高齢化社会が進む日本において、昨今、在宅診療(訪問診療)のニーズが高まっています。どのくらいニーズがあるかというと、厚生労働省が公表している「在宅医療の最近の動向」によると、2025年には、在宅診療(訪問診療)を必要とする人は29万にも上ると予想されています。では、2021年現在で見てみると、どのくらいの数の在宅診療医が存在しているのでしょうか? また、在宅診療医になればどのくらい稼げるのでしょうか?
さっそく紹介していきます。
厚生労働省の調査によると、 在宅療法を支援する診療所や病院は増加傾向にあります。2019年時点で全国の一般診療所数が全国で102,616であるのに対して、2014年には20,597の診療所が、在宅診療をおこなっています。
では、「在宅療養を支援」とは具体的にどんな内容かというと、医師や看護師が2週間に1度程度のペースで患者のもとを訪問して、診療や健康診断をおこないます。この訪問診療は、大きく2タイプに分けられます。
ひとつめは、老人保健施設などの訪問です。この場合、施設の入居者を診療することになるので、一度に何人も診療できるだけでなく、一日に数施設回ることもできます。しかし、事務的に診療をする傾向にあるので、コミュニケーション面において充足感を得にくいのは事実です。
もうひとつは、個人宅を中心とした訪問です。1日に訪問できる数に限りがありますが、地域住民一人ひとりと向き合って診療ができるため、大きなやりがいを感じられるのがメリットといえるでしょう。
いずれの場合も、患者やその家族からのコール対応は必須と考えてよいでしょう。コール対応の件数は、一概には言えませんが、1日あたり1~2件の場合が多いようです。ただし、小さな開業クリニックでなければ、コールの1次対応を他職員がおこなう場合も多いので、コール対応があるからといって多忙とは限りません。
年収の相場は?勤務医でも高収入って本当?
続いて気になるのが、在宅診療医の年収です。在宅診療医の給与は、相場と比べてやや高めに設定されています。移動の負担やコール対応がある分、当然のことといえるでしょう。在宅診療医の求人を見ても年収1,500万円以上の募集が多く、2,000万円を超えるものもちらほら。
ただし、診察や検査、投薬などのスキルを有していることはもちろん、お年寄りが転倒したときの外科的な処置や、認知症の患者に対する対応なども求められます。また、患者ががんの終末期である場合、緩和ケアも必要となってきます。
扱う機器としては、心電図やポータブルエコー、胃瘻交換用内視鏡、人工呼吸器などが挙げられるほか、IVH(中心静脈栄養)や在宅人工透析の知識なども不可欠。移動の際に自分で運転するなら、普通自動車運転免許も必要となります。
開業医になれば年収は約2,700万円
では、開業医の在宅診療医になればどのくらい稼げるかというと、内科医の開業医の給与水準が2,500万円程度であることを考えると、そこに往診の手数料を加えた2,700万円程度となるでしょう。
ただし、検査機器のほか施設も有している必要があるため、開業資金として5,000万円を超える資金が必要となります。資金回収のことを考えるにつけ、しばらくは精神的にも不安になる場合もあるので、一概に開業医になるのがいいとはいえません。どちらの働き方を選択するのが自分には合っているのか、じっくり考えてみましょう。
地域に密着した医療をおこなうことが大切
訪問診療医のニーズは、とりわけ過疎地域で高まっていることが考えられます。超高齢化社会である現在、ひとり暮らしのお年寄りは増えていますし、日々、医師の回診を楽しみにしている人も多いでしょう。そうであるがゆえに、訪問するたびに「もっと話したい」と引き留められるのは容易に予想がつくこと。しかし、毎回それに対応していたらすべての患者を回ることができないので、一人ひとりとうまくコミュニケーションをとることも大切です。そのため、内科医としての知識以外にさまざまなスキルが求められますが、そのぶん、地域住民から頼りにされる存在ともいえるので、「みんなの健康を守る」という使命を大事に仕事を続けられるといいですね。
特徴
対応業務
その他特徴
診療科目
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その他特徴
診療科目
この記事は、2021年6月時点の情報を元に作成しています。