クリニックを承継する場合は、建物もそのまま利用することがほとんどです。場合によってはバリアフリー対策などで手を加える必要があり、例えば出入口が自動ドアでない場合は、自動ドア化する必要があります。では、クリニックの出入口を自動ドアにする場合は、どのようなプロセスで、どれくらいの費用が必要になるのでしょうか? 自動ドアの導入業務を行っている『日本自動ドア株式会社』に聞いてみました。
自動ドア導入のプロセスは?
クリニック(既存の建物)の出入口を自動ドアにしたい場合、まずは感染症対策、バリアフリー、利便性といった設置理由のヒアリングを行います。その上で施工工程の確認となります。例えば、
- 既存出入口サッシ枠・ドア・周辺確認
- 装置添え付け下地スペースと強度の確認
- 既存ドアの状態を確認
- 安全領域の確認(センサーエリア・光線対向位置)
- などのほか、お客様の要望を確認し、工事へと移ります。
自動ドア導入までの日数は、既存のドアを流用するタイプなら最短1週間。ドアを新規で製作する必要がある場合は、アルミドアで2週間程度(ステンレスドアの場合は1カ月)かかります。コンクリート工事やドア枠までの工事が必要な場合は、3~4週間(1~1.5カ月)です。自動ドアの設置工事自体は、基本的に1日で完了します。
既存の建物を自動ドア化する際の注意点
一般的に、既存の出入口に自動ドアを取り付ける工事は一筋縄ではいかない場合がほとんどです。
安全性の確保はもちろんのこと、出入口ドアはそれぞれ固有のくせ、経年劣化具合、既存仕様(システム・環境)との連携などを考慮する必要があります。現場ごとに取り組まなければいけない課題が異なるため、一律の作業で済まないからです。
その中で「自動ドア化しやすい例」としては、既存出入口が「引き戸収まり」で、ドア上部(無目・鴨居)に、駆動装置の設置スペース(軽量:100ミリ、中量:150ミリ)が確保できる場合が挙げられます。加えて、出入口両枠に補助光線の設置ができる収まりがあるといいですね。
反対に「自動ドア化が難しい例」としては以下の2例が挙げられます。
1. 開き戸
開き戸をそのまま自動ドアにするのは、突然開いてぶつかったり、指を挟んだりする危険があるためお勧めしていません。開き戸の自動ドアは、安全領域を広範囲で設定しない限り安全性の担保が十分にできないため、自動ドア化が難しくなります。解決策としては、開き戸を撤去し、新たに引き戸サッシ枠を取り付けて自動ドア化することになります。
2. スペース不足
自動ドアにするには、既存ドア上部(無目・鴨居)に、駆動装置の設置スペース(軽量:100ミリ 、中量:150ミリ)が必要です。このスペースが設けられない場合は、自動ドア化が難しくなります。この場合も既存サッシ枠を撤去し、新たに引き戸サッシ枠を取り付けて自動ドア化することになります。
自動ドアにするコストは?
先述のように、コストは現場ごとに異なります。例えば、既存の手動ドアやドア枠を利用して自動化する場合と、サッシ枠やドアを新規製作する場合とでは、費用は大きく変わります。あくまで一例ですが、「自動ドア装置+サッシ枠・ドア」の場合は、47.5万~300万円(片引き積算金額)という費用が必要です。
また、自動ドアを設置する際は、バリアフリー・キッズ保護のほか、感染症対策や防犯対策といった点も考慮しないといけません。バリアフリー・キッズ保護では、車椅子スペース確保、JADガードスクリーン(防護柵)の設置も考慮しましょう。また、感染症対策の面では、手かざしセンサー、自動ドア換気システム、衛生管理システム(アルコール消毒器連動)。防犯面ではテンキーやカードリーダー(解錠システム)も自動ドア化の際には考えておく必要があります。
クリニックを承継する場合は、譲渡条件や価格だけでなく、建物の出入口にも注目するようにしましょう。もし自動ドアではない建物を承継する場合は、今回紹介したプロセスや価格、また導入しやすい形状などを参考に、開業までのプランを練るといいでしょう。
取材協力:日本自動ドア株式会社
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この記事は、2021年6月時点の情報を元に作成しています。