医療施設の多くは、夜間や休日は診療を休みます。しかし、なかには夜間や日曜も診察をするという医療機関も存在します。そこで今回は、夜間や休日に診療を行うことにはどのようなメリット・デメリットがあるのかをまとめてみました。
夜間診療・休日診療のメリットとは?
まずは、夜間診療・休日診療のメリットをみていきます。
夜間や休日に診療を希望する患者から選ばれる(=一定数の患者を獲得できる)
夜間診療・休日診療のメリットでとしてまず挙げられるのが、「夜間や休日に診てもらいたい患者を獲得できること」です。多くの医療機関は夜間や休日は診察を休みにしているため、もしこのタイミングで熱が出たり、具合が悪くなったりした場合、患者はスムーズに診察を受けられないことがあります。そのため、休日に診察を行っていれば、そうした急に具合が悪くなった患者を受け入れることができます。
また、仕事の関係で日中や平日はどうしても病院に行くことができないという人もたくさんいます。そういう人たちが医療機関を受診するには、土曜日しか選択肢がないケースが多いと考えられます。しかし、土曜は午前中で受付を終える医療機関も多いため、必然的に土曜の診察は混雑し、患者にとってはストレスになります。
集患・増患のチャンスが多い
ほかのクリニックと差別化を図ることは集患に影響します。夜間や休日に診療を行っていることは大きな差別化のポイントですが、きっかけは「今日はここしかやっていないからここで診てもらおう」であっても、そのときの診察の印象がよければ、次回からも選んでもらえる可能性が高まりますし、よい口コミが増える可能性も高くなります。
地域に貢献できる
クリニックがある地域で夜間診療・休日診療を行っている医療機関がほかにない場合は特に、地域への貢献度が高くなります。医療機関として地域に貢献することは、地域包括ケアシステムの確立が急がれるなか、特に重要度が増しています。
休日加算・深夜加算がとれる
下記時間帯に受付した患者には、初診・再診関わらず50点の保険点数が加算されます。
平日…18:00~22:00、6:00~8:00
土曜…12:00~22:00、6:00~8:00
日祝…6:00~22:00
そのため、昼間の時間帯に同じ人数を診療するより、単純計算で診療報酬が高くなります。
夜間や休日に診療を行うことにどんなデメリットがある?
続いては、デメリットをみていきます。
スタッフをなかなか採用できない場合がある
ただ、世間とは休みのタイミングがずれてしまうため、求職者から選ばれにくいことはデメリットといえます。ただしもちろん、家庭の事情などで夜間や休日のほうが働きやすい人もいるので、絶対にいい人材を採用できないというわけではありません。
ワークライフバランスを保ちにくい場合がある
世間と休みのタイミングがずれるのは、医師自身にとっても同じこと。そのため、家族との時間が少なくなるなど、ワークライフバランスを保ちにくくなる場合があります。
夜間診療・休日診療を行うかどうかの判断基準は?
上記に述べたことを加味すると、夜間診療や休日診療を行いたいと考えている場合、実際に行うことができるかどうか、行ったほうがいいのかどうかの判断基準は以下の通りとなります。
スタッフの確保が可能かどうか
第一条件としてはスタッフの確保が挙げられます。また、その場合、どんな条件でスタッフを募るのか、日中働いてくれているスタッフに頼む場合はどんな手当を出すのかなども考える必要があります。
もしくは、一人院長の場合であれば、どのタイミングで心身を休ませるのかを考えることも大切です。医師自身が身体を壊しては元も子もありません。
ニーズはあるのか
夜間・休日診療のニーズがどの程度あるのかを考えることもとても大切です。ニーズがあったとしてもほんの僅かであるなら、夜間・休日も診療するというスタイルをとらなくても、時間外診療に十分対応できます。しかも、そうすれば時間外加算がとれるためメリットが大きくなります。
ニーズがあるのかどうかを確かめるには、患者にアンケートをとるなどの方法も有効ですし、たとえば、実験的に週一で夜間診療を行ってみることなども一手です。
「医師の働き方改革」「地域包括ケアシステム構築の重要性」の両方を考えることが大切
夜間・休日診療について考えようとするとその際、自分が希望する働き方と、地域の人たちからのニーズとで板挟みになることもあるかもしれません。医師にも大切にすべき家族がいて、理想とする人生がある一方、困っている人のために役に立つという使命も果たしたいと悩むことがあっても当たり前。そうした壁にぶつかったときは、たとえば、患者のニーズに応えられる体制を整えるためにはどうすればいいかについて、地域の医療機関で話し合ってみるのもひとつの手かもしれません。
また、夜間や休日は診療を行わないことにしつつも、「緊急時には対応できるように体制を整えておく」という方法もあります。
そのほか、「緊急時にはオンライン診療で対応する」などの方法もあるので、さまざまな方法を比較検討しながら、自院にとってのベストを見付けられるといいですね!
特徴
対応業務
その他の業務
診療科目
この記事は、2021年3月時点の情報を元に作成しています。