地方で医者をするメリット3選

筆者は、地方国立大学医学部医学科を卒業後に、そのまま出身地方大学の医局に属している地方医師です。地方で医者をして10年になりますが、地方で医者をしていて純粋に感じるメリットについてお話します。

目次
  1. 1.地方は将来的に開業がしやすい
    1. 地方はライバルが少なく、ニーズが高い
    2. 開業医を考えるならば、地方大学の医局がオススメ
    3. 勤務医のポストもつきやすい
  2. 2.地方医師のほうが収益性が高い
    1. 地方は生活コストが低い
  3. 3.地方は、仕事に充実感を感じやすい

1.地方は将来的に開業がしやすい

都心で開業をしようとすると、まず開業する場所が限られてきます。さらには、土地の費用も高いです。また、ビルの一室を借りて開業したとしても、賃貸料金が高いです。一方で、地方では土地の購入費も安く抑えられます。主な交通手段が自家用車なので、幹線道路のそばに開業するとよいでしょう。また、駐車場も必須ですが、駐車場も広く取りやすいのも地方の利点です。

地方はライバルが少なく、ニーズが高い

筆者は地方で整形外科医をしています。私の属する医局はまだ恵まれていますが、地方での医師不足は切実な問題です。特に、産婦人科や小児科医不足は切迫していて、関連病院からの撤退もよく生じています。内科医や外科医も、慢性的な医者不足の状況が続いています。

さらに、地方の高齢化率は高く、医者や病院のニーズが高いです。平成30年の65歳以上の高齢化率は、東京が23.1%です(内閣府H.P.より)。一方で、最も高いのが秋田県で36.4%です。開業する前に、開業する地域の高齢率をチェックしておくのも良いと思います。

開業医を考えるならば、地方大学の医局がオススメ

前述の通り、開業するならば地方をオススメします。さらに、地方で開業を考えるならば、一度はその地方大学の医局に所属することが勧められます。地方の医局に所属すれば、関連病院で、その県の色々な地域で医療をすることが可能です。そして実際に関連病院周囲の医療事情を知ることができます。

開業したい地域が決まったら、その中核病院に5年?10年勤務を続けます。そこで、固定客となり得る患者さんの信頼を得ます。5年も開業する土地や施設、整備を考えていれば、失敗のしない開業が可能と考えられます。

また、都心の医局で勤務をしていて、地元の病院に戻って勤務をしたい場合は注意が必要です。上記の通り、中核病院に勤務をしてから開業をしたくても、自由に中核病院で勤務ができないことがあります。その地方医局の関連病院に勤務をしたくても、医局に属していないとできない場合があります。地方ほど、まだ大学の影響が強く残っているので注意が必要です。

勤務医のポストもつきやすい

地方で医者をするメリットは、開業だけではありません。勤務医としても、病院の部長職のポストにつきやすいです。部長職や副部長職につけば、年収がぐっとアップします。

一方で、都会の市中病院の場合は、役職につくのは困難です。研修医として、市中病院に勤務してそのまま部長になれるとは限りません。なぜなら、部長職といった役職は医局が持っているからです。この体制には、病院側としてもなかなか抗えません。部長職に医局からの医者がなれなければ、医局からの医師派遣が止められてしまいます。

地方であると、1人医長になるから大変だと思われますが、そこまでひどくはありません。医者が1人になるほど人数が限られる場合は、その地域から撤退をすることのほうが多いでしょう。地方は、開業だけでなく、勤務医としてもメリットが高いと言えます。

2.地方医師のほうが収益性が高い

医者の給与は地方のほうが高いです。これは、単純に需要と供給の問題です。田舎のほうが高齢者が多いので需要が多くなる。田舎は医者が少ないので供給が多くなる。よって、給与が高くなるわけです。

筆者の地域には、都内からはるばる2時間近くかけてバイトにくる先生もいます。新幹線で通勤できるためそこまで移動が苦にならないのと、通勤費は別途払ってくれるためです。しかし、往復4時間近く、勤務以外に拘束されるのは大変ですね。

筆者は都内で勤務をしていたことがあります。その際のアルバイト料は、半日で3万円程度でした一方で、筆者の地域では、半日外来で5万円?8万円程度になります。実感としても、地方のほうが収益性が高いと感じます。

地方は生活コストが低い

また、住居費や食費等の生活費も少なくてすみます。地方は都会と比べて、給与の高い一流企業はありません。そのため、スーパーでの買い物でも、食材が安く手に入ります。また、住居費も安価です。筆者の地域であれば、1人暮らしであれば月々5万?6万円出せば十分よいアパートで暮らすことができます。

また、地方は医局の関連病院も県内しかないことが多いです。そのため、勤務病院が変更となっても、引っ越しをする必要がありません。

一方で、都内の有名な医局であると、全国に関連病院がある場合があります。すると、全国に転勤することがあります。その場合、毎回高額な引越し費用がかかったりします。会社員とは違い、転勤補償手当といった補助金もでません。また、子どもが成長してくれば、子どもの転校を防ぐために、単身赴任をすることにもなりえます。

3.地方は、仕事に充実感を感じやすい

地方は医者の希少価値が純粋に高いです。筆者も地方で医者をしていて、それを感じます。都内でバイトをしていた頃に比べて、地方で医者をしていると、患者さんから感謝されることが多いと思います。

必要とされているところで勤務をする。そのこと自体が、仕事の充実感につながると思います。先端の医療を推し進めるのもよいですが、日々、充実感を感じながら医療をすることもとてもよいことだと思います。

医師YouTuberいっさ

執筆 整形外科専門医 医学博士 | 医師YouTuberいっさ

2019年8月よりYouTuberとして活動を開始した。YouTubeでは、医者のかたわら、動画配信600本以上を達成。既に1,000人以上の登録者がある。「医者のキャリア形成」を中心に、医療にまつわる話を配信している。


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