クリニックなどの医療分野に限らず、あらゆる場面で意思決定のヒントとなる口コミ。良くも悪くも、その影響力は大きくなっています。
今回は「クリニックに向けられる口コミ」について、その性質と書き込む人たちの心理から、対処法をまとめてみました。
患者が「口コミ」を書く理由
ポジティブなものにしろ、ネガティブなものにしろ、人はなぜ口コミを書く(する)のでしょうか?
「人が口コミを書く目的」をまとめると、「良いものは人に薦めたいし、悪いものは同じような経験をする人がいなくなるように伝えたい。そうすることによって、満足感や優越感を得たい」ということですね。
これを踏まえて、クリニックの低評価口コミについて考えていきましょう。
クリニックの低評価口コミに共通する内容と心理
クリニックの口コミは、他の施設やサービスに対するものより低評価になりやすい、という話を耳にしました。
その真偽を調査しようと思うと膨大なデータを比較する必要があるため今回は行っていませんが、「なぜそう言われているのか?」については、実際の低評価口コミの内容から判断できます。以下で見ていきましょう。
クリニックの低評価口コミの代表例
日本医師会が以前行った定例記者会見の資料によると、日本の患者さんが「受けた医療に抱く不満」としては、以下の割合となっています。
中でも多いのが「待ち時間」や「医師の説明(態度や言葉遣いも近いものとして扱います)」などがありました。
実際のクリニックの低評価口コミにも、上記の調査結果とある程度内容が似通ったものが多く見られます。具体的には、以下のようなものです。
※2023年6月時点で、実際のクリニックにつけられている低評価口コミ(Googleで星1になっているもの)を一部抜粋しています。
■待ち時間に因るもの
- 予約して来院しましたが60分以上待たされた
- 1時間待ちと伝えられ2時間待ち
■医師をはじめとするスタッフの接遇に因るもの
- (受付、医師、電話などの)態度が非常に素っ気なく嫌な感じ
- 医者の上から目線、最初から最後までタメ口、聞こうとしない、態度は質問にだけ答えてって感じ
■診察内容に因るもの
- 決めつけで診察されて結局薬も何も出して貰えませんでした
- 喉が痛いと言ったのに全然喉の診察をしてくれませんでした
■予約などのシステムに因るもの
- 完全予約制なので電話しましたが出ないので予約できません
どれも、よく見るものではないでしょうか。
このように、低評価口コミの内容が似通っていることの理由としては、やはりクリニックや病院が「人の苦痛や不安を取り除くもの」である、という点が大きく関わっているように思います。
クリニック側でできることとしてはそれらをいかに無くすか?という点ですが、それについては以下の記事でご紹介していますので、是非ご覧いただけると幸いです。
接遇研修はクリニックの安定した経営に必須|集患にも役立つ具体的な方法とは?
クリニックの待ち時間対策として「患者が望んでいるもの」とは?
クリニックができる低評価口コミへの対処とは?
先述のように、低評価口コミをすくなくするためには、その原因となっている事柄の改善が第一です。
しかし、それができたとしても、いちど書き込まれた口コミは、基本的には残り続けます。
つまり、「低評価口コミそのもの」への対処も必要となってくるのです。この項では、
- 自院に非があった場合
- 自院と患者さんの両方に非があった場合
- 患者さんに非があった場合
の3つに分けて、口コミへの対処法についてご提案します。
自院に非があった場合の口コミ対処法.素直に謝罪する
自院に非があるケースとしては、前述の「医師や受付の接遇が悪い」などが当てはまるかと思います。
まずは口コミにある内容に触れ、その内容に沿った謝罪文と共に、どう改善するのか?についても返事として残しておくと良いでしょう、
口コミをした患者さんが再来院してくれる可能性は低いですが、新規の患者さんがその口コミと返信を見た際に、「丁寧な謝罪をしていて、改善の医師も明確に表している」ことが重要です。
両方に非があった場合の口コミ対処法.謝罪しつつ、事実確認と説明を行う
低評価口コミをする患者さんの中には、自分の怒りに任せて、明らかに不当な内容を書いてしまう方も一部いらっしゃいます。
これは、クリニックだけが悪いとは言い切れない場合でも起こりえます。
口コミだけを見た他の患者さんからすると、クリニックが悪いように映ってしまい、来院しなくなることも少なくありません。
そうした事態を防ぐためにも、「自院のミス」などについてはしっかりと謝罪を行ったうえで、患者さんとの認識の齟齬をなくすためにも、事実関係の説明は行っておいた方が良いでしょう。
その際には決して感情的にならず、冷静に、淡々とその時の状況や発言内容などを明確に記すのみにしておきましょう。当然、個人情報の保護もする必要があります。
患者さんに非があった場合の口コミ対処法.事実を冷静に書き込む(可能であれば削除要請も)
患者さんの中には、クリニックに全く非がないにもかかわらず、一方的な悪評を書き込む方も一部いらっしゃいます。
この場合は(2番目の例にも近しい対応になりますが)、毅然とした態度で、怒りを感じさせない冷静な文章で、事実をしっかりと書き込むといいでしょう。
こちらの場合でも個人情報の保護は前提としたうえで、可能であれば、削除の要請を行ってもいいのかもしれません。
繰り返しになりますが、この方法が可能なのはあくまでも「自院に全くの非がない場合」のみです。それ以外の場合にこれを行うと、一気に患者さんが離れてしまうことにもなりかねませんので、ご注意ください。
悪質な口コミはGoogleに削除依頼を出すことも可能です。
ただし、それが反映されるかどうかについては、その口コミが書き込まれたフォーマットの規則によるところではありますので、すべての低評価口コミが消せるわけではない点にはご留意ください。
例えばGoogleビジネスプロフィールの場合は、以下のようなコンテンツポリシーを設定しています。
Google:マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー(禁止コンテンツ)
このコンテンツポリシーに違反している口コミに限り、Googleでは、以下の手順で口コミの削除を行っています。
Google:Google のビジネス プロフィールからクチコミを削除する
ただし、申請してすぐに反映されるわけではありませんので、前述のように、口コミに対しての冷静なコメントを行っておく必要もあります。
まとめ
クリニックの集患を左右するといっても過言ではない口コミ。
悪い口コミを減らすためにも、より良い口コミを獲得するためにも、まずは自院の体制を改善することが重要です。
しかし、それと同時に、理不尽な口コミに対しては毅然とした対応も必要になってきます。
あまりにも悪質な場合に限り、弁護士など専門機関への相談も視野に入れつつ、対応を行っていきましょう。
可能であれば、何度も通ってくれている患者さんに口コミの依頼をしてみるのもよいでしょう。よい口コミの総数が増えるほど、悪評や悪質な口コミは目立たなくもなりますので、ぜひご検討ください。
特徴
その他特徴
対応業務
診療科目
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この記事は、2023年7月時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
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