団塊世代が後期高齢者になる2025年問題を控え、在宅医療の拡充は日本の医療を支える重要な屋台骨として期待が高まっています。
医療関連機関データベースの「SCUELデータベース」が示した、人口あたりの在宅時医学総合管理料の届出件数「エリア別 在宅医療に関する実態調査」によると、東京都は65歳以上人口10万人あたり86.2件、都区部中央のみで見ていくと157.2件と、全国的に見ても在宅医療の実施数が多いことが分かります。
では、東京都の在宅医療で、患者需要を満たしながらクリニック経営を続けていくにはどうすればいいのでしょうか。
今回は在宅医療を含めたクリニック経営を行うための準備として、東京都の在宅医療の現状を解説します。
需要が供給を上回る、東京都の在宅医療の現状
公益財団法人在宅医療女性勇美記念財団の「在宅医療に熱心な医療機関」の登録数において東京は115件。隣接する千葉22件・埼玉24件・神奈川42件と比較しても圧倒的に多くなっています。
一方で平成28年に東京都が行った調査によると、都民の38%が「自宅で最期を迎えたい」と希望しているのにもかかわらず、8割以上が病院で最期を迎えています。
このような需要に対する供給のズレや、さらなる高齢化社会の到来を見据えて、
東京都医師会では2017年から在宅医療協議会を設置しました。同時に、在宅医療の諸問題を検討し、在宅医療の参入をためらう医師のための「東京在宅医療塾」を開講しています。
東京在宅医療塾
在宅医療に必要な知識や技術をわかりやすく学べる、訪問診療未経験の医師を対象にした医療塾。第1期は2017年9月〜2018年5月まで全9回を開催し、第2期は2018年9月から2019年3月まで全6回。講義のほか、東京都医師会の医療トレーニングセンターに整備した医療トレーニングシミュレータを使用して手技を学ぶなど多岐にわたる内容になっている。また、東京都医師会員であればホームページからでも動画が閲覧できるため、医師個人での勉強に役立てることも可能。
(参考:公益社団法人東京都医師会 https://www.tokyo.med.or.jp/zaitakuiryoujuku)
在宅医療の第一歩は、周辺地域の需要の把握
在宅医療の第一人者であり、首都圏15拠点・24時間対応で機能強化型在宅療養支援診療所を展開する、医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長の佐々木淳医師は、「在宅医療の開業には地域のリアルなニーズの把握が必要だ」と述べています。
正確な情報を把握するには、地域の介護事業所や病院をまわった方がいいと思います。私は病院の退院支援室に行き、スタッフに「どんな患者さんたちの退院支援で苦労していますか?」と聞きました。地域で不足している受け皿を認識して、小児がんの受け皿がなければそこを担い、高齢者で困っていなければ高齢者向けの在宅医療はやらない。こういったリアルなニーズまで、開業コンサルは調べてくれません。医師のみなさんには、自分が開業する、もしくは開業しているクリニックの地域にある介護・医療機関を自分の足でまわってほしいです。それが地域の一員になるというプロセスだとも思います。
引用元:CLIUSクリニック開業マガジン 首都圏15拠点・24時間対応でクリニックを展開する医師が「在宅医療」をよりよいかたちで継続させるための工夫を明かす
まとめ
東京は、都心部を中心に、在宅医療は充実していく傾向が見受けられ、需要が共有を上回る期間は意外と長く続かないかもしれません。
在宅医療を含めたクリニック経営で重要なのは、まずは適切なニーズの把握です。
今回紹介した情報を生かし、長期的に安定したクリニック経営に役立てみてはいかがでしょうか。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2021年6月時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。
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