仮説と検証のススメ〜梅華会・梅岡比俊先生の「クリニック開業・経営ベストプラクティス」#8〜

事業を成長させるためには仮説と検証のサイクルを素早く回していくことが重要と言われています。1つ目の理由としては、仮説を立てることで、有限な資源を効率よく使うことがでできる点。2つ目は、検証を行うことで、仮説の良し悪しが判断でき、次に立てる仮説の精度が高まる点です。

例えば、開業前のクリニックにおいては、自身のコンセプトに合った場所の仮説を立て、クリニックの立地候補を決める。その後に、地域の人口や時間帯別の通行量、競合状況などから想定患者数を評価し、計画と乖離が出る場合は、候補地を変えたり、ときにはコンセプト自体を変更したりし、検証プロセスを回していきます。

第8弾となる今回はこういった「仮説と検証」をテーマに、兵庫県や東京都に計8クリニックを経営する、「医療法人 梅華会」の理事長である梅岡比俊医師にお話いただきます。梅岡医師が実際にクリニック運営で行っている仮説検証プロセスを具体的にご紹介します。

以降は梅岡医師によるアドバイスとなります。

目次
  1. 診療圏調査と人口動態調査は基本中の基本
  2. 定量調査だけではなく定性調査も重要

診療圏調査と人口動態調査は基本中の基本

仮説と検証は、クリニックの開業において重要な役割を果たします。開業前に、ターゲットとする患者層、競合他社、集患戦略、マーケティング活動などについて、様々な仮説を立てましょう。そして、これらの仮説を検証するために、診療圏調査を行うことが重要です。

診療圏調査とは、クリニックの開業場所周辺の地域特性を把握するための調査です。診療圏調査を行うことで、自院のターゲットとなる患者層がどのくらいいるか、競合他社がどのくらいいるのか、などを把握することができます。この情報を基に、自院の開業場所をより適切に選定することができます。

例えば、人口動態調査を行うことで、自院のターゲットとなる患者層の年齢層や性別を把握することができます。また、競合他社の調査を行うことで、自院と同じような診療科目やサービスを提供しているクリニックがどのくらいあるのかを把握することができます。

診療圏調査の結果をもとに、仮説を検証し、開業計画を修正していくことが大切です。仮説が正しかった場合は、そのまま開業計画を進めることができますが、仮説が間違っていた場合は、開業計画を変更する必要があります。

診療圏調査は、クリニックの開業計画をより具体的かつ現実的なものにするために欠かせません。

定量調査だけではなく定性調査も重要

最近ではアプリやWEBサイトから自分で簡単に診療圏調査を実施することが可能なようです。調べたいエリアの人口・受療率・競合医院数を使うことでおおまかな推定患者数を出すことができます。

その他、機器卸会社や薬剤卸会社、開業コンサル、薬局など、様々な機関でも診療圏調査を行ってくれます。

ここで大切なのは、1社のみに依頼するのではなく、複数の機関に依頼したほうが良いということ。その理由は、各社の競合への見解が全く違うためです。

人口・受療率・競合医院数は同じでも、その競合の強さは分かりません。例えばその競合は65歳くらいの年配の先生が診ているかもしれないし、診療時間が短いクリニックかもしれないし、複数の科目をセットで診てくれるクリニックかもしれません。しっかり分析しないと競合の強みが何なのかは見えてこないからです。そこはデジタルだけで判断することは難しいので、目検というか、アナログの要素も必要になってきます。

つまり、定量調査だけでなく、定性調査も行ってくれる機関を選ぶべきだということです。

定量調査のみ実施している機関は多くありますが、定性調査を実施している機関はまだまだ少ないと感じています。ただ比較はしたいので、私は定量調査のみの機関も利用し、参考材料の一つにしています。

同じ半径1kmだとしても、例えば住宅を挟んでの1kmと川・海・山・大きな道路や大きな橋を挟んでの1kmとでは全然違いますからね。

そのように複数社で診療圏調査を実施することで、これまで7院開院したうち、6院は想定通りの結果となりました。では残り1院が想定通りにならなかった原因は何なのか。梅華会のブランドを信用し過ぎていたことと、競合のクリニックが想定よりも強かったということです。そのクリニックからうちのクリニックに乗り換える動機付けが弱かったと感じています。そのとき改めて「競合が強いとこれだけ集患が大変になるんだ」ということを痛感しました。

また、それまで開院したクリニックが全て想定通りに運営できていた経験も、私自身の見立てを甘くしてしまい、「今までなんとかなって来たし、これくらい大丈夫か」と楽観視し、低い数値を見ても、対策を練らないという事態を招いてしまいました。

これから診療圏調査を実施する先生には、定量調査と定性調査の両方から、しっかりを分析することをお勧めします。

Mac・Windows・iPadで自由に操作、マニュア ルいらずで最短クリック数で診療効率アップ

特徴

1.使いやすさを追求したUI・UX ・ゲーム事業で培って来た視認性・操作性を追求したシンプルな画面設計 ・必要な情報のみ瞬時に呼び出すことが出来るため、診療中のストレスを軽減 2.診療中の工数削減 ・AIによる自動学習機能、セット作成機能、クイック登録機能等 ・カルテ入力時間の大幅削減による患者様と向き合う時間を増加 3.予約機能・グループ医院管理機能による経営サポート ・電子カルテ内の予約システムとの連動、グループ医院管理機能を活用することにより経営サポート実現 ・さらにオンライン診療の搭載による効率的・効果的な診療体制実現

対象規模

無床クリニック向け 在宅向け

オプション機能

オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、

執筆 医療法人 梅華会 理事長 梅岡比俊

1973年生。
2008年、「梅岡耳鼻咽喉科クリニック」を開設。
2011年に医療法人梅華会理事長に就任し、分院開設。
以降は2021年までに分院・フランチャイズなど合わせて9つの施設を開設する。
『卓越したクリニック運営が日本に普及浸透し、関わる人々を幸せにする』をミッションに掲げた開業医コミュニティ「M.A.F ( https://maf-j.com/ ) 」も主催する。
トライアスロンやマラソンに挑戦するアスリートの一面や、野菜ソムリエ、歴史能力検定。ファスティングマイスターなどの各種資格も併せ持つ。


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