患者さんが脱走する現場に遭遇してしまった話

1日に病院の出入口を行き来する人の数は数えきれません。しかし、コロナウイルスが流行する以前と比べれば、面会の制限が続いている病院がほとんどでしょうから、その人数は減ったのではないのでしょうか。それでも、子どもからお年寄りまで、診察や入院に来た人だけでなく、健康な付き添いや面会の方まで、様々な人が病院には出入りしています。

コロナウイルスの影響で、多くの病院の出入口で、体温を測ったり問診をしたりするトリアージが実施されているかと思います。私の勤務していた病院でも、コロナウイルスが広まってから数か月経過した頃から、外部の業者がトリアージの業務をおこなってくれています。しかし、初めの頃は体制が整っていなかったので、医師以外の医療職者が持ち回りで玄関トリアージの当番をしていました。

目次
  1. ふらっと通り過ぎたパジャマのおばあちゃんに違和感
  2. 血相を変えて声をかけてきた看護師さん
  3. おばあちゃんが見つかったのは意外な場所

ふらっと通り過ぎたパジャマのおばあちゃんに違和感

このトリアージ、病院に入る人には実施していましたが出ていく人には実施していませんでした。なので、出る方が容易でした。先ほど挙げた人たちだけではなく、もちろん患者さんも出入り可能なので、パジャマを来た人たちが出入りする様子も見ていました。

そんな中、1人の入院患者らしきパジャマを着たおばあちゃんが出ていくのに目が止まりました。言語化しにくいのですが、歩き方や雰囲気に違和感があります。杖をついたり点滴台を持ったりしているわけではないのですが、足元が覚束ないように見えます。それに、右手が吊られていて、三角巾から覗く腕にはギプスが巻いてあるようです。

気になって声をかけてみたものの、「ちょっとね」と言って出ていくおばあちゃんを引き止めることはできませんでした。それなりの規模の病院だったので、自分の病棟以外の入院患者さんを把握しているわけではありませんし、そのときは「もしかしたら意外としっかりしているおばあちゃんなのかも」と思ってしまいました。

血相を変えて声をかけてきた看護師さん

おばあちゃんが病院の外に出て行ってから20分程経った頃でしょうか、看護師さんが血相を変えて走ってきました。そして、私にこう言ったのです。

「まさかとは思いますが、右手にギプスを付けたおばあちゃんが出て行ったりしていませんか?」

特徴を聞けば聞くほど、さっき出て行ったおばあちゃんに間違いないではりませんか。聞くと、かなり認知症が進行していて、ほとんど寝たきりの状態だったそうです。たちまち大騒ぎになって、病棟の看護師さんと共に周囲を探し回りました。

おばあちゃんが見つかったのは意外な場所

敷地内を手分けして隈なく探すも、おばあちゃんの姿は発見できず。あまり考えたくはないものの、病院の敷地外にも捜査範囲を拡大します。そうしてやっと発見したおばあちゃんは何と、病院から2~3km坂道を登り続けた先にある空地で、お腹が空いてうずくまっていたのです。普段ほとんど寝たきりのはずなのに、どこにそんな脚力を隠し持っていたのでしょうか……。幸いにも怪我もなく、無事に病院に帰ってくることができました。

玄関でトリアージしていただけなのに、危うくインシデントになってしまうところでした。本当に無事に見つかって良かったです。患者さんの出入りにももっと気を配らなければいけないなと思い知らされた一件でした。

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渡邉りら

執筆 元看護師 | 渡邉りら

患者さんの思いに寄り添うことのできる看護師に憧れ、急性期病院の看護師として勤務していた。現在は臨床を離れてCROの査読業務に携わっている。


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