医者に限らずどんな職業でもそうですが、大変なことや乗り越えられない壁があって「辞めたい」と思うことはあるものです。結果的に辞める場合もあれば続けることにする場合もあるでしょうが、いずれにしろ、どちらの道を歩むかを決めきれない時間が一番辛いもの。そう考えると、悩んでいる時間はできる限り短いほうがよさそうです。そこで今回は、本格的に医療の道を歩む前段階である研修医期間にスポットを当て、辞めたいと感じたときの選択肢をみていきたいと思います。
初期研修医は「医師のタマゴ」、後期研修期間は一人前の医師としてのスタート地点
まず、「研修医期間」とはいつなのかを説明します。
医師を目指すには、医学部を卒業後、医師国家試験に合格して医師免許を取得した後、研修医として経験を積み始めるのが一般的。医師免許取得から最初の2年間は「初期臨床研修」にあたり、この期間中、医師たちは「研修医」として一人前の医師を目指すこととなります。
2年間の「初期臨床研修」を終えて「初期研修医」という肩書が外れると、その後は3年~5年に及ぶ「後期(臨床)研修」をおこなうことになります。この期間中は、それぞれが将来専門としたい診療科に務め、より専門的なことを学ぶこととなります。
研修医が仕事を辞めたいと思ったとき、どんな選択肢がある?
続いては、研修医が仕事を辞めたいと思ったとき、どんな選択肢があるのかをみていきましょう。
1.転職する
現状の仕事環境や人間関係に疲れている場合は、転職するのが一番。医局や勤め先を変えることによって、気持ちを新たにがんばることができます。ただし、転職先についてしっかりと検討することは大事。自分が目指す専門医資格を取得するために理想的な転職先を見極めることで、モチベーションを立て直すことができたらベスト。そのためにも、気になる病院にコンタクトを取って、面接を設けてもらうなどの努力は必須です。
2.転科する
「入局した診療科が自分には向いていないことがわかった」「将来やりたい医療を実現するためには、他の診療科でも学ぶ必要があると気づいた」「今の専門ではモチベーションが保てない」などの場合、専攻する診療科を変えるのも一手です。
ただし、転科した結果、「やっぱり元の診療科がよかった」と後悔したり、「どの診療科であろうと辛い」と感じたりしてしまうようでは転科の意味がありません。転科という選択肢があることを念頭に置き、その道を歩んでいいのかを今一度しっかりと考えてみましょう。
3.開業する
開業医として自院を開くのは、勤務医としての経験を積んだ後が望ましいとする考え方が一般的です。しかし、後期研修中の専攻医となった時点で開業することは、不可能ではありませんし、法的にも問題はありません。
ただし、一人前の医師としてのキャリアがほぼゼロの状態で開業することになるので、集客につながるような宣伝文句もなければ、医師としての経験も浅いことになります。周囲の反応も賛否両論になる可能性が高いので、それでもチャレンジするかどうかよく考えて決意してください。
4.フリーランス医になる
医局や病院から離れ、フリーランスの医師として働くのも一手です。実際のところ、特定の組織に属していなくても医師としての仕事を得ることが可能と言えます。ただし、経験の浅さが問題にならないかどうかは雇う側次第。うまく仕事にありつけたとしても、金額交渉において強気に出られないという難点はあるかもしれません。
ただし、「ひとまずフリーランスの医師として働きながらその後の働き方を考える」というのであれば、金額にこだわる必要はないのかもしれませんね。
5.医師として歩むことを辞める
医療の道を完全に離れるという人も、ゼロではありません。また、医学部で身に着けた知識を活かした仕事に従事するということもあるかもしれません。医師免許をうまく活用すれば、起業で成功する可能性もゼロとはいえないですよね。
自分の幸せにもしっかりと目を向けて、今後の生き方を決めていこう
医者というキャリアにおいて研修医はまだまだスタート段階なので、「この段階で辞めるだなんて言い出せない…」と悶々とした日々を送っている人もいるかもしれません。しかし、冒頭でも述べた通り、どんな職業であっても「辞めたい」と感じることはあるものです。中には、進んでみた結果、医療の道が自分には合っていなかったというケースだってあるでしょう。一度きりの人生を悔いのないものにするためにも、「自分の幸せ」にもしっかりと目を向けながら、この先進む道を選んでいけるといいですね。
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診療科目
この記事は、2021年7月時点の情報を元に作成しています。