厚生労働省が行っている調査に、全国にある病院・診療所などの医療施設の数や病床数を把握する「医療施設動態調査」があります。この調査によると、令和元年10月1日時点での医療施設の数は17万9,426軒。このうち一般診療所は10万2,616軒と非常に多く、今後開業する場合は、激しい患者確保争いは避けられない状況です。では、都道府県別に見た場合、最も競争が少なそうな場所、つまり診療所の数が少ないのはどこなのでしょうか?
一般診療所の数が最も多い都道府県について
『医療施設動態調査(令和元年 5月末概数)』では、「都道府県別にみた施設数及び病床数」もまとめています。まずは一般診療所の数が多い都道府県のTOP10をご紹介します。
第1位 | 東京都 | 1万3,602軒 |
第2位 | 大阪府 | 8,503軒 |
第3位 | 神奈川県 | 6,800軒 |
第4位 | 愛知県 | 5,428軒 |
第5位 | 兵庫県 | 5,111軒 |
第6位 | 福岡県 | 4,714軒 |
第7位 | 埼玉県 | 4,355軒 |
第8位 | 千葉県 | 3,817軒 |
第9位 | 北海道 | 3,398軒 |
第10位 | 静岡県 | 2,728軒 |
日本で最も一般診療所の数が多いのはやはり東京都で1万3,602軒。一般診療所総数の約1割近くが東京にあるということです。ちなみに、東京都が行っている「平成30年医療施設(動態)調査」によると、一般診療所の約1万軒が23区に集中。特に多いのが世田谷区で、平成30年度は887軒。次いで港区の763軒となっています。
ランキングに話を戻すと、2位が大阪府、3位が神奈川県と大都市が順当に上位となっています。また、10位までの都道府県はいずれも人口数も上位。当然ですが、人口の多い地域は医療機関の数も多いというわけですね。
では、反対に「一般診療所の数が少ない」のはどの都道府県なのでしょうか? 同じく『医療施設動態調査(令和元年 5月末概数)』のデータを基に、一般診療所の数が少ない都道府県を以下にまとめてみました。
一般診療所の数が最も少ない都道府県について
第1位 | 鳥取県 | 499軒 |
第2位 | 高知県 | 548軒 |
第3位 | 福井県 | 573軒 |
第4位 | 佐賀県 | 692軒 |
第5位 | 山梨県 | 699軒 |
第6位 | 島根県 | 715軒 |
第7位 | 徳島県 | 725軒 |
第8位 | 富山県 | 758軒 |
第9位 | 秋田県 | 805軒 |
第10位 | 香川県 | 824軒 |
日本で最も一般診療所が少ないのは鳥取県で499軒。東京の1つの区よりも少ない数です。鳥取県は人口55万4,855人で日本最少ということもありますが、比例して医療機関の数も少なくなっています。また、2位の高知県以下も同様でいずれも人口が少ない都道府県です。
ただし、「施設数及び人口10万対施設数」で見た場合は、鳥取県は89.4で全国的に見てそこまで少なくありません。島根県も715軒しかありませんが、10万人当たりの一般診療所の数は106.1と、全国でも数少ない100を超えている県。「人口10万対施設数」が最少なのは、実は埼玉県。「令和元(2019)年 医療施設(動態)調査・病院報告」では59.6となっています。一般診療所の数は全国7番目ですが、人口で見ると一般診療所の数はそこまで多くないのです。
一般診療所の数が多い都道府県、少ない都道府県をご紹介しました。最多は東京都、最少は鳥取県となりましたが、上述のように鳥取県は人口も少ないため、一般診療所のニーズもそこまで高くありません。むしろ、人口当たりの医師の数が少ない埼玉県のほうが、狙い目といえるのかもしれません。
データ引用元
厚生労働省『令和元(2019)年 医療施設(動態)調査・病院報告』
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2021年5月時点の情報を元に作成しています。