることができる場合もあるので、使いやすさが格段に上がる可能性もあります。ただし、一から十まで説明を受けないとわからない状況であると、毎回電話しなくてはならないため逆に非効率なので、頻繁に問い合わせが必要な状況であるなら、説明会を再度開催してもらうことを検討したほうがいいでしょう。
まとめ
電子カルテの操作に不慣れなスタッフが入職する可能性や、電子カルテをより有効に活用することなどを考えても、電子カルテメーカーを選ぶ際には、「サポート体制が整っているかどうか」をしっかりとチェックすることが大切です。電子カルテの公式サイトを確認することはもちろん、問い合わせやデモなどを通して、サポートの良し悪しを見極めるようにしてくださいね。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2024年10月時点の情報を元に作成しています。