著作権のある音楽は、許可なく公共の場で流すことが禁じられていますよね。では、クリニックの待合室でBGMを流したい場合は、どのような点に注意すればいいのでしょうか? 今回は、医療機関での「音楽著作権」についてまとめてみました。
クリニックで音楽を流す場合は許諾を得る必要はナシ
市販のCDやインターネットで配信された『一般社団法人 日本音楽著作権協会』(以下、JASRAC)の管理楽曲を、施設内でBGMとして流す場合、一般的にはオンラインや郵送で使用申請をし、許諾を得ないといけません。使用料は施設の規模と使用期間によって決まっており、例えば店舗面積が500平方メートル以下の施設は、年に6,000円(別途税が必要)となっています。
しかし、これはあくまで一般的な施設の場合で、実は医療施設(医療法・介護保険法に基づく施設)での利用は「使用料免除」。つまり、お金を支払う必要はありません。従って、JASRACへの許諾手続きをする必要もないのです。
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これはJASRACの「使用料規定 第12節 BGM」で以下のように定められています。
福祉、医療もしくは教育機関での利用、事務所・工場等での主として従業員のみを対象とした利用又は露店等での短時間かつ軽微な利用であって、著作権法第38条第1項の規定の適用を受けない利用については、当分の間、使用料を免除する。
ちなみに、上記の文にある「著作権法第38条第1項」は次のようになっています。
公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。
このように著作権法で定められているため、JASRACの管理楽曲をクリニックなど医療施設でBGMとして流しても使用料を支払う必要はないのです。
他に使用許諾を得る必要のない使用法は?
せっかくですので、医療施設以外での「使用許諾を得る必要のない使用法」をまとめてみました。
- テレビやラジオの放送をそのまま流すなど、著作権法第38条3項上で手続きが不要と認められている利用
※インターネットラジオを利用、放送を録音して流す場合、家庭用受信装置以外を利用する場合は手続きが必要です - 福祉施設、教育機関、事務所・工場などで主として従業員のみを対象、露店等での短時間で軽微な利用
- 有線放送など、JASRACと契約を締結している音源提供事業者から音源の提供を受けている場合
- カラオケや生演奏等の利用で既にJASRACと契約している場合
- 著作権が消滅した作品など、JASRAC非管理楽曲のみを流す場合
以上のようなケースでは、使用料は必要なく、JASRACにも使用許諾の申請をする必要はありません。
結論としては、医療機関でBGMを流す際は使用料も許諾も必要ありません。「著作権法第38条第1項」に基づく利用範囲内であれば、待合室でどのような楽曲をBGMに使っても問題ないということです。念のため覚えておくといいでしょう。
参考:『一般社団法人 日本音楽著作権協会』「各種施設でのBGM」
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診療科目
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この記事は、2020年11月時点の情報を元に作成しています。