今から開業するなら何科がベスト?開業しやすい診療科およびそのポイント

将来開業しようと考えている医師にとって、「希望している診療科が開業しやすいかどうか」は気になるところ。開業がうまくいかなければキャリアをアップデートすることもできませんし、無理に開業してまったく稼ぐことができなければ結局は勤務医に戻る結果になってしまいます。そこで今回は、開業しやすい診療科とそのポイントについて解説していきます。

目次
  1. 今、もっともニーズがある診療科は何科?
  2. 減り続ける診療科目件数について
  3. 診療科別・開業のポイント
    1. 1. 内科
    2. 2. 小児科
    3. 3. 整形外科、リハビリテーション科
    4. 4. 眼科
    5. 5. 皮膚科
    6. 6. 耳鼻咽喉科
    7. 7. 産婦・婦人科
    8. 8. 精神科・心療内科
  4. そもそも開業に初期費用はいくらかかるの?
    1. 1. 内科
    2. 2. 小児科
    3. 3. 整形外科、リハビリテーション科
    4. 4. 眼科
    5. 5. 皮膚科
    6. 7. 産科・婦人科
    7. 8. 精神科・心療内科
  5. 失敗しない開業のコツを知りたい
    1. 1. 自分の強みを活かす
    2. 2. 事前にしっかりとマーケティングをおこなう
    3. 3. 損益分岐点を試算しておく
    4. 4. 自己資金すべてを継ぎこまない
    5. 5. パート採用も考える
    6. 6. 自院サイトをまめに更新する、SEO対策を取る
  6. 開業までにやるべきことはたくさんある

今、もっともニーズがある診療科は何科?

まず、「開業=診療科を標榜」と捉えるなら、開業のしやすさは麻酔科と歯科以外は同じ。なぜなら、医師免許を持っていさえすれば、麻酔科と歯科以外は自由に標榜することができるからです。ただし、たとえば眼科を専門としているのに内科を標榜すれば、患者の信用問題に係わりかねません。開業医として成功するためには、ニーズ以前に考えなければならないことがあることは言うまでもありません。

それを踏まえたうえでニーズについて考えると、第一に思い浮かぶのが、日本が超高齢化社会に突入しているという背景です。そうした社会情勢のもと、高齢者がかかりやすい疾患を診ることができる医者、健康な身体を取り戻すためのサポートをおこなってくれる医者のニーズが高まっていることを考えると、「開業して成功しやすい診療科」のひとつの答えがみえてきます。事実、厚生労働省が公表している「医療施設(動態)調査・病院報告」によると、2016(平成28)年時点で、前年と比較した増加している診療科目施設の上位3つが、超高齢化社会に関連するものです。この調査結果によると、以下5つをまとめてみました。

第1位 糖尿病内科(代謝内科) 84件
第2位 リハビリテーション科 71件
第3位 腎臓内科 70件
第4位 救急科 56件
第5位 心臓血管外科 46件

上位3つの年別上昇推移を確認していても、4年連続増加傾向となっています。

診療科 2016年前年比増加件数 2017年 前年比増加件数 2018年前年比増加件数 2019年前年比増加件数
糖尿病内科(代謝内科) 70 71 59 61
リハビリテーション科 84 110 55 45
腎臓内科 44 83 43 28

減り続ける診療科目件数について

上記とは逆に、2016年~2019年の間に減り続けている診療科目についても着目してみましょう。

診療科目 2016年(前年比) 2017年(前年比) 2018年(前年比) 2019年(前年比) 合計
外科 -45 -45 -46 -28 -164
内科 -24 -14 -26 -54 -118
小児科 -24 -26 -25 -28 -103
産婦人科 -23 -9 -11 -12 -55
放射線科 -3 -12 -10 -25 -50

4年間で減り続けている診療科目は外科・内科が大きく現象していました。

そこで、令和元年度の診療科目数と過去4年間の減少合計の数での割合を示した場合、外科では3.6%、内科では1.8%、小児科では4.1%といった減少率のため、決して少ない数字ではないことがわかります。

診療科 過去4年減少件数 令和元年診療科目数 割合
外科 164 4,500 3.60%
内科 118 6,705 1.80%
小児科 103 2,539 4.10%
産婦人科 55 1,104 5.00%
放射線科 50 3,340 1.50%

この事から診療科目数によって、世の中の診療科の需要を図ることが重要になってくるかと考えます。

診療科別・開業のポイント

また、「超高齢化社会」以外にキーワードとなってくるのが、「少子化」や「ストレス社会」。いずれの診療科の場合も、これらのキーワードを踏まえた診療のニーズが高まっているといえます。では、主な診療科別に、これから開業する場合のポイントをみていきましょう。

1. 内科

内科を訪れる患者のほとんどが、病院の近くに住んでいるか勤務先が近いかであるといっても過言ではありません。風邪や発熱などの症状を診てもらうために、電車を乗り継いで遠くの病院を訪れようと思う人は少ないものです。そのため、これから内科医として開業するなら、「エリア内に競合が少ない」「駅近で患者が通いやすい」などを考えることはもちろん、近隣の内科との差別化を打ち出すことが大切です。たとえば、超高齢化社会やストレス社会のことを考えると、「糖尿病内科などの専門性を打ち出す」「在宅患者への対応」なども思い浮かぶでしょう。また、利便性を追求する患者のために、以下の事を対応しておくと差別化にも繋がります。

  • 当日の検査や手術での治療
  • 夜間や休日の診察
  • 駐車場の確保

地域住民の健康を守るために、「市民検診の実施」「精密検査をおこなうことができる規模の大きな病院との連携」も考えたいものです。

2. 小児科

日本では少子化が進んでいることから、小児科専門医数も減少している傾向にあります。では、小児科医として開業するならどんな点に気を付けたらいいかというと、まずは立地です。若いファミリー層が多く住んでいるエリアや、子ども服専門店が進出しているエリアは狙い目。物件選びの際には、以下のポイントを満たしていく事をチェックしていきましょう。

  • 院内感染を防ぐ隔離室を設けられるだけの広さがある
  • 乳児検診室や授乳室、おむつ替えスペースなども備えられる
  • バリアフリーでベビーカーでもスムーズに移動できる
  • 駐車場や駐輪場は患者全員が停められるよう広めに確保

3. 整形外科、リハビリテーション科

運動機能のリハビリを必要とする高齢者が増えている昨今、整形外科およびリハビリテーション科のニーズは非常に高まっています。しかし、患者数が増えた結果、「待ち時間が長い」「予約が取りづらい」などの問題が深刻化しているうえ、「理学療法士やリハビリスタッフが親身になってくれない」「最新のリハビリ機器で治療を受けることができない」などの理由から、診療所を移る患者も多くみられます。裏を返せば、これらの課題を解決すれば、おのずと集患できるということ。また、物件選びの際には、バリアフリー設計にこだわることなども必要です。

4. 眼科

高齢者人口の増加にともない、白内障などに対応できる眼科はニーズが高まっています。日帰りオペをおこなう場合、駅徒歩圏内でなければ患者にとっては負担になるので、そうした点も考慮しながら物件を選ぶことが大切です。

5. 皮膚科

仕事の休み時間や仕事帰りに利用する患者も多い皮膚科は、乗降者数が比較的多い駅の徒歩圏内に開業すれば集患率がぐっと高まります。美容皮膚科の場合は、最先端の機器をそろえていることも、患者にとっては魅力のひとつ。また、美容皮膚科に通って見た目のケアにお金をかける患者は高収入な場合が多いので、セレブな患者に納得してもらえる洗練された内装を設えることも大切です。

6. 耳鼻咽喉科

子どもが熱を出していて鼻水もひどい場合、小児科ではなく耳鼻咽喉科を受診したほうがスムーズに治療できるケースも多いとされます。また、中耳炎やアレルギー鼻炎などを患う子どもが多いことも考えると、子どもが多いエリアに開業するに越したことはありません。症状によっては毎週のように通う場合もあるので、子どもがひとりでも通いやすいよう、交通量が少ない通りなどを選ぶのもポイント。物件選びの際には、外科的治療もおこなうことを考慮して、水回りについてもしっかり確認しましょう。

7. 産婦・婦人科

昨今は高齢出産が増えていることもあり、不妊や不育症の治療をおこなえる婦人科のニーズが高まっています。そうした女性たちにとっても、通いやすい立地であることはとても大切といえるでしょう。また、産科の場合は、助産師とのコミュニケーションルームが設置されていることなども、「この病院に通いたい」と思う大きなポイントです。

8. 精神科・心療内科

ストレス社会において、精神科が果たす役割はとても大きいもの。患者が心の平穏を取り戻すまで無理なく通い続けられるよう、通いやすさは追求しつつも、駅のすぐ前などの目立つ場所は避け、人通りの少ない通りなどを選ぶといいでしょう。

そもそも開業に初期費用はいくらかかるの?

では、それぞれの診療科を開業しようと思った場合、初期費用はいくら程度かかるのでしょうか?

1. 内科

土地・建物代 約2.500万円~
設備代 約1,800万円~3,500万円
必要設備 電子カルテ、レセコン、超音波診断装置、心電図、X線撮影装置、内視鏡 など

2. 小児科

土地・建物代 約3.000万円~
設備代 約1,000万円~
必要設備 電子カルテ、レセコン、X線撮影装置、自動現像機、超音波診療装置、心電図 など

3. 整形外科、リハビリテーション科

土地・建物代 約3.000万円~
設備代 約2,000万円~
必要設備 電子カルテ、レセコン、X線撮影装置、超音波検査装置、骨密度測定装置、低周波治療器、牽引器、平行棒 など

4. 眼科

土地・建物代 約3.500万円~
設備代 約2,000万円~4,500万円
必要設備 電子カルテ、レセコン、スリットランプ、オートレフケラトメータ、自動視野計、眼底カメラ

5. 皮膚科

土地・建物代 約1.200万円~
設備代 約500万円~ ※各種レーザー機器や美容機器を導入した場合はさらに高額に
必要設備 電子カルテ、レセコン、顕微鏡、無影灯 など

6. 耳鼻咽喉科

土地・建物代 約3.000万円~
設備代 約2,000万円~
必要設備 電子カルテ、レセコン、耳鼻科診療ユニット、ネブライザ、X線撮影機器、聴力検査室、専用内視鏡 など

7. 産科・婦人科

土地・建物代 約3.000万円~
設備代 約2,000万円~
必要設備 電子カルテ、レセコン、コピー複合機、診察用ベッド、イス、内診台、X線撮影装置、自動現像機、超音波診断装置、コルポスコープ など

8. 精神科・心療内科

土地・建物代 約1.000万円~
設備代 約400万円~
必要設備 電子カルテ、レセコン など

失敗しない開業のコツを知りたい

1. 自分の強みを活かす

まず考えられるのが、「自分の強みを考えること」。たとえば内科医として開業する場合、広く内蔵の疾患全般を診るのも選択肢ですが、もっとも得意とする分野を第一に掲げて宣伝を打つのも一手です。

2. 事前にしっかりとマーケティングをおこなう

特に立地選びの際は、開業しようとしているエリアに同じ診療科を標榜している病院やクリニックがどれくらいあるかを調べることが大切。飽和状態のエリアでは、どれだけ腕があったとしても、最初のうちはなかなか集客が期待できないかもしれません。

3. 損益分岐点を試算しておく

開業を検討している段階で、患者の平均単価を決めて、出費を試算することが大切です。開業資金の返済、家賃、人件費、医療機器のリース代などの固定費を出し、損益分岐点を計算すれば、開業して儲けることが現実的かどうかある程度わかるはず。

4. 自己資金すべてを継ぎこまない

自分の強みを客観視して、マーケティングや損益分岐点の試算をおこなっていたからといって、100%成功するとは限りません。うまくいかなかった場合を想定して、運転資金として補てんできる分のお金や生活費を蓄えておくことはとても大切です。

5. パート採用も考える

軌道に乗るまで時間がかかる可能性も考えると、スタッフ全員を常勤採用にするのは得策ではありません。患者が少ないとき、パートとして採用していれば、シフトの変更なども柔軟におこなえます。

6. 自院サイトをまめに更新する、SEO対策を取る

開業したばかりで口コミも少ない時期は特に、自院サイトに力を入れることが大切。病院を探している患者にとって、詳しい診察内容などを知ることができるサイトがあることは大きなポイントです。また、自院の強みを前面に出しながらSEO対策をおこなうことも大切です。

開業までにやるべきことはたくさんある

開業に失敗しないためのコツのうちいくつかは、“今すぐ”にでもできること。まだまだ開業まで時間がかかりそうと思っている人も、自分の強みや、開業したいエリアを書き出してみるうち、開業計画が具体的に進み始めることもあるかもしれません。将来開業したいと思っているなら、ぜひ今日にでも、さっそく理想を書き出してみてはいかがでしょうか?

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執筆 コラム配信 | クリニック開業ナビ

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