クリニックを開業する際、百貨店やショッピングモールといった商業施設や、駅構内の商業スペースを借りるというケースが多く見られます。では、物件を借りる際は、どのような点に注意すべきなのでしょうか? 今回は、「開業時の物件選びで重視すべきポイント」をまとめてみました。
建物の基本的な点は必ずチェック
基本的なことですが「築年数」は重視しましょう。築年数が経過している建物ほど劣化しており、また現在の新耐震基準は1981年に施行されたものなので、それ以前の建物は旧耐震基準によるもの。地震など「もしもの事態」に備えて、できれば1981年以降に建設された、築年数の浅い建物を選ぶべきでしょう。
また、1981年以降であっても、例えば大きな道路に面していて、大型トラックが通るたびに微妙に揺れるという建物も少なからずあります。クリニックは精密機器を扱いますから、揺れるような建物は避けるべき。実際に現場に行ってしばらく滞在し、揺れないかどうかを確かめることも大事です。
2階以上の建物の物件を選ぶ場合は、エレベーターの有無も重要です。病気で苦しむ患者さんを階段で上り下りさせるのは絶対に避けましょう。また、1階にある物件であっても、可能ならばバリアフリーの施設を選択したいところです。
同じフロアの近隣店舗にも注意すべき
物件の「位置」も重視すべきポイントです。フロアの一番奥や、トイレの真横であるなど、立地が悪く、訪れにくい場所は避けるべき。また、患者さんのことを考えるのなら、エスカレーターやエレベーターから離れすぎている場所も好ましくありません。
同じフロアにどのような店が入っているのかも重要です。例えば、クリニックの近くに飲食店がある場合、そのにおいが気になるという患者さんも必ず出てきます。特に熱などで苦しい状態だと、ちょっとしたにおいや音が気になるもの。飲食店や騒がしい施設、またにおいの強い化粧品を扱っているお店が近くにある物件は避けたほうがいいでしょう。
クリニック開業の場合は特に重視したいポイント
クリニックを開業する場合、建物の稼働時間にも注意しましょう。商業施設やビルは例えば「10時から20時まで」など、建物の営業時間が決まっています。もし早朝から診療を始めたい、平日の夜遅くまで診療を続けたいなど、クリニックの方針を定めている場合は、その方針に適しているか、時間制限のない建物を選ぶといいですね。
医療施設の場合、医療設備が問題なく搬入できるかどうかも重要です。医療機器は大型なものもあるため、エレベーターが狭い、通路が通れないなどの理由で搬入できないと元も子もありません。また、搬入だけでなく搬出する際も考慮すべきです。例えば、搬入する際は別々の部品なので入れることができたものの、組み終わった状態では搬出できず、かといって分解するのも難しいという八方ふさがりの事態は避けましょう。
物件自体の「天井の高さ」も見落としてはいけないポイント。医療機器は縦に大きなものも多いため、一般的な物件の天井の高さでは窮屈になったり、エアコンなど別の機器が設置できなくなったりと、トラブルが起こる確率もゼロではありません。実際に見てみないと分からない部分もあるため、図面で見るだけでなく、直接足を運んで高さや間取りを確かめましょう。
クリニックを開業する場合は、一般的な販売店や飲食店とは異なる視点で物件をチェックする必要があります。周辺環境は集患にも多くの影響を与えますし、搬入・搬出ルートや天井の高さは、医療機器の設置という重要な要素に直結します。ささいなチェックミスが運営を左右しかねませんから、物件選びは慎重に行いましょう。
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診療科目
この記事は、2021年3月時点の情報を元に作成しています。