2014年(平成26年)6月18日に成立した医療法の改正には「医療事故調査制度」が盛り込まれました。施行は2015年(平成27年)10月1日ですが、これによって院内で起こった医療事故については調査報告を行うことが義務付けられました。制度がスタートしてから5年が経過したわけですが、今回はこの「医療事故調査制度」についてご紹介します。
「医療事故」が発生した場合は速やかに報告・調査!
改正された医療法では、「第三章 医療の安全の確保」の中に、
第六条の十
病院、診療所または助産所の管理者は、医療事故が発生した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、当該医療事故の日時、場所および状況その他厚生労働省令で定める事項を第六条の十五第一項の医療事故調査・支援センターに報告しなければならない。
と定めています。また、十一には「病院等の管理者は、医療事故が発生した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、速やかにその原因を明らかにするために必要な調査を行わなければならない」としています。
参照・引用元:『厚生労働省』「改正後の医療法(抄)」
参照・引用元:『厚生労働省』「Q24. 医療事故調査を行うことで、現場の医師の責任が追及されることになりませんか?」
制度発足以降の「医療事故」の件数は?
『一般社団法人 日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)』では、制度発足以降、2015年11月13日から「最新の医療事故調査制度の現況報告」のリポートを出し続けており、このデータを基にすると医療事故の件数は以下のようになります。
【医療事故報告受付件数】※
2015年 | 81件(10~12月) |
2016年 | 406件 |
2017年 | 370件 |
2018年 | 377件 |
2019年 | 373件 |
2020年 | 324件 |
2021年 | 19件(1月のみ) |
2015年10月~2021年01月累計:1,950件
※管理者が本制度の「医療事故」に該当すると判断して報告した件数
参照・引用元:『日本医療安全調査機構』「最新の医療事故調査制度の現況報告」
月次の発生件数をグラフにすると上掲のようになるのですが、制度の施行以降あまり発生件数の変化はないことが分かります。月平均「30.5件」になります。
2015年から施行された「医療事故調査制度」ですが、受け付けられた報告件数はこれまでに1,950件、月平均30.5件であまり変化はありません。しかし、医療事故を起こすと大問題になりますので決して自院で医療事故を起こさぬように、医師・クリニック院長はご注意ください。また、もし起こってしまったら、速やかに報告し、調査に協力するようにお願いいたします。
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この記事は、2021年4月時点の情報を元に作成しています。