口頭指示のリスク

医療現場では、1つの判断や処置が命に関わるミスに繋がったりするため、気を抜けない状況や緊張する場面が多いです。また、一刻一秒を争うような緊急事態もあり責任重大。プレッシャーの中で働いているスタッフも多いと思います。

今回は、現役で総合病院の看護師として働く私が、実際に普段感じていることや周りのスタッフからの意見をもとに、医師が何気なく出す口頭指示のリスクについて、以下3つの要点に沿ってご紹介します。

  • そもそも口頭指示とは
  • 口頭指示の危険性
  • 理想の医療現場

普段、医師が何気なく出す口頭指示のリスクについて、少しでも考えるきっかけになればと思います。

目次
  1. 口頭指示とは
  2. 口頭指示の危険性
  3. 理想の医療現場
  4. それでもミスが起きたときはどうすればいい?

口頭指示とは

そもそも口頭指示とは何なのかまず解説していきます。現在は、ほとんどの病院で電子カルテが採用されていますが、カルテ上で指示を出した際には記録として残ります。紙カルテを使用している病院でも、手書きの指示用紙などの何らかの形で指示を見返すことができるように工夫されています。しかし、たまに「口頭指示」と言って口頭で伝えただけの指示で動くケースがあります。指示がカルテ上に残っている場合は、形として残るのでミスは起きにくいのですが、口頭指示となると、聞き間違いや言い間違いなどが発生することがあります。

口頭指示の危険性

口頭指示のリスクが高いことは、なんとなく理解できると思いますが、次に私が実際に経験したことを紹介します。私は総合病院の病棟看護師として、研修医からベテランの医師まで幅広い年齢層の医師と一緒に働いています。そのような中で今回紹介するのは、50代後半のベテラン先生との間で起きた出来事です。

この先生は普段から「あれ」「それ」「これ」などのことばが多いです。日常会話ならそれでも問題ないのですが、患者さんに関するやりとりにおいては困ることがあります。よく、長年連れ添った夫婦は、阿吽の呼吸で短いことばでもコミュニケーションを取れると言いますが、医療現場ではそうもいきません。

例えば、「あの患者のあれ、やっといて」と先生が言うことがありますが、私の病棟はチーム性であり、「まずどっちのチームのどの患者さん?」「先生、ヒントをもう少しください」となってしまうのです。他の患者さんに間違えて不要な処置や薬を飲ませてはいけないと思い、看護師はあたふたして必死で先生に確認します。口頭指示を受けた際には、口頭指示を受けた看護師が内容をメモして、それを復唱することでもう1人の看護師がダブルチェックするようにしています。指示内容が曖昧なときには再度確認をしていますが、そもそも言い間違いや聞き間違いがあるとなかなかエラーを防止することは難しいです。言った、言ってないの問題になると、スタッフ間での信頼関係も壊れてしまう可能性もあるので注意が必要です。

理想の医療現場

医療現場でのミスはあってはならないものなので、どこの病院もミスを最低限に抑えられるような体勢を整えていると思います。今回は口頭指示の危険性について解説しましたが、やむを得ず口頭指示を出す際には、できるだけ詳しく、わかりやすく、聞き取りやすい声で指示を出していただきたいと思います。そもそも、口頭指示自体推奨されておらず、ミスの原因になるのでやめてほしいのが看護師たちの本音です。

私が理想と考える医療現場は、ミスを起こさないのではなく、ミスを起こしにくい環境が整えられていることです。人間なので誰しもミスをします。しかし、ミスをする確率は、職場環境やそのときの自分の体調、多忙な状況などによって左右されます。できるだけミスが起こらないような環境を整えることで、スタッフも気持ちよく働けると思います。医療安全マニュアルが徹底されていて、業務多忙な中でも安心して働けるような職場が理想です。

それでもミスが起きたときはどうすればいい?

また、たとえ何か起きた場合にも、個人を特定して責めるのではなく、スタッフ全員で事例を検討して、今後同じことを起こさないようにするためにはどうすればいいのか、しっかり考えていくことが大切です。そういった取組みを続けていくことで、どのようなときにミスが起こりやすいのか、どうすべきなのか見えてきて、より良い職場環境作りに繋がると思います。

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りさ

執筆 外科病棟で働く現役看護師 看護師ライター | りさ

総合病院の外科病棟で働く現役看護師です。看護師歴9年。主に自分の体験談や周りで起こった出来事から記事作成をしています。


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