初診料と再診料の区別の仕方は病院によって違う? 再診までの期間に正解はある?

初めて来院する医療機関では、患者は初診料を請求されます。その後、2度目の来院が1週間以内などすぐであれば、2度目に請求されるのは再診料となりますが、一定期間空いた場合、再診料ではなく再び初診料を請求することになります。では、初診料と再診料の区別の仕方にはなんらかのルールがあるのでしょうか? 詳しくみていきましょう。

目次
  1. 初診料と再診料の区別の仕方に決まりはある?
    1. 前回の受診から一定期間以上空いている
      1. 患者が自己都合で診察を中止した場合は、1か月以上経てば再初診料を算定できる
      2. 医師の考えで次回の受診まで3か月以上開ける場合、再初診料は算定不可
      3. 定期的な通院が不可欠な場合、再初診料は算定不可
    2. すべての傷病に関して、「治癒」または「治療中止」になっている場合は初診料の算定が不可
  2. 初診料、再診料の点数は?
  3. その他の初診料、再診料に関する注意点
    1. 初診料または再診料は、2つ以上の傷病を診察しても1回分しか算定できない
    2. 同日に再度受診した場合も基本的には再診料を算定できる
    3. 初診の診療行為はカルテに記す必要がある
    4. 特定健診と同日におこなった保険診療では、初診料も再診料も算定できない
    5. アレルギー疾患治療開始後は初診料の算定が認められない場合がある
  4. 患者からの質問にもきちんと答えられるようにしておこう

初診料と再診料の区別の仕方に決まりはある?

まずは、初診料と再診料の区別の仕方についてのルールをみていきましょう。

初診料は「患者が初めて受診した場合に算定されるもの」で、2回目からの受診時には再診料が算定されます。

ただし、初めての受診でなくとも初診料を算定できるケースもあり、その場合に算定できる点数のことを「再初診料」と呼ぶこともあります。

続いて、どのようなケースの場合に再初診料を算定できるのかをみていきます。

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前回の受診から一定期間以上空いている

第一に、前回の受診から一定期間以上空いている場合、再初診料を算定できます。「一定期間」とはどのくらいかというと、3か月以上が目安とされています。あくまでも目安なので、それ以下に設定しているクリニックもあればそれ以上に設定しているクリニックもありますが、3か月以下だと初診料の算定が認められず、再診料に減点される可能性もあります。

なぜ3か月が目安とされているかについては、厚生労働省の資料などにも明記はされていませんが、たとえばアレルギーなどは、一度診療を受けた後、しばらくは症状が落ち着く場合もあることなどから、「一季節一疾患」として3か月サイクルとする考え方があるようです。

なお、詳しくは後述しますが、治療を始めた疾患の治療が終わった後、同じ患者が別の疾患の治療のために受診した場合、そこから3か月経っていなくても初診料を算定することができますが、「なんらかの疾患の治療中に(治療が終わる前に)、別の疾患の治療が必要となり治療をはじめた場合」には初診料を算定することができません。

これに関しては、厚生労働省保険局医療改良指導監査室による「保険診療の理解のために」において、下記のように説明されています。

「ある疾患の診療中に別の疾患が発生した場合は、新たに初診料を算定できない
(例)胃炎で通院中、新たに大腸ガンの診療を開始する場合、初診料は算定できない」

参照:厚生労働省保険局医療改良指導監査室「保険診療の理解のために」「初診料のポイント」

また、期間の数え方については、以下のルールも覚えておく必要があります。

患者が自己都合で診察を中止した場合は、1か月以上経てば再初診料を算定できる

患者が自己都合で診療を中止して、1か月以上経って再度受診した場合は、1カ月しか経っていなくても初診料を算定可能。ただし、薬を処方している場合、処方している日までは「治療中」ととらえるため、処方した日数を過ぎた日から数えて1か月以上経っていることが必要です。

医師の考えで次回の受診まで3か月以上開ける場合、再初診料は算定不可

医師のほうから、たとえば「次回は半年後にいらしてください」と指示をした場合は、半年間経過観察ということになるので、基本的に3か月空いたら初診料を算定している場合でも、初診料ではなく再診料を算定することになります。

定期的な通院が不可欠な場合、再初診料は算定不可

糖尿病や気管支喘息をはじめとする慢性疾患などがある患者は、多くの場合、薬が切れる前に受診することを繰り返します。症状が出ていないときは服薬しないものの、定期的に検査を受けているケースに関しても同様で、クリニックに通い続ける必要があります。これらのケースに関しては、初診/再診の判断の目安となる3か月を経過している場合でも再診扱いとします。

すべての傷病に関して、「治癒」または「治療中止」になっている場合は初診料の算定が不可

治療中だった傷病がすべて治癒したか、または治療中止となった後、患者のほうから「診てほしい」と申し出があった場合、前回の受診から一定期間以上空いているかどうかに関わらず、再初診料を算定できます。ちなみに、「治癒」または「治療中止」となった後、再び受診したときの傷病名が前回と同じであっても、再初診料を算定できます。判断基準としては、「前回受診時に、医師のほうで治癒または治療中止を告げているか」ということになります。

初診料、再診料の点数は?

2024年度診療報酬改定によって、6月1日より、初診料は291点、再診料は75点に変更となりました。これまでの点数と比べて、初診料は3点アップ、再診料は2点アップということになります。

改定前 改定後
初診料 288点 291点
再診料 73点 75点

金額にすると2,910円と750円でかなりの差があるため、より多くの点数を稼ぎたいとの理由で、再初診料扱いとなるまでの期間を短く設定している医療機関もあると考えられます。

その他の初診料、再診料に関する注意点

続いては、初診料、再診料に関する注意点をみていきます。

初診料または再診料は、2つ以上の傷病を診察しても1回分しか算定できない

患者を診察した際には初診料(再初診料含む)または再診料のどちらか一方を必ず算定しますが、1回の診察で2つ以上の傷病を診察した場合、初診料や再診料を倍掛けで算定できるということはなく、1回の診察につき1回の算定となります。

ただし、電話再診に関しては、患者の病状の変化に応じて医師の指示を受ける必要がある場合は再診料を算定できますが、定期的な医学管理を前提として電話再診をおこなった場合は、算定することができません。

参照:厚生労働省保険局医療改良指導監査室「保険診療の理解のために」「再診料のポイント」

同日に再度受診した場合も基本的には再診料を算定できる

患者が一度来院して帰宅した後、再度受診した場合には、2度目の受診分に関しても再診料を算定できます。ただし、医師が再度来院するよう指示していた場合は、2度目の受診分の再診料は算定不可です。

初診の診療行為はカルテに記す必要がある

初診料算定の原則には、「医学的に初診といわれる診療行為があった場合に初診料を算定する」と記載されています。そのため、初診として必要な診療行為をおこなったことを、カルテにもきちんと記しておく必要があります。この記載がなければ、厚生局による新規個別指導の際、「初診に該当する診療行為がおこなわれていない」とみなされてしまいます。

特定健診と同日におこなった保険診療では、初診料も再診料も算定できない

特定健診と同じ日に保険診療をおこなった場合、保険診療に対しての初診料または再診料を算定することはできません。なぜかというと、特定健診でも診察がおこなわれているためです。この場合、レセプト摘要欄に「初診診療(再診料)は健診にて算定済み」と記すことが必要です。また、健診は自費となるため、カルテに関しては保険診療分とわけて記載しなくてはなりません。

健診の結果、後日、保険診療を実施することになった場合は、再診料を算定して、レセプト摘要欄には「初診料は健診にて算定済み」と記します。

アレルギー疾患治療開始後は初診料の算定が認められない場合がある

「アレルギー性鼻炎」などの病名をカルテに記して抗アレルギー剤を処方した場合、その治療後に別の症状での受診に対して初診料を算定した結果、再診料に減点されるケースがあります。これは、「アレルギーはすぐに治るものではないため、継続治療中であるはずだ」との考えによるもの。ただし、アレルギー性鼻炎と診断をつけた後、まったく治療していない期間が3か月以上あれば、初診料として認められます。

患者からの質問にもきちんと答えられるようにしておこう

再初診料の算定要件は、前述の通り少々複雑であるため、そのことを知らない患者から、「他のクリニックでは3か月過ぎていても初診料を請求されたことはないが、なぜこのクリニックは2カ月しか経っていないのに初診料を請求するのか?」「前回は、3か月間は初診料をとられなかったのに、なぜ今回は2カ月しか経っていないのに初診料をとられるのか?」などと質問されることがあるかもしれません。その場合に、院長はもちろん、事務スタッフもきちんと答えることができるよう、正しいルールについてスタッフにも理解してもらうようにしましょう。

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