産業医の年収の平均は? 専属産業医と嘱託産業医だとどちらが儲かる?

医師のキャリアパスのひとつである産業医は、社会的にも重要な役割を果たすことができるため、チャレンジしたいと考えている医師は多いのではないでしょうか。実際にチャレンジするとなると、収入面的に満足できるものであるのかが気になりますが、いったいどのくらい稼げるのでしょうか? 詳しく解説していきます。

目次
  1. 産業医とは
  2. 産業医になるには
    1. 日本医師会認定の産業医学基礎研修とは
    2. 産業医科大学の産業医学基本講座とは
    3. 労働衛生コンサルタント試験とは
  3. 産業医の年収の平均は?
  4. 専属産業医、嘱託産業医とは?
    1. 専属産業医とは
    2. 嘱託産業医とは
  5. 専属産業医と嘱託産業医だとどちらが儲かる?
  6. 専属産業医、嘱託産業医はどんな医師に向いている?
    1. 専属産業医に向いている医師とは
    2. 嘱託産業医に向いている医師とは
  7. まずは嘱託産業医として働いてみよう

産業医とは

産業医とは、労働者が事業場において、健康で快適な作業環境のもとで仕事できるよう、専門的立場から指導ならびに助言する医師のことです。産業医には、産業保健の理念を理解して、労働者の健康障害を予防するに十分な専門的知識を有していることに加え、労働者の心身の健康の保持増進に寄与することが求められます。

参照:公益社団法人東京都医師会「産業医とは」

また、具体的な仕事内容は、労働安全衛生規則第14条第1項において次のように定められています。

1. 健康診断の実施とその結果に基づく措置
2. 長時間労働者に対する面接指導・その結果に基づく措置
3. ストレスチェックとストレスチェックにおける高ストレス者への面接指導その結果に基づく措置
4. 作業環境の維持管理
5. 作業管理
6. 上記以外の労働者の健康管理
7. 健康教育、健康相談、労働者の健康の保持増進のための措置
8. 衛生教育
9. 労働者の健康障害の原因の調査、再発防止のための措置

これに加えて、月に1回程度の職場巡視や衛生委員会への参加、長時間労働者に関する情報を把握することなども大切です。

参照:e-GOV 法令検索「労働安全衛生規則」

参照:厚生労働省「中小企業従事者のために産業医ができること」

産業医になるには

産業医として仕事するためには、以下のいずれかの条件を満たしている必要があります。このことは、労働安全衛生規則第14条第2項において定められています。

1. 厚生労動大臣が定める産業医研修の修了者
なお、これに該当する研修会は日本医師会認定の産業医学基礎研修および産業医科大学の産業医学基本講座です
2. 労働衛生コンサルタント試験(試験区分は保健衛生)に合格した者
3. 大学において労働衛生を担当する教授、助教授、常勤講師の職にある者、またはあった者
4. 産業医の養成課程を設置している産業医科大学その他の大学で、厚生労働大臣が指定するものにおいて当該過程を修めて卒業して、その大学がおこなう実習を履修した者
5. 1~4以外で、厚生労働大臣が定める者

参照:日本医師会「産業医とは」

参照:e-GOV 法令検索「労働安全衛生規則」

上記1~5のうち、3以降の条件を満たすのは簡単ではありませんが、1は単位を取得すればクリアすることが可能で、2は試験に合格することでクリアすることができます。

日本医師会認定の産業医学基礎研修とは

日本医師会認定の産業医学基礎研修は、産業医として必要な知識習得のための入門的研修である「前期研修」14単位以上、「実地研修」10単位以上、地域の特性を考慮した実務的かつ専門的な研修である「後期研修」26単位以上の50単位以上を取得する必要があります。1時間の研修を受けると1単位取得できるため、50時間以上の研修を受けなければならないということになります。

参照:日本医師会「日医認定産業医制度指定研修会一覧」

産業医科大学の産業医学基本講座とは

産業医科大学の産業医学基本講座は、毎年4月から約2か月間にわたって月~金に開催されます。開催場所は福岡県北九州市の産業医科大学です。もしくは、6か月から約5か月間にわたって、火・木曜日の夜間および隔週土曜日にも開催されていますが、後者に関しては、開催場所は東京都千代田区の産業医科大学東京事務局となっています 。

参照:産業医科大学「産業医学基本講座 概要」

労働衛生コンサルタント試験とは

労働衛生コンサルタント試験とは、労働安全衛生法に基づいて厚生労働大臣がおこなっている国家試験です。試験区分は「保健衛生」「労働衛生工学」の2区分にわかれており、産業医資格を得るためには、このうち「保健衛生」の区分で合格する必要があります。医師免許があれば受験することが可能ですが、難易度は高いとされています。

参照:公益財団法人安全衛生技術試験協会「労働衛生コンサルタントの紹介」

産業医の年収の平均は?

続いては本題である、産業医の平均年収について解説します。産業医の平均年収に関する正式なデータはありませんが、各種求人情報サイトなどを参考にすると、およそ1,100万円~1,300万円であることがわかりま す。ただし、これは企業に属して働く「専属産業医」の場合です。産業医は、「専属産業医」と「嘱託産業医」の大きく2パターンにわけることができますが、このうちいずれの働き方であるかによって、働く時間や給与の額が変わってきます。

嘱託産業医についてはこのあと詳しく解説しますが、嘱託産業医として非常勤で働く場合、給与は時給制もしくは単価制になります。時給制の場合、目安となる金額は8,000円~15,000円程度で、単価制の場合、2時間で4~5万円程度が目安になります。

専属産業医、嘱託産業医とは?

続けて、専属産業医、嘱託産業医について詳しく解説していきます。

専属産業医 嘱託産業医
勤務形態 常勤 非常勤
雇用先企業の労働者数 1,000人以上または常時500人以上が有害業務に従事 50~999人
(常時500人以上が有害業務に従事する事業場を除く)
勤務時間 週3日以上、1日3時間以上 月1回以上

専属産業医とは

専属産業医は、労働者が1,000人以上もしくは常時500人以上の労働者が有害業務に従事している事業所において選任される産業医です。通常、その事業場専属で産業医活動をおこなうため“専属”という言葉がついてはいますが、非常勤の産業医を兼任することが認められています 。ただし、専業産業医としての活動に支障をきたさないよう、非常勤として働く事業場までは一定範囲内の距離であることなど、いくつかの条件が定められています。

嘱託産業医とは

嘱託産業医とは、事業場に非常勤で勤務する産業医のことです。月に1回~数回程度で事業所を訪れて、事業場内の巡視や労働者との面談、ストレスチェック、健康指導などをおこないます。一般的に、開業医や勤務医が副業として嘱託産業医の仕事を請け負っており、2社以上の企業の嘱託産業医を務めることも可能であるため、複数の企業で嘱託産業医として給与を得ている医師もいます。

専属産業医と嘱託産業医だとどちらが儲かる?

専属産業医と嘱託産業医のどちらが儲かるかは、働く時間や、契約を結んでいる企業の数などにもよるため、一概には言えません。ただし、「最高年収を目指して働いた場合はどちらが儲かるか?」ということになると、嘱託産業医のほうが有利である可能性が高いといえます。なぜなら、専属産業医として働いた場合、前述の通り、条件を満たせば嘱託産業医を兼務することも可能なため、「専属産業医の年収+嘱託産業医として稼いだ金額」が年収ということになりますが、前述の平均年収に加えて、嘱託産業医として月1回、単価5万円を得たとしても、プラス60万円にしかなりません。

一方、開業医や勤務医としての収入を得ながら、嘱託産業医としても稼いだ場合、いくつもの企業と嘱託産業医として契約を結べば、専属産業医の年収を上回る可能性が十分にあるといえるでしょう。

専属産業医、嘱託産業医はどんな医師に向いている?

続いては、専属産業医、嘱託産業医はそれぞれどんな医師に向いているのかを説明していきます。

専属産業医に向いている医師とは

前述の通り、専属産業医になると高収入を目指すことは難しくなりますが、「基本的に定時で帰宅できる」「当直などもなくワークライフバランスがとりやすい」「充実した福利厚生を受けられる」などのメリットを享受できます。そのため、家族との時間を大切にしたい医師や、子育てと仕事を両立したい医師などには向いているといえるでしょう。

また、医学的観点から労働環境改善について考え、事業場の労働者をサポートすることそのものにやりがいを感じる人にはぴったりです。嘱託産業医の場合も基本的には同じ業務をこなすことになりますが、専属産業医のほうが事業場にいる時間が長く、労働者と関わる機会も多いことから、労働者の変化に気づきやすく、より強固なサポート体制を築くことができるでしょう。

もちろん、異業種の人とコミュニケーションをとること自体が好きな人にも向いています。興味のある業界であればなおさら、そこで働く人の話を聞きながら、自分にできるサポートを考えることを楽しめるでしょう。

嘱託産業医に向いている医師とは

嘱託産業医は非常勤として働くことになるため、本業に支障をきたさないよう、きちんと時間管理できる人が向いています。特に、複数の企業と契約を結ぶ場合は、「X曜日のX時からXX社、Y曜日のY時からYY社」などのスケジュールを把握して効率よく動く必要があるため、セルフマネジメント力が不可欠です。

もちろん、決められた時間に決められた場所に行くだけでなく、それぞれの会社とメールや電話でやりとりしたり、必要な書類を作成して送付したりといった作業も必要になってきます。

また、複数の企業と契約を結ぶためには、自分を売り込む能力も不可欠ですし、いざ契約が取れたら、毎月の業務を確実にこなす必要があるので、常にタイムパフォーマンスを意識しながら働くことが求められます。

まずは嘱託産業医として働いてみよう

産業医として活躍したいと考えているなら、専属産業医を目指す場合も嘱託産業医を目指す場合も、まずは一社の嘱託産業医を経験してみるのがおすすめです。現状、勤務医でも開業医でも、普段はおこなうことがない業務もこなさなくてはならないため、経験を積みながら慣れていくことが大切だからです。実際に産業医として働いてみた結果、産業医の仕事が自分に向いていると感じた場合は、契約する企業を増やすなり、専属産業医の募集を探すなりして、働き方をシフトしていけるといいですね。

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提供形態

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診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、