【クリニック向け】電子処方箋導入に活用できる補助金とは? 都道府県が独自に用意している補助金もある!

電子処方箋に対応する医療機関・薬局は全国で増え続けています。電子処方箋を導入することによって、医療機関・薬局だけでなく患者もメリットを得られることから、「患者から選ばれるクリニック」であり続けるためにも、早い段階で電子処方箋を導入することは得策です。そこで今回は、電子処方箋の導入を考えているクリニックに向けて、電子処方箋の導入に使える補助金について解説していきます。

目次
  1. 電子処方箋とは
    1. 電子処方箋導入後も、紙の処方箋も発行可能
  2. 電子処方箋導入に活用できる補助金とは?
  3. 電子処方箋導入に活用できる補助金の交付申請手続きは?
  4. 電子処方箋管理サービスを初期導入する場合、具体的にどんな費用がかかる?
    1. HPKIカードなどを読み込むためのICカードリーダー等の購入費
    2. レセプトコンピューターおよび電子カルテシステムなどの既存システムの改修にかかる経費(ネットワーク整備などに係る費用も含む)
      1. 医療機関の電子カルテシステム等の主な改修
      2. 薬局の薬局システムの主な改修
      3. ネットワーク環境の整備
    3. 電子処方箋管理サービス等の導入に付随するスタッフへの指導にかかる経費
  5. 電子処方箋導入に活用できる補助金を交付申請するにあたっての注意点は?
  6. 電子処方箋導入に活用できる補助金の交付申請期間は?
    1. 電子処方箋管理サービスの導入のみの場合
    2. 電子処方箋管理サービス新機能導入の場合(機能を拡充させる場合)
  7. 電子処方箋導入に活用できる補助金の補助率、補助上限額は?
    1. 【初期導入】電子処方箋管理サービスを導入した場合
    2. 【新機能導入】電子処方箋管理サービスを導入済の医療機関・薬局が新機能を導入した場合(機能を拡充させた場合)
    3. 【同時導入】電子処方箋管理サービスと新機能を導入した場合(機能を拡充させた場合)
  8. 都道府県が独自に用意している補助金もある
    1. 東京都
      1. 補助対象医療機関
      2. ※補助条件
      3. 補助金額
      4. 申請期間
    2. 千葉県
      1. 補助対象事業者
      2. 補助金額
      3. 申請期間
    3. 埼玉県
      1. 補助対象事業者
      2. 補助金額
      3. 申請期間
    4. 神奈川県
      1. 補助対象事業者
      2. 申請期間
  9. 電子処方箋導入時に限らず、利用できる補助金はできるだけ早めにチェックすることが大切

電子処方箋とは

電子処方箋とは、従来、紙で発行していた処方箋を電子化したものです。

電子処方箋導入後も、紙の処方箋も発行可能

電子処方箋を導入したら、紙の処方箋は一切発行できなくなるかというとそんなことはありません。つまり、電子処方箋に対応している医療機関・薬局は、電子処方箋も紙の処方箋も発行できるということになります。

電子処方箋を発行してもらうか紙の処方箋を発行してもらうかどうかは、患者一人ひとりが決めることができます。ただし、電子処方箋の発行を希望する場合、患者は、電子処方箋に対応しているその他の医療機関や薬局も、自身に処方された薬の情報を閲覧可能となることに対して同意する必要があります。

当該の医療機関以外の医療機関や薬局が、どうやって各患者に処方された薬の情報を閲覧するかというと、電子処方箋として電子化された処方データは、社会保険診療報酬支払基金・国民健康保険中央会が管理するクラウド「電子処方箋管理サービス」に格納されるため、このクラウドにアクセスすれば必要な情報にスピーディにアクセスできるのです。

参照:医療機関等向け総合ポータルサイト「電子処方箋トップページ」

電子処方箋導入に活用できる補助金とは?

電子処方箋導入に使える補助金は、厚生労働省が実施する「医療提供体制推進事業費補助金(電子処方箋の活用・普及の促進事業)」を財源 としています。補助金の交付申請受付は令和5年2月1日からスタート しており、現在は、令和5年度からの繰越分の財源が使われている 状況ですが、「電子処方箋管理サービス」の導入費用に関しては、詳しくは後述しますが、令和7年3月31日までに導入した場合は補助金交付の対象となります 。

参照:厚生労働省「令和6年度(令和5年度からの繰越分)医療提供体制推進事業(電子処方箋の活用・普及の促進事業)の実施について」

電子処方箋導入に活用できる補助金の交付申請手続きは?

電子処方箋導入に活用できる補助金は、以下の3つのケースにおいて交付申請可能です。

1. 【初期導入】電子処方箋管理サービスを導入した場合
2. 【新機能導入】電子処方箋管理サービスを導入済の医療機関・薬局が新機能を導入した場合(機能を拡充させた場合)
3. 【同時導入】電子処方箋管理サービスと新機能を導入した場合(機能を拡充させた場合)

「電子処方箋管理サービス」とは、前述の通り、社会保険診療報酬支払基金・国民健康保険中央会が管理するクラウドのことで、ここに、電子処方箋として電子化された処方データが格納されます。

また、「新機能」には以下が該当します。

  • リフィル処方箋
  • 口頭同意による重複投薬等チェック結果の閲覧
  • マイナンバーカードによる電子署名
  • 処方箋ID検索
  • 調剤結果ID検索(薬局のみ)
  • 交付申請手続きの流れは以下の通りです。

    1. 上記1~3のいずれかの手続きを済ませる(導入を完了させる)
    2. システムベンダ等から請求書等を受領する
    3. システムベンダ等に費用を支払う
    4. システムベンダ等から領収書および領収書内訳書を受領する
    5. 領収書の写しおよび領収書内訳書の写しを添付して補助金を申請する

    なお、新機能を複数同時に導入して、各機能の導入にかかった費用を合算して領収書をシステムベンダ等から受領した場合、領収書内訳書に追加機能に要した費用を詳細として記入して提出すれば、申請することが可能です。

    参照:医療機関等向け総合ポータルサイト「7. 導入にあたっての補助金や費用について」

    電子処方箋管理サービスを初期導入する場合、具体的にどんな費用がかかる?

    電子処方箋管理サービスを初期導入する場合に必要な経費は大きく以下の3つにわけられます。

    1. HPKIカードなどを読み込むためのICカードリーダー等の購入費
    2. レセプトコンピューターおよび電子カルテシステムなどの既存システムの改修にかかる経費(ネットワーク整備などに係る費用も含む)
    3. 電子処方箋管理サービス等の導入に付随するスタッフへの指導にかかる経費

    それぞれの詳細は以下の通りです。

    HPKIカードなどを読み込むためのICカードリーダー等の購入費

  • ICカードリーダーの費用
  • 電子署名に用いるICカードのカードドライバのインストール・設定にかかる費用
  • 顔認証付きカードリーダーのアプリケーションのアップデートにかかる費用
  • 資格確認端末のオンライン資格確認等連携ソフトのアップデートにかかる費用
  • カードレス署名のモジュール・クライアントアダプタサービスにかかる費用
  • レセプトコンピューターおよび電子カルテシステムなどの既存システムの改修にかかる経費(ネットワーク整備などに係る費用も含む)

    医療機関の電子カルテシステム等の主な改修

  • 電子処方箋ファイルを作成する(電子署名の付与を含む)機能の追加費用
  • 電子処方箋管理サービスへ電子処方箋ファイル、処方箋情報提供ファイルを登録する機能の追加費用
  • 重複投薬等チェック結果を閲覧するための機能の追加費用
  • 処方・調剤情報の閲覧等にかかる機能の追加費用
  • 薬局の薬局システムの主な改修

  • 薬局システムへ電子処方箋ファイル、処方箋情報提供ファイルを取り込む機能の追加費用
  • 電子処方箋管理サービスへ調剤済み電子処方箋ファイル、調剤情報提供ファイルを登録する機能の追加費用
  • 処方・調剤情報の閲覧等にかかる機能の追加費用
  • ネットワーク環境の整備

  • ネットワーク設定作業等に係る費用(院内ネットワークの設定に伴う作業人件費を含む)
  • ルーター、スイッチングハブ、LANケーブル、ファイアウォール機器等の購入費
  • 電子処方箋管理サービス等の導入に付随するスタッフへの指導にかかる経費

    事業者からクリニックスタッフへの電子処方箋管理サービス等の導入に関する指導にかかる経費

    電子処方箋導入に活用できる補助金を交付申請するにあたっての注意点は?

    内訳をみたらわかる通り、電子処方箋管理サービスの新規導入にあたっては、複数の事業を完了させる必要があります。これに関しての注意点ですが、電子処方箋管理サービス導入の補助金申請は一度におこなう必要があります。つまり、すべての事業の領収書および領収書内訳書がそろった時点で、まとめて申請するということになります。

    参照:医療機関等向け総合ポータルサイト「7. 導入にあたっての補助金や費用について」

    電子処方箋導入に活用できる補助金の交付申請期間は?

    電子処方箋導入に活用できる補助金の交付申請期間は、新機能の導入の有無によって異なります。

    電子処方箋管理サービスの導入のみの場合

    補助金交付対象条件は以下の通りです。

  • 令和7年3月31日までに導入完了
  • 令和7年9月30日までに申請手続き完了
  • 電子処方箋管理サービス新機能導入の場合(機能を拡充させる場合)

    補助金交付対象条件は以下の通りです。

  • 令和6年11月30日までに導入完了
  • 令和6年12月31日までに申請手続き完了
  • 参照:医療機関等向け総合ポータルサイト「7. 導入にあたっての補助金や費用について」

    電子処方箋導入に活用できる補助金の補助率、補助上限額は?

    電子処方箋導入に活用できる補助金の補助率、補助上限額は、前述した3つのケースごとに異なります。また、医療機関の規模によっても異なります。

    【初期導入】電子処方箋管理サービスを導入した場合

    病床数200床以上の大規模病院 162.2万円を上限に補助
    (事業額の486.6万円を上限に、その1/3を補助)
    大規模病院以外の病院 108.6万円を上限に補助
    (事業額の325.9万円を上限に、その1/3を補助)
    クリニック 19.4万円を上限に補助
    (事業額の38.7万円を上限に、その1/2を補助)

    【新機能導入】電子処方箋管理サービスを導入済の医療機関・薬局が新機能を導入した場合(機能を拡充させた場合)

    病床数200床以上の大規模病院 200.7万円を上限に補助
    (事業額の602.2万円を上限に、その1/3を補助)
    大規模病院以外の病院 135.3万円を上限に補助
    (事業額の405.9万円を上限に、その1/3を補助)
    クリニック 27.1万円を上限に補助
    (事業額の54.2万円を上限に、その1/2を補助)

    【同時導入】電子処方箋管理サービスと新機能を導入した場合(機能を拡充させた場合)

    病床数200床以上の大規模病院 45.2万円を上限に補助
    (事業額の135.6万円を上限に、その1/3を補助)
    大規模病院以外の病院 33.3万円を上限に補助
    (事業額の100万円を上限に、その1/3を補助)
    クリニック 12.3万円を上限に補助
    (事業額の24.5万円を上限に、その1/2を補助)

    参照:医療機関等向け総合ポータルサイト「7. 導入にあたっての補助金や費用について」

    都道府県が独自に用意している補助金もある

    電子処方箋導入のための補助金は、厚生労働省が実施する「医療提供体制推進事業費補助金(電子処方箋の活用・普及の促進事業)」を財源としているもののほかに、各都道府県が独自に用意しているものもあります。そのうちの一都三県の概要を下記に紹介します。

    なお、いずれの都県の補助金も、前述した国の補助金の交付を受けていることが申請条件とされています。つまり、国の補助金と都県の補助金の両方を受け取れるということになるので、そのぶん自己負担額が少なくなります。

    また、埼玉県は、「電子処方箋の周知広報を実施すること」も補助条件として挙げているため、交付を受けた場合は、クリニックホームページや院内掲示物などで、電子処方箋を導入したことを広く周知することが必要です。

    東京都

    補助対象医療機関

    都内に開設する医療機関のうち、健康保険法第63条第3項各号が定める病院またはクリニック。ただし、都が開設している病院およびクリニックを除く

    ※補助条件

    申請時点で既に電子処方箋管理サービスの整備を終えており、かつ、既に社会保険診療報酬支払基金から補助金の交付決定を受けていること

    補助金額

    病床数200床以上の大規模病院

    対象経費 導入費用(上限) 補助率 補助上限額
    (1)電子処方箋導入費用 4,866,000円 6分の1 811,000円
    (2)電子処方箋新機能導入費用 1,356,000円 6分の1 226,000円
    (3)(1)・(2)同時導入費用 6,022,000円 6分の1 1,003,000円

    大規模病院以外の病院

    対象経費 導入費用(上限) 補助率 補助上限額
    (1)電子処方箋導入費用 3,259,000円 6分の1 543,000円
    (2)電子処方箋新機能導入費用 1,000,000円 6分の1 167,000円
    (3)(1)・(2)同時導入費用 4,059,000円 6分の1 676,000円

    クリニック

    対象経費 導入費用(上限) 補助率 補助上限額
    (1)電子処方箋導入費用 387,000円 4分の1 97,000円
    (2)電子処方箋新機能導入費用 245,000円 4分の1 61,000円
    (3)(1)・(2)同時導入費用 542,000円 4分の1 135,000円

    申請期間

    令和6年10月10日(木)から令和6年12月27日(金)まで

    参照:東京都保健医療局「医療機関における電子処方箋の活用・普及の促進事業」

    千葉県

    補助対象事業者

  • 千葉県内の医療機関(健康保険法第63条第3項各号に定める病院または診療所)
  • 千葉県内の薬局(健康保険法第63条第3項各号に定める薬局)
  • ※医療情報化支援基金(ICT基金)の交付決定者

  • 千葉県が定める電子処方箋の普及・活動に資する取り組みの実施について承諾した者
  • 補助金額

    区分 補助率 初期導入
    (補助上限額)
    新機能
    (補助上限額)
    初期導入・新機能
    (同時導入・補助上限額)
    病床数200床以上の大規模病院 6分の1 811,000円 226,000円 1,003,000円
    大規模病院以外の病院 6分の1 543,000円 167,000円 676,000円
    クリニック 4分の1 97,000円 61,000円 135,000円

    申請期間

    令和7年2月28日まで

    参照:千葉県電子処方箋導入促進補助金について

    埼玉県

    補助対象事業者

  • 病院、医科診療所、歯科診療所、薬局であること
  • ※電子処方箋の導入が完了し、社会保険診療報酬支払基金が実施する電子処方箋導入に係る補助金の交付決定を受けていること
    ※電子処方箋の周知広報を実施すること

    補助金額

    区分 初期導入
    (補助上限額)
    新機能
    (補助上限額)
    初期導入・新機能
    (同時導入・補助上限額)
    病床数200床以上の大規模病院 811,000円
    ※事業費486.6万円の6分の1
    226,000円
    ※事業費135.6万円の6分の1
    1,003,000円
    ※事業費602.2万円の6分の1
    大規模病院以外の病院 543,000円
    ※事業費325.9万円の6分の1
    167,000円
    ※事業費100.2万円の6分の1
    676,000円
    ※事業費405.9万円の6分の1
    クリニック 97,000円
    ※事業費38.8万円の4分の1
    61,000円
    ※事業費24.5万円の4分の1
    135,000円
    ※事業費54.2万円の4分の1

    申請期間

    令和7年2月321日まで

    参照:【申請期限の延長】令和6年度電子処方箋活用・普及促進事業費補助金

    神奈川県

    補助対象事業者

  • 県内の保険医療機関(健康保険法第63条第3項各号に定める病院またはクリニックに限る)
  • 県内の保険薬局(健康保険法第63条第3項各号に定める薬局に限る)
  • 病床数200床以上の大規模病院

    対象経費 導入費用(上限) 補助率 補助上限額
    (1)電子処方箋導入費用 4,866,000円 6分の1 811,000円
    (2)電子処方箋新機能導入費用 1,356,000円 6分の1 226,000円
    (3)(1)・(2)同時導入費用 6,022,000円 6分の1 1,003,000円

    大規模病院以外の病院

    対象経費 導入費用(上限) 補助率 補助上限額
    (1)電子処方箋導入費用 3,259,000円 6分の1 543,000円
    (2)電子処方箋新機能導入費用 1,000,000円 6分の1 167,000円
    (3)(1)・(2)同時導入費用 4,059,000円 6分の1 676,000円

    クリニック

    対象経費 導入費用(上限) 補助率 補助上限額
    (1)電子処方箋導入費用 387,000円 4分の1 97,000円
    (2)電子処方箋新機能導入費用 245,000円 4分の1 61,000円
    (3)(1)・(2)同時導入費用 542,000円 4分の1 135,000円

    申請期間

    令和6年9月2日(月曜日)から令和6年12月27日(金曜日)まで

    参照:電子処方箋に係る補助金の手続きについて

    電子処方箋導入時に限らず、利用できる補助金はできるだけ早めにチェックすることが大切

    電子処方箋導入に限ったことではありませんが、各種システムやサービス導入に活用できる補助金の財源には上限があるので、確実に利用したいなら、少しでも早めに申請することが大事です。医療関係の最新情報を配信しているサイトをまめにチェックするなどして、役立つ情報を取り逃さないように心がけてくださいね。

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    対象規模

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    オプション機能

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    提供形態

    サービス クラウド SaaS 分離型

    診療科目

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