スタッフを大切にすることは、健全な病院経営に最も直結すると言っても過言ではありません。特に、開院したばかりだとそのことが顕著です。
スタッフを大切にする方法は、昇給や福利厚生の充実などいくらでも挙げられます。しかし今回は、そういったわかりやすい方法以外でスタッフのためにできることを、わたしのが経営に携わっているクリニックでの失敗談を通して紹介致します。
失敗談
1.スタッフの心情を軽視
朝、あいさつしたときから元気がなく、心ここにあらずといった感じの若い女性スタッフがいました。普段は元気かつ仕事も効率よくこなす、非の打ち所がないスタッフでした。しかし、その日はあまりにも様子が違い、何かあったのかと心配になったので聞いてみることにしました。すると、2年間付き合っていた彼氏と前日に別れたことが原因だとわかりました。
わたしは、家族が体調不良で心配またはスタッフ間の人間関係がうまくいっていないのかなどと想像していたため、正直呆気にとられてしまいました。プロとして働く以上、恋愛に悩んでいる様子を周囲に見せてほしくないと思ったからです。そのため、「そのようなことで仕事に支障をきたすな」と厳しく注意をしてしまいました。
注意をしましたが、その後、仕事にミスも出始め、患者様に渡す薬を間違えたり、呼ぶ患者様を間違えたりといった取返しがつかないミスまで犯していました。
さらに次の日は無断欠勤。3日後には退職願が届き、彼女は退職してしまいました。
2.残ったスタッフへの配慮を欠いた
退職願が届いたため、その欠けたスタッフの穴を他のスタッフが埋めなければいけなくなりました。穴埋めをするスタッフからすれば正直「なぜわたしが」です。しかし、業務を遂行するためにはそのような「なぜ」を気にしているわけにはいかず、勤務を強行しました。
結果、クリニック全体の仕事のパフォーマンスが下がり、以前は起きなかったミスも起き始めました。それだけでなく、スタッフ間の人間関係も悪くなってしまいました。
スタッフを大切にするには
スタッフのどんな心情にも寄り添う
正直、恋人と別れたという理由で仕事に影響を及ぼすなど言語道断だと考える経営者は大半だと思います。わたしもそういう考えでした。しかし、そうではない人もいるのだと気付かされました。彼女にとっては恋愛がすごく大事なことで、仕事は二の次だったのかもしれません。ただ、そこに一定の理解を示さないと離職率が高くなります。離職率が高くても次にまた募集をかければいいと考えていると、いつまで経っても経営が安定しません。
そうならないために、わたしは今では、仕事に影響がありそうな心配事を抱えているスタッフには数時間の休憩や早退をすすめるようにしています。そのことに感謝を覚えたスタッフは、心が落ち着くとこれまで以上に真摯に仕事に向き合ってくれます。
一人のスタッフに対して、親身になり、適切に配慮すると他のスタッフに派生する負の連鎖のようなものは起きませんでした。
まとめ
わたしは今となっては、スタッフを大切にすることにはメリットしかないと思っています。
しかし、開院当初は患者を増やすため、業務至上主義でした。スタッフのことなど二の次で軽視していました。その結果は散々なもの。患者数の伸び悩み、売上の減少に繋がりました。そのため、病院の基盤が安定するのに2年ぐらい時間を費やしてしまいました。
これらのわたしのクリニックの失敗談から、経営する病院を長期安定させるにはまずスタッフを大切にすることが大切だとわかっていただけると幸いです。
特徴
対応業務
診療科目
この記事は、2021年6月時点の情報を元に作成しています。